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『闇祓』
著者 辻村深月
▼『闇祓』特設サイト
https://kadobun.jp/special/yami-hara/
▼『闇祓』冒頭試し読み
https://kadobun.jp/trial/yamihara/dee5clscpf4s.html
辻村深月『闇祓』レビュー
評者 佳多山大地
セクハラ、パワハラ、アカハラ、マタハラ、エトセトラ、エトセトラ……。正直、その類いの「何かハラ」が増えすぎたため、いったい何の略語でどういう
なので、
当代指折りの人気作家に数えられる辻村深月の最新作『闇祓』は、季節外れの転校生がやって来る場面から幕を開ける。男女ともカーキ色のブレザーが制服の私立高校に、詰襟姿であらわれた一人の男子生徒――
ところで、「闇祓」というタイトルから、J・K・ローリングの手になる世界的ベストセラーファンタジー〈ハリー・ポッター〉シリーズに出てきた「
そんなタイトルからの連想がズバリ当たりだということまでは、ここで紹介してかまわないだろう。辻村が物したミステリ色も濃いホラー長篇『闇祓』には、闇ハラを仕掛けてくる〈闇〉の勢力を特殊能力で打ち負かす「闇を祓う者」が登場する。いったいどの人物がヒロインの澪を窮地から救い出してくれるのか? 〈光〉と〈闇〉の思いもよらない反転劇に目を剥いて絶句すること請け合いたい。
そんな第一章「転校生」を承けて、いよいよ物語はファンタジー色が濃くなるのかと思いきや、そうでないところにまた驚かされた。もう話の内容には触れないけれど、有名なデザイナー夫婦が改装した団地が舞台となる第二章「隣人」や、中堅どころの食品会社に勤める若手男性社員が主役の第三章「同僚」は、じつに湿度の高いイヤミスと評するよりほかない。第二章、第三章で読者は、いったい誰が闇ハラの元凶なのかを見極める
――ああ、それにしても。注目すべきは、〈闇〉の者どもの闇ハラのやり口だ。彼らが周囲の人々の〝心の闇〟を引き出して視野を狭くさせるのに使うのは、ただ「言葉と行動」のみ。そう、彼らは魔法などいっさい用いずに人を支配し、おかしくさせる。それは、はっきり人間業だと言わなくてはいけないだろう……。
作者の辻村が『闇祓』で描いた世界には、「闇を祓う者」がいる。『闇祓』を読み終えてゾッとさせられるのは、この本の外側の世界にそんな護衛の役を果たしてくれる超常能力者はいないに決まっている事実。ファンタジックな英雄譚の要素を含むことにより余計に、すこぶる現実的・日常的な闇ハラの恐ろしさが読んだ者の胸に迫る。自分の生活圏に誰か一人でも「厄介だなあ」と感じる人のいるあなた、『闇祓』はそんなあなたが〈闇〉の側に落ちないため必要な物語だ。
作品紹介『闇祓』辻村深月
闇祓
著者 辻村 深月
定価: 1,870円(本体1,700円+税)
発売日:2021年10月29日
あいつらが来ると、人が死ぬ。 辻村深月、初の本格ホラーミステリ長編!
「うちのクラスの転校生は何かがおかしい――」
クラスになじめない転校生・要に、親切に接する委員長・澪。
しかし、そんな彼女に要は不審な態度で迫る。
唐突に「今日、家に行っていい?」と尋ねたり、家の周りに出没したり……。
ヤバい行動を繰り返す要に恐怖を覚えた澪は憧れの先輩・神原に助けを求めるが――。
身近にある名前を持たない悪意が増殖し、迫ってくる。一気読みエンタテインメント!
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322104000675/
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辻村深月『闇祓』冒頭試し読み
辻村深月、待望の新刊! 初の本格ホラーミステリ長編『闇祓』冒頭試し読み
https://kadobun.jp/trial/yamihara/dee5clscpf4s.html