コロナ禍の生活も長くなってきました。“美味しい小説”と薬膳料理で気分転換＆栄養補給をしませんか？
人に足りない栄養を見抜く、不思議な才能を持った主人公・佐保（さほ）が「人を救う料理人」を目指す「お江戸やすらぎ飯」シリーズ。好評につき第３弾に突入！
物語に登場する癒やしの料理レシピを、特別にWeb上で公開します。
『お江戸やすらぎ飯 初恋』鷹井 伶
角川文庫『お江戸やすらぎ飯 初恋』（著者・鷹井 伶／編集協力・小説工房シェルパ）
定価：748円（本体680円＋税）
発売日：2021年04月23日
ISBN：9784041110751
https://www.kadokawa.co.jp/product/322010000471/
本書のあらすじ
吉原育ちの孤児と思われていた佐保は、大火に遭ったことで失った記憶を取り戻し、水戸藩士の父と再会を果たす。
佐保が武家の娘とわかって周囲は戸惑い、多紀家の五男・元堅（もとかた）の嫁候補という噂まで立てられる始末だ。
佐保はこれまで通り、料理と勉学一筋に励もうとするが、ある人の涙に心乱されて――。
優しい思い出の味は、辛い過去から人を救うのだろうか。
美味しい料理とほのかな恋にときめくグルメ時代小説シリーズ第３弾。
佐保が考えた料理のレシピを特別に公開！
第１回 ずいきの酢の物
ずいきの酢の物
物語のここに登場！ ～ずいきの酢の物～
幼い頃に大火に遭い、記憶をなくしていた佐保。孤児として吉原で育てられていたが、遊女として見世に出る寸前に吉原を出て、多紀家で下働きをしながら医学館で漢方養生を学ぶことを許された。翌年の吉原の火事をきっかけに佐保は父母の記憶を取り戻し、水戸藩に仕える本草学者の父と再会を果たした。多紀家や医学館の面々も喜ぶ一方で、急に「武家の娘」となった佐保の扱い方には戸惑いも。賄い方の手伝いをしているマサもその一人で、芋を洗う佐保を見かけて慌てて代わろうとするのだった。
「
他にも、今すぐ食べたい！ 美味しい料理がたくさん登場します。美味しくて体にもいいグルメエピソードは本書で！
ずいきの酢の物のレシピ
材料（作りやすい分量）
- 干しずいき（生が入手できればなおよいです）……１袋（25ｇ程度）
- あく抜き用の酢……少々（湯量の20分の１程度）
- 酢（米酢でも穀物酢でも）……大さじ３
- きび糖（白砂糖でも構いません。お好みで加減してください）……小さじ１～大さじ２
- 昆布だし（顆粒）……小さじ１
- 醤油（お好みで加減してください）……小さじ1/２～大さじ１
- すりごま……適宜
作り方
- ずいきの下ごしらえ：干しずいきはたっぷりの水に約20分浸して戻します。生ずいきの場合は、外皮を薄くはぎます（指でつまんですーっと下に引くと、ひと皮簡単にめくれます）。ずいきを食べやすい大きさ（３～４センチ程度）に切り、あく抜きのために、たっぷりのお湯に酢を加えてゆでます。沸騰したまま弱火にして15分程度が目安です。柔らかくなったら、ざるに上げ、湯を切っておきます。
- 合せ酢を作ります。分量の酢・きび糖・昆布だし・醤油をよく混ぜておきます。
- 下ごしらえ済のずいきと合せ酢を混ぜます。最後にすりごまを振れば出来上がりです。
解説
【食材の漢方成分】
・ずいき 五味五性：甘・辛・平 帰経：脾・胃 主効：健脾・通便・血流改善
・酢 五味五性：酸・苦・温 帰経：肝・胃 主効：血流改善・消化促進
・きび糖 五味五性：甘・平・温 帰経：脾・胃 主効：中和・痛みの緩和・肺を潤す
※ 五味五性とは、身体が感じる食材の味（辛・甘・酸・苦・鹹［塩］）と性質（寒・涼・平・温・熱）。
※ 帰経とはその食材が影響する身体の部位。
【特におススメの方】
産後の女性に。
【ひとこと】
昔ながらのひなびた家庭料理です。ずいきは「古血を洗う」と言われ、産後の回復食とされてきました。低カロリーなのに、マンガン・カリウム・カルシウム・鉄分などのミネラル、それに不溶性食物繊維を豊富に含んでいます。生のものは滅多に手に入りませんが、乾物コーナーにはよくあります。みつけたら、一度作ってみてください。酢で和えるととてもきれいな淡紅色になって、歯ざわりも楽しい一品となります。
【レシピ】鷹井 伶
