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角川文庫キャラホラ通信

【キャラホラ通信8月号】『うちの執事に願ったならば 5』刊行記念 高里椎奈インタビュー

角川文庫キャラホラ通信

King & Prince の永瀬廉さん主演で実写映画化も決まった「うちの執事」シリーズの最新刊、『うちの執事に願ったならば 5』が発売されました。本作は18歳という若さで名家を継いだ当主の花穎かえいと、彼を支える新米執事・衣更月きさらぎという“発展途上”の主従の関係にやきもきする、上流階級ミステリのシリーズです。最新刊発売を記念して、シリーズに対する思い、そして今後の展開について高里さんにお聞きしてきました!

――発展途上の主従が上流階級ならではの謎を解くミステリ、「うちの執事」シリーズも早いもので通算14冊目になりました。そもそも、この「うちの執事」シリーズが生まれたきっかけを教えてください。

高里:初代の担当編集さんから「執事に興味はありませんか?」とご提案を頂いたのが最初のきっかけです。「執事というと自分の中では、十九世紀頃のお家に長く仕えるご年輩の方のイメージが強いのですが、大丈夫ですか?」とお尋ねしたところ、OKを頂いて、書かせて頂くことになりました。
 その為、主人公は当主の花穎と執事バトラーの衣更月ですが、六十代の家令ハウス・スチュワード(執事長)おおとりを基点に、これからそこへ向かう人、そこに至った先を更に進む人など、様々な執事さんが登場します。

――確かに巻を追うごとに烏丸家以外の執事や使用人も登場し、それぞれの主従の関わり方が違うことも作品の魅力ですね。作中には様々なおうちが登場しますが、書く際は違いを描こうと意識されているのでしょうか。

高里:登場人物は頭で考えて書かないようにしていて、家は反対に、書く前に明確にしておきます。枠組みでしっかり支えて、登場人物に自由に動いてもらえると、書いていて楽しいからです。
 なので、キャラクターを描く際に言動に違和感を覚えた時は、何ページ書いてあっても消すようにしています。頭より直感でおかしいと思う時の方が、深刻なエラーが起きている時だからです。

――登場人物がありのままで動いているからこそ、あんなに魅力的なんですね。ちなみに、高里さんの中でお気に入りの登場人物はいらっしゃいますか?

高里:全員好きなので日によって違う人を答えてしまいますが(すみません!)、烏丸家の当主は、四代にわたって書かせて頂けて、同じ家の中で立場や性格、時代や環境で異なる当主の姿を見ているのは、歴史を追うようで楽しいです。
 全員にそれぞれの人生を全うしてもらいたいと思っているのが顕著に現れているのは、『うちの執事が言うことには』1巻で登場する芽雛川さんかなと思います。転機まで書き進められてよかったです。

――芽雛川さんは確かに! とある巻で再登場するので未読の方は続きも読んでいただきたいですね。キャラクターの成長のお話をすると、過去のちょっとしたエピソードが思わぬところで伏線になっていることにいつも驚かされます。謎も含めて登場人物に合わせて綿密に設計をしてからご執筆されているのかな、とずっと思っていました。

高里:きちんとできているでしょうか……他の方の書き方を拝見したことがないので、きちんとしているのか、いい加減なのか、自分ではわからないです。話ごとに考えるというよりは、各登場人物の一生を追って紡ぎ直す感覚に近いので、もし綿密と感じて頂けたなら、きっと登場人物たちがひとりひとり、自分の人生を歩いてくれているからですね。とても嬉しいです。
 ミステリ的なトリックの部分も登場人物に合わせて書いたり、トリックが先にあって人物に合わせたりと話によって進め方はいろいろですが、ひとつだけ、この人でなければこの結末にならなかった、という部分があったらいいなと思っています。

――ちなみに、これは私が聞きたいだけなんですが、高里さんは作中のおうちで仕えるとしたらどこのおうちに仕えたいですか? 私は一ノ宮家か久丞家がいいんですが……(笑)。

高里:久丞家は見ていて楽しいです。一ノ宮家は階上も階下も穏やかで、毎日が充実しそうですね。自分が仕えるとしたら……烏丸家でしょうか。仕事内容は慣習的で古風ですが、労働環境は一番システマチックなので、働きやすそうです。

――「うちの執事」のシリーズは来年に実写映画化も控えています。映画に対して、高里さんのお気持ちを教えてください。

高里:ただただ楽しみです。
 文章に圧縮された光景が、読んでくださった皆様の中で解凍、展開されるのが読書だと思います。表紙を描いて頂く時、漫画にして頂いた時、皆様からご感想や絵を送って頂いた時、本の境界を越える感動はいつも色鮮やかです。
 今回、映画化をして頂けることになり、たくさんの方に携わって頂ける感謝と共に、映像という形で再構築して頂けて、多くの方と共有できるなんて、楽しそうで、嬉しくて、わくわくしています。『うちの執事が言うことには』の世界と人々をよろしくお願い致します。

――私もとても楽しみです。シリーズはまだまだ続くかと思いますが、これから書いてみたいエピソードなどはなにかありますか。

高里:書く予定のある花穎や衣更月、赤目さん等は回答から除外して、予定のないところでは、鳳が十代の頃の話を書きたいです。あとは『壱葉ちゃん』が『壱葉さん』になる頃とか……久丞家の階下のお話は、いつかどこかで書ける日が来たらいいなあと思います。

――壱葉ちゃんのお話は是非拝読したいです! でが最後になりますが、読者のかたへひとことメッセージをお願いいたします。

高里:おかげさまで新刊が刊行されました。毎回になってしまいますが、一冊だけでも読める本を目標にしているので、事件と解決、関わる人々と過ごす時間を楽しんで頂けたらいいなと思っています。
 シリーズでお付き合い頂いている皆様には、花穎が人と関わることで起き始めた変化が少しずつ現れているのを感じて頂けているかもしれません。今回の新刊では更に一歩踏み込みます。彼らの人生の道中、見守って頂ければ幸いです。

 
◎映画『うちの執事が言うことには』公式サイト
http://www.uchinoshitsuji.com/


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