2025年5月9日(金)、本格ミステリ作家クラブ公式Xアカウントにて「第25回本格ミステリ大賞」の開票結果が発表され、KADOKAWAより24年9月28日(土)に刊行しました、逸木 裕『彼女が探偵でなければ』が【小説部門】を受賞しました。
祝「第25回本格ミステリ大賞」受賞!
受賞の報を受けて、逸木 裕さんより喜びのコメントが到着
本作の主人公である森田みどりは、私がデビュー作からずっと書き続けている職業探偵です。社会人であり家庭人でもありながら、それでも探偵であるという宿痾から逃れられない彼女を通じて、私も色々な景色を見させてもらいました。今後もより優れた作品を目指し、本賞に恩返しできればと思っております。本当にありがとうございました。
――逸木裕
「探偵みどりシリーズ」が4冠達成!
たった1行。この謎解きは切なく、痛い。
デビュー作『虹を待つ彼女』(第36回横溝正史ミステリ大賞受賞)で初登場した探偵・みどりは、短編集『五つの季節に探偵は』(第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞作収録)で高校生から大人へと成長し、シリーズの主人公に。
本作は、二児の母となり部下を育てる立場となった彼女が、人の〈本性〉を暴かずにはいられない探偵として生きてきた自分自身と向き合っていく5編の物語を収録した連作短編集です。さらに、本作は、書評家の杉江松恋さん、千街晶之さん、若林踏さんが、投票ではなく議論で順位を決定する唯一のミステリー・ランキング「リアルサウンド認定2024年度国内ミステリーベスト10」の第1位も獲得しており、この度の受賞で「探偵みどりシリーズ」は四冠となりました。
この機会にぜひ読んでみてください。
★本格ミステリ大賞(本格ミステリ作家クラブ主催)について
例年5月に開票式が行われ、〈本格ミステリ作家クラブ〉会員の記名投票によって大賞作品が決定します。
・公式サイト http://honkaku.com/
・公式X @honkakumystery(https://x.com/honkakumystery)
受賞作『彼女が探偵でなければ』
収録短編「時の子」全文特別公開中!
https://note.com/kadobun_note/n/n929ca5fe870b
あらすじ
こうなることを知っていたら、わたしは探偵をやめていただろうか。
森田みどりは、高校時代に探偵の真似事をして以来、人の〈本性〉を暴くことに執着して生きてきた。気づけば二児の母となり、探偵社では部下を育てる立場に。時計職人の父を亡くした少年(「時の子」)、千里眼を持つという少年(「縞馬のコード」)、父を殺す計画をノートに綴る少年(「陸橋の向こう側」)。〈子どもたち〉をめぐる謎にのめり込むうちに彼女は、真実に囚われて人を傷つけてきた自らの探偵人生と向き合っていく。謎解きが生んだ犠牲に光は差すのか。痛切で美しい全5編。
書誌情報
発売日:2024年9月28日(土)※電子書籍同日配信
定価:1,980円 (本体1,800円+税)
頁数:336頁
装画:げみ
装丁:原田郁麻
体裁:四六判並製 単行本
ISBN:9784041134771
収録作品:時の子/縞馬のコード/陸橋の向こう側/太陽は引き裂かれて/探偵の子
初出:時の子……「小説 野性時代」特別編集 2023年冬号/陸橋の向こう側……「小説 野性時代」特別編集 2022年冬号/他は書き下ろし
発行:KADOKAWA
書誌情報ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322211000502/
阿津川辰海さん推薦!
探偵は向き合う。現代の空白に、少年たち(ぼくら)の心の空白に。
みどり、また一段と良い探偵になったじゃないか。
――阿津川辰海さん
書評家も絶賛!
「物語の情動と謎の関心が見事に合致している」
――杉江松恋さん
「これぞ完璧なミステリだ」
――千街晶之さん
「本格謎解き短編としても粒ぞろい」
――若林踏さん
(リアルサウンドブック「道玄坂上ミステリ監視塔 書評家たちが選ぶ、2024年9月のベスト国内ミステリ小説」より)
全国の書店員さんから感動の声!
真実を包み隠さず明かすことが、幸せとは限らない。
しかし、それでも彼女は真実を追い求める。
自身が傷つきながらも、謎と対峙し進みゆく姿に、強い決意と信念を感じました。
胸に痛みをともないながらも、繊細で美しい心が満ち溢れた、ヒューマンサイコロジー小説。
――紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
みどりのその後が読めた!嬉しい!
謎に執着することをやっぱり悩んでいる。真実を知らなかった方がいいことも世の中にはあるのかも知れない。だけど向き合うことで進めることもあるんじゃないのか。色々と考えてしまった。
それにしても面白い。ミステリーをしっかり楽しめた読後感。最高でした。
――宮脇書店ゆめモール下関店 吉井めぐみさん
謎を解明し真実を明らかにする事が、果たして誰にとっても正義なのだろうか。
自らの加害性に気付かされてしまう、心に突き刺さるミステリ。
――HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん
著者プロフィール
逸木 裕(いつき ゆう)
1980年東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。22年『五つの季節に探偵は』収録の「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞。24年刊行の『彼女が探偵でなければ』で「リアルサウンド認定2024年度国内ミステリーベスト10」第1位獲得、第25回本格ミステリ大賞受賞。その他、『少女は夜を綴らない』『星空の16進数』『銀色の国』『空想クラブ』『四重奏』など著書多数。
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