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レビュー

超イケメン、でも頼りない……霊的トラウマを抱えた新米職員が事件に立ち向かう『横浜ゲートウォッチャー』

【カドブンレビュー】

 陰のある美少年は「最強のキャラクター」だと思う。完璧な容姿にもかかわらず、迷ったり苦悩したりするギャップが私たちとの距離を縮め、手が届きそうになるからこそ、現実感のある憧れを抱かせる。
『横浜ゲートウォッチャー』は、そんな「最強のキャラクター」の活躍にワクワクさせられる作品だ。
 横浜税関に新しく加わった「千々石ちぢわ天使たかし」は、港での積み荷検査の最中、白いネズミが逃げる姿を目撃する。密輸の可能性のある外来種を水際で捕獲するべく、同僚の森里、根住ねずみらと共に大捜索をすることに。しかし、いつまで捜しても見つからない白いネズミの代わりに発見されたのは、大量の土が詰まった謎の棺だった。やがて、怪しい土の分析をしていた職員の体調に異変が起き、天使らも不可思議な事件に巻き込まれていくことになる。
 カッコイイだけの主人公ならば、抜群の推理力と持ち前の行動力で謎を次々と解き明かして、事件を解決に導いてくれるのかもしれない。しかし、本作の主人公「天使」は新米職員で頼りないだけでなく、霊感の強さからオカルト現象を目撃してしまっては戸惑うばかり。こうした霊感の強さは、幼少期に起こった「ある事件」と深く関係しており、トラウマとなって長い間、天使を苦しめていた。

「どくろ……いし?」 「そうだが、それがどうした?」 言いながら根住が身を乗り出すと、それを避けるように、天使が畳の上で両手と両足をバタバタさせながらザザザッと背後に退いた。本能的な回避行動であるが、一歩間違えたら、その様は悪魔に取り憑かれた人のもので、そばにいた紀和がびっくりしたように天使を見つめる。

(p.172より)

 しかし、横浜港から侵入しようとする悪しきものを退治するためには、自らの能力が「切り札」であると根住たちに気づかされることになる。儚さや脆さ、それに謎めいた力を併せ持つ主人公が、港という「境界」で防波堤になろうと駆け回る姿は、まさに「最強のキャラクター」ならではの魅力が凝縮されている。
 もうすぐ4月。天使みたいな奴が職場にやって来たら楽しいのに、と妄想せずにはいられない。


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