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レビュー

尊敬すべき若者がくれる 戦いと青春の日々 『東大王 知力の壁に挑め!最強クイズドリルII』

 本書はTBSテレビ『東大王』の番組内で出題されたクイズ問題集ですが、出演者の一人でもある私はページをめくるごとに、時に苦い気持ちを、時に熱い戦いを思い出します。
 フジテレビに四年半在籍し、そしてフリーになってからも、本当に色々な仕事をさせていただきました。しかし、同世代の方々には共感していただけるかもしれませんが、四十代後半になり、自分の「この先」が何となく見え始めた今、仕事はもちろん楽しいものの新鮮味は失われ、やる気をどう持続させたらいいのか? どうすれば、いいパフォーマンスを続けられるのか? などと悩むこともあります。『東大王』はそんな私に、「なにくそ!」という悔しさや向上心、スタジオに向かう楽しさを改めて感じさせてくれた番組です。
 まず、「敵」である東大王チームの四人と接する新鮮さ! 四人はみんな賢くて純粋で。年齢を見れば一番年上の伊沢拓司(いざわたくし)くんでさえ、生まれたのは私がフジテレビに入社した一九九四年。最年少の鈴木光(すずきひかる)ちゃんは、まさにこの夏二十歳になったばかり。つい先日までは十代だった可憐な女の子です。鶴崎修功(つるさきひさのり)くんや水上颯(みずかみそう)くんは、没頭したものに対してはすさまじい能力を発揮するけれど、人と打ち解けるのに少し時間がかかる子たちだったりして。でもそこがまたいとおしい。私の夫もそういうタイプなので母性本能をくすぐられてしまいます(笑)。
 そんな四人を見ていると、敵ながら「なんかいいなぁ……」と思います。クイズに夢中になっている彼らはすごく楽しそうで、一つのことにあそこまで没頭した経験のない私には、まぶしい気持ちすら芽生えてくるのです。彼らと対戦することで、大学生気分を味わい、失った青春の日々を追体験しているのかもしれません。
 思い返してみれば、私は小学生のころからクイズ番組が大好きでした。特に『アメリカ横断ウルトラクイズ』に憧れていて、「ヘリコプターに乗ってニューヨークに行く!」、ずっとそう思っていたものです。残念ながら番組は終了してしまいましたが、様々なご縁がつながって『東大王』と出会ったとき、私は本当に久しぶりに「そうだ、私、あんなにクイズ番組が大好きだったじゃない」と子供のころの無邪気な気持ちを思い出しました。だから私にとって、『東大王』は子供のころの夢をかなえてくれる場所であり、真剣勝負に夢中になれる場所でもあるのです。出演した日の夜は興奮して眠れず、さらに次の日の夜は悔しくて眠れないということもあります。
 なので、実はあまり言わないようにしていますが、『東大王』に出演し始めてから、マメに色々と調べるようになりました。ふと見た広告に知らないワードがあったらすぐ調べるし、地力を上げるために普段から新聞を読んだり本を読んだり、すべてが情報だと思って日々過ごしています。世界遺産検定一級用の本やことわざ辞典を買って、寝る前に読んでもいます。
 大切なのは番組中に知識の引き出しをパッと開けられるかどうか。本書は「戦いの記録」であると同時に、私にとって「クイズ用の身体」を作り上げるためのアイテムにもなってくれそうです。
 最近、とみに感じるのは「『東大王』は頭脳のスポーツだ」ということ。人間対人間の真剣勝負だからこそ、戦いを終えたら相手を称えたくなる。オリンピックの種目にしてほしいくらいです(笑)。
 四十代後半を迎えた私に、こんな前向きな気持ちや闘争心を呼び起こしてくれた『東大王』との出会い。アスリートである東大王チームに挑む気持ちで本書を読み、番組を見ていただけたら、東大王の凄さをもっと分かっていただけるかもしれません。
 ああ、もう一度大学生になれるならクイズ研究会に入りたい! この本を抱えて番組に備えながら、そんなことを考えたりもする今日このごろです。

>>『東大王 知力の壁に挑め!最強クイズドリルII』


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