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不朽の名作『ジョゼと虎と魚たち』 新たなカバーができるまでの舞台裏をご紹介

時代を超えて愛される、恋愛小説の金字塔『ジョゼと虎と魚たち』。アニメ映画化を機に、文庫のカバーを期間限定リニューアルしました。
特別企画として、ハンドメイドマーケットminneさんとコラボ!
新たなカバーができるまでの様子や、色褪せない作品の魅力を編集担当がご紹介します。
劇場公開中の映画もお見逃しなく!


©2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project


愛され続ける名作「ジョゼと虎と魚たち」のカバーをリニューアル

1964年に発表、2003年実写映画化、そして2020年アニメ映画化。
愛され続けるロングセラー恋愛小説「ジョゼと虎と魚たち」。
時代が移り変わり、男女観や恋愛観が変わっても、色褪せない魅力をもつこの作品だからこそ、今の読者が手に取りやすいカバーにしたい。そんな思いで、折に触れて文庫のカバーをリニューアルしています。

今回は、アニメ映画化を機に期間限定のカバーを制作。
絵を描くことが好きなアニメ映画版のジョゼから着想し、水彩画家としてminneでも活動されている西尾都さんとのコラボが実現しました。
完成したカバーがこちら!


西尾都さんのイラストが文庫カバーになるまでの経過は、「minneとものづくりと」で詳しく紹介されています。

「minne作家さんがデザイン『ジョゼと虎と魚たち』のブックカバーができるまで」
https://mag.minne.com/2021/03/03/special_joseetora/

この記事にあるように、西尾都さんは最初にブックカバー制作の話を聞いたとき、「結婚して子どもを産んでという経験を経たわたしが、改めて女性の恋愛小説というものに果たして共感ができるのか」と自信を持てなかったのだということですが、読んでみると「どんどんとイメージが膨らんでいって。あっという間に描きたいデザインが浮か」んだのだそう。
3種類のイラストを描いていただき、読者のみなさまの投票を経て、夢見るような可愛らしい女の子のイラストが文庫のカバーとなりました。

西尾都さんの作品ギャラリーはこちら
https://minne.com/@miyaco8i8

読者の心を掴んではなさない「ジョゼ虎」の魅力

「ジョゼ虎」はなぜこうも長く、多くの読者に支持され続けるのでしょうか。
語り尽くせない魅力がありますが、いくつか挙げるとするならば、まずは主人公「ジョゼ」のキャラクター。大好きなフランスの作家・サガンの小説に影響を受けて「ジョゼ」と名乗り、同棲する恋人・恒夫を「管理人」と呼ぶ、口が悪くて、世間知らずなのに妙に物知りだったりもする女の子。彼女のパワーと、抱える寂しさや影と、恋愛と幸福の形。その一つ一つが読者の心をぎゅっと掴みます。

そして、想像力をかき立て、読者の想像に委ねる懐の広さ。「ジョゼと虎と魚たち」は30ページに満たない短編で、ジョゼと恒夫の行く末はどうなるのだろうと思ったところで、物語はふっと終わりを迎えます。結末を想像させる余白がたっぷりとあり、100人が読めば100通りの未来がある。そんな風に読者の想像力をかきたてる作品だからこそ、実写映画やアニメ映画と、それぞれに違った新たな「ジョゼ虎」が生まれ、受け入れられてゆくのでしょう。夢と希望にあふれた「ジョゼ虎」の世界を見せてくれるアニメ映画は必見。この記事下部にPVのリンクがありますのでまずはご覧ください。美しいアニメーションや音楽、声優陣の演技もすばらしい作品です。

そして角川文庫版は34年ものあいだ版を重ね続けるロングセラー、発行部数は65万部を突破しています。新しいカバーのものも、ぜひ書店で探してみてください。



表題作以外の8編にも注目

『ジョゼと虎と魚たち』(角川文庫)は、9つの作品からなる恋愛小説集。どの作品も女性視点で描かれる男女の恋のお話です。久しぶりに会った昔の恋人の老けっぷりに驚いたり、妹に結婚で先を越されて動揺したり、10歳下の甥が可愛く思えたり、夫の「もと妻」が気になったりと、恋愛の形はそれぞれですが、人のダメなところを愛することが上手な女性が多いんです。言い換えれば、田辺聖子という作家は、人の欠点を魅力的に書くのがとにかく上手い、ということでしょう。主人公たちに関しても同じことが言えて、彼女たちの魅力というのはそのずるさや勝手さも含めてのもの。そして、彼女たちには共通して、ちょっとした「諦め」のような感覚があるようで、自分自身や愛する人のダメなところも含めて、恋と生活を楽しんでいるのです。恋の楽しみってこういうことだなと気づかせてくれる、ときめく作品揃い。そんな理由で、新しいカバーに巻く帯には「恋の楽しみはいつだって、田辺聖子が教えてくれた」と入れました。
「ジョゼと虎と魚たち」は特に有名ですが、他の作品も名作ばかりなのでぜひ読んでいただきたいです。

書籍情報



著者:田辺聖子
定価:660円(本体600円+税)
ISBN:9784041314180
https://www.kadokawa.co.jp/product/199999131418/

足が悪いジョゼは、車椅子がないと動けない。世間から身を隠すように暮らし、ほとんど外出したことのない、市松人形のようなジョゼと、“管理人”として同棲中の、大学を出たばかりの恒夫。どこかあやうくて、不思議にエロティックな関係を描く表題作「ジョゼと虎と魚たち」ほか、さまざまな愛と別れを描いて、素敵に胸おどる短篇8篇を収録した珠玉の作品集。

アニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」

日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞!


中川大志 清原果耶
宮本侑芽 興津和幸 Lynn 松寺千恵美 盛山晋太郎(見取り図) リリー (見取り図)

監督:タムラコータロー
脚本:桑村さや香
キャラクター原案・コミカライズ:絵本奈央
キャラクターデザイン・総作画監督:飯塚晴子
コンセプトデザイン:loundraw (FLAT STUDIO)
主題歌・挿入歌:Eve「蒼のワルツ」/「心海」(TOY'S FACTORY)
アニメーション制作:ボンズ

配給:松竹/KADOKAWA
製作:『ジョゼと虎と魚たち』製作委員会
©2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project
公式サイト:https://joseetora.jp/


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