こんなグルメ時代小説を待っていた!
『お江戸やすらぎ飯』鷹井 伶
おいしくて体にいい料理と、医学館を取り巻く人間模様――吉原の遊郭で育てられた、不幸な生い立ちに負けない佐保が、人々を料理で幸せにする!
小説内に登場する、目からウロコの薬膳料理レシピを、特別にweb上で公開します。
あらすじ
江戸の大火で両親とはぐれ、吉原の遊郭で育てられた佐保。花魁になるための修業を重ねていた彼女には特殊な力があった。水穀の精微――食物から得られる滋養、養生の極意を、生まれつき備えているというのだ。幕府のお抱え医師の名家・多紀家の五男・元堅は、病に効く食材を言い当てる佐保の力を目の当たりにする。やがて、佐保は医学館に預けられ、病人を救う料理人を目指していく……。おいしくて体にいいグルメ時代小説!
第3回 山芋のふわふわ団子汁
効能 免疫力アップ・食欲不振・胃弱・花粉症……
材料(2人分)
- 山芋 …… 120g
- 片栗粉 …… 大さじ1
- 塩 …… 少々
- 大根 …… 1/6本
- にんじん …… 1/2本
【合わせだし】
- だし汁……400ml
- 酒……大さじ1
- みりん……大さじ1
- 薄口醤油……大さじ2
作り方
- 山芋はひげをコンロでサッと焼き取り、よく洗ってから、皮付きのままですりおろし、片栗粉とよく混ぜます。大根と人参は千切りにします。
- 鍋に合わせだしの材料を入れて中火にかけ、沸騰直前に弱火にして、山芋をスプーンですくって、鍋にそっと落とします。大根、人参を加えて、煮崩れないように、弱火でじっくり火を通す。
- 山芋団子が少し透明になったら、火を止め、塩で味を調えます。
解説
【山芋の薬膳成分】
五色:黄 五季:すべて 五味:甘 五性:平 五臓:肺脾腎
効能:健脾 補気 滋陰 潤肺 和胃 調中 益精 固腎
【特にオススメの方】
「気虚」体質の方:
風邪を引きやすい/疲れや倦怠感を感じやすい/冷え性/食欲不振/
消化機能が低下している/胃もたれ/慢性的な軟便・下痢/花粉症/免疫力が低下している
【五彩薬膳ポイント】
山芋は滋養強壮に富み、消化を助けて胃腸を丈夫にする効用があり、乾燥させたものは生薬としても使われています。胃腸が弱く、痩せがちで食欲不振の元胤(もとつぐ)には最適な食材です。免疫力を高め、元気を補ってくれるので、現代人にも大いに使ってほしい食材です。
山芋の皮は、ポリフェノールやβカロテンなどの栄養素を含んでおり、免疫力を高め、酸化防止の効果が期待できますので、皮付きのままですりおろしてください。なお、胃腸の消化吸収を高めるためには、なるべく火を通して食べることをオススメします。
【レシピ】阿部らら(本書の薬膳監修)薬膳料理研究家・国際中医薬膳師・「五彩薬膳」代表(http://gosaiyakuzen.com)