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レビュー

アイドル・和田彩花が推すこの一冊:謎が深まるほど絵は楽しい!『エドゥアール・マネ 西洋絵画史の革命』

アンジュルムの元メンバーで、現在は大学院で西洋美術を学ぶ和田彩花@ayakawada)さんに、レビューをいただきました。



 エドゥアール・マネ(1832-1883)という画家の名前を聞いてどんな作品を思い浮かべますか?

 最近であれば、東京都美術館で開催された「コートールド美術館展 魅惑の印象派」(2020年1月3日から3月15日まで愛知県美術館、3月28日から6月21日まで神戸市立博物館へ巡回)でマネの作品が3点、展示されました。また、この展覧会のメインビジュアルには、マネ晩年の傑作と称される《フォリー゠ベルジェールのバー》が使用されていました。このほかにも、日本でマネの作品を目にする機会は度々あったと思います。


エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)


 なぜ、マネの作品の魅力が多くの人に伝わりにくいのでしょうか。本書の副題にもなっている「西洋絵画史の革命」をもたらした画家であるというのに。少し残念に思いながら、この機会にたくさんの方にマネを知っていただけるよう少し紹介していきたいと思います。

 マネの作品を目の前にすると、なんだか妙な感じを覚えることが多くあります。例えば、画中に描かれた人物の感情を捉えることが難しかったり、画中の人物の位置が不自然だったり、作品と自分の間の物理的な距離を掴みにくく感じることさえあるのです。マネの作品は、絵画を見るという行為がすんなりといきません。しかし、画面に残された色彩や筆遣いは心地よく、そして生き生きしていて、見ればみるほどマネの作品に惹かれていくのです。

 そんなマネの人物像や作品を探ってみると、謎は深まる一方です。西洋絵画史に革命をもたらした画家でありながら、過去の古典絵画との結びつきを持つ点に、一筋縄ではいかないところがあります。

 本書は、「Ⅰ. 過去からマネへ」「Ⅱ. マネと〈現在〉」「Ⅲ. マネから未来へ」の3つのパートからなります。

 マネは古典絵画とどう向き合いどう吸収していったのか、それを踏まえ革新的な画面をどのように生み出していったのか、その革新性がその後の美術にどのような影響を与えたのかが作品を軸に展開されます。画面上の詳細についての丁寧な考察は、マネの作品を目の前にした時の疑問や違和感が解消されていくようで、謎解きをしている感覚になるほどです。

 また、マネの作品について理解を深めようとすることは、西洋絵画史の流れを追うことに繋がり、マネが果たした歴史的意義を発見できます。そこにはまさに、三浦さんが重ねて述べられる「マネのポテンシャル」の大きさ、広さが示されています。

 マネの作品がそうあるように、本書の一部分を抜粋して紹介することは容易ではありません。過去、現在、未来が繋がることでマネの作品の魅力に改めて気付かされ、本質に触れることが可能になりそうだと感じるからです。

 歴史的意義をもつ作品群であるからこそ様々な解釈が可能となります。それは本書を読み進めていく中できっと多くの人が実感されることでしょう。過去、現在、未来が繋がっていく本書の流れ、そのような姿勢がマネの作品と向き合う際に必要だと改めて感じ、自分の視点を見つめ直す機会にもなりました。

 本書を通してマネや西洋絵画史に触れてみたいと思われた方は、謎解きをしていくような感覚で気軽に読んでみてください。絵画を見る際、必ずしも予備知識が必要なわけではないですし、それぞれの見方で楽しめる点が美術の素晴らしいところではありますが、本書を通してもう一歩奥深い世界を楽しんでもらえると思います。また、過去、現在、未来が繋がる「マネのポテンシャル」を通して、美術に触れる際の視点を発見してみてください。

 そして、ぜひ美術館へ足を運んで、実際の作品を前に美術を楽しんでもらえたら嬉しいです。



書籍の詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321503000275/


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