むかし、むかし、文字は、伝達のために発明されたツールで、
そのへんに敵がいるとか、今年の麦は実が痩せてるとか、我が国の王様は偉大だとか(これは嘘かもしれない)をお知らせするものでした。
それが「べつに伝達しなくてもいいこと」に使われ始めたとき、世界はぐるんと1回転したんだと思います。緊急性とか公共性とか取っ払って、ただ面白いこと、誰かに会いたいこと、悲しかったこと、本当じゃないこと、本当じゃない形でしか言えないことに。
そうして、小説が生まれたのです。たぶん。
さらに長い年月が過ぎ、小説の書き手たちは思いました。この小説ってものが、小説であることを使って、もっと面白い小説が作れないかな?
そうして、今日も明日もその先も、さらにさらに面白い小説がたくさん生まれ、世界を覆いつくしていくのでした。めでたし、めでたし。
読書脳チャレンジ案件大集合!
小説(であることをとことん楽しむため)の小説8選
似鳥 鶏『小説の小説』(角川文庫)
本格ミステリの著者が描くメタ・フィクション!「常識」に捉われるべからず
いつものように殺人現場に出くわしてしまった名探偵。華麗な活躍で事件が解決したはずだったそのとき、思わぬ《伏兵》が推理を始め……?(「立体的な薮」)/異世界転生し、チート能力で無双する。誰もが夢見るシチュエーションに恵まれた「俺」だったが、最大の敵は、言葉の《イメージ》だった!(「文化が違う」)/「小説」とは何か、「書く」とは何か。創作の限界に挑む、これぞ禁断の小説爆誕!(「無小説」)/時は新法が成立し、検閲が合法化された曰本。表現の自由が脅かされる中、小説家の渦良は、《あらゆる》手を尽くして作品を書き続けるが――。(「曰本最後の小説」)
本格ミステリの著者が挑んだ新境地、メタ・フィクション! あなたが知る小説の概念を覆す、驚きの5編を収録!
(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322501000745/
恩田 陸『ユージニア』(角川文庫)
日本推理作家協会賞長編賞受賞、著者渾身の代表作!
あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は――。
(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/200711000367/
筒井康隆『残像に口紅を』(中公文庫)
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。
世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい……。言葉が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家。筒井康隆、究極の実験的長篇。
(中央公論新社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.chuko.co.jp/bunko/1995/04/202287.html
杉井 光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫nex)
衝撃のラストにあなたの見る世界は『透きとおる』。
大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが――。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。
(文藝春秋オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.shinchosha.co.jp/book/180262/
森見登美彦『熱帯』(文春文庫)
幻の本をめぐる冒険はいつしか妄想の大海原を駆けめぐり、謎の源流へ!
汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。
この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?
(文藝春秋社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.bunshun.co.jp/nettai/
泡坂妻夫『しあわせの書―迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術―』(新潮文庫)
マジシャンでもある著者が企んだ、「紙の本ならでは」の仕掛け。 未読の人には、絶対に本書のトリックを明かさないで下さい。
二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体〝惟霊(いれい)講会〟。超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には、実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ――。
(新潮社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.shinchosha.co.jp/book/144503/
背筋『口に関するアンケート』(ポプラ社)
口に関するアンケート
背筋(せすじ)
「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)で2023年にデビュー。同作が「このホラーがすごい! 2024年版」にて1位に。近著に「穢れた聖地巡礼について」 (KADOKAWA)など。
(ポプラ社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008465.html
道尾秀介『N』(集英社文庫)
読む順番で、世界が変わる。
全6章、あなた自身がつくる720通りの物語。
「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。
「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。
定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。
殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。
ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。
殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。
道尾秀介が「一冊の本」の概念を変える。
(集英社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-744658-6
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