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角川文庫キャラホラ通信

【キャラホラ通信4月号】『星降プラネタリウム』刊行記念 美奈川護インタビュー

角川文庫キャラホラ通信

バイク便会社、動物園の飼育員、ボートレーサーなど様々な職業にスポットを当ててきた美奈川さんが、今回選んだお仕事はプラネタリウム解説員。その魅力にメールインタビューで迫ります!
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── : 本作が生まれたきっかけを教えてください。

美奈川:今までも所謂「お仕事小説」と呼ばれる作品を多く書かせて頂いていたのですが、テーマとして「身近にあるけれど、実は舞台裏を知らない世界」。更に、物理的なものにせよ心理的なものにせよ「大きなものに挑む」人々を書いてきました。
 今回もそのテーマに則ってお話の舞台を探したのですが、その中で「宇宙」という大きなものに挑みながらも身近にある場所として、プラネタリウムの話を書いてみたら面白いのではないか……と考えたのが、そもそものきっかけです。

── : 新刊の読みどころはどこですか。

美奈川:プラネタリウムを観たことがある人は多いと思うのですが、その投影操作や解説を職員の方が毎回生で行っている施設がほとんどだと知っている人は少ないのではないかと思います。本作ではそういった舞台裏の描写や、四季折々の星座の解説等を多く盛り込んでいるので、そこに注目して頂きたいです。
 作中で主人公がプラネタリウム解説員を「神の仕事」と称しますが、決してその言葉が大袈裟なものではないと感じてもらえればと思いますね。

── : 美奈川さん自身、よくプラネタリウムに行かれるのですか? また、プラネタリウムに行かれて、なにか新しい発見などはありましたか?

美奈川:実は私もこの話を書く前は、小学校の社会科見学ぐらいでしかプラネタリウムに行ったことがなかったんです。書くことが決まってから、取材のために色々な施設に行きました。家族連れやカップルのお客さんが多いイメージがあったので、最初は「女一人で行って大丈夫かな……」と心配だったのですが、意外に一人で来ている若い方や年配の方もいて、すごく居心地がよかったです。特に公共施設のプラネタリウムはかなり安い金額で楽しめますので、散歩がてらに気負わず行ってみてほしいです。

── : 生の解説を聞いて、一番感動した部分はどこですか?

美奈川:やはり、一方通行ではない所ですね。特に子供向けの投影は、お客さんが解説員の問いかけに答えたり、やりとりをしながらその場に応じて投影を進めていくんです。解説員の方に相当の知識があるからこそ対応できるんだろうなと感じましたし、プロの仕事を目の当たりにして、改めて小説にしたら面白いのではないかと思いました。

── : お気に入りのキャラクターは誰ですか。

美奈川:主人公の昴はどこにでもいる平凡な青年で、新入社員として配属されたプラネタリウム施設の業務に対してウダウダ悩む頼りない奴なのですが、等身大の人物として共感してもらえるかと思います。その分、最後に少しだけ成長した姿を見てもらえますので。
 脇役では、土崎と金原の変人先輩コンビですね。彼らは、ともすれば深刻になりがちだった主人公の心情をいろいろな意味で和らげてくれたのではないでしょうか。昴がいいように振り回されていただけかもしれませんが……

── : 確かに個性的なキャラクターが多いですね。キャラクターを作成するときに、モデルにしている人とかいるのでしょうか。

美奈川:さすがに著作も多くなってきたので、周囲にいる変人たちをモデルにするのもネタ切れ感が否めなくなってきたのですが……キャラクターには大なり小なりのギャップを作ることを大事にしています。出番が限られている脇役ほどそのギャップを大きくして、印象に残るようにしています。

── : 社会人1年目を送っている人に、なにかアドバイスはありますか?

美奈川:私自身会社員との兼業作家でして、早いものでこの4月で入社12年目となります。私はもともと長距離移動の乗り物が苦手な超インドア派だったのですが、1年目からいきなり鬼のように出張がある部署に配属されまして、まさに作中の昴同様「とんでもない所に来てしまったぞ……」と思いながら涙目で日本全国を飛び回っていました。それが今や、出張先で名物をたらふく食べるのが、会社員生活一番の楽しみです。理想と違っていたことや、自分には無理だと思うことなど、社会人になると色々な出来事に直面しますが、飛び込んでみると意外に新しい世界が見えてくるものです。チャレンジ精神を忘れないでほしいですね。

── : 今後書いていきたいものを教えてください。

美奈川:私の書きたいものは往々にしてマイナーな世界だったり、ニッチな業界の話だったりするので、読者のニーズとの折り合いをどうつけるのかが毎回の悩みどころです。ただ、誰も書こうとしなかった題材をあえて舞台にすることで生まれる面白さもあると思うので、読者の方が今まで知らなかった世界に興味を持って頂けるようなお話を創っていきたいです。

── : 最後に、読者に一言メッセージをお願いします。

美奈川:星を見るのが好きな人も、今は興味がない人も楽しめるお話になっていますので、読み終わった後に「今日の夜はちょっと空を見てみようかな?」「久しぶりにプラネタリウムに行ってみようかな?」と思っていただけたら嬉しいです。ありがとうございました。


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