直木賞受賞作『夜に星を放つ』へと連なる小説5選!
窪美澄が描く家族と人生
窪美澄さんが『夜に星を放つ』で第167回直木賞を受賞されました。
2009年に第8回女による女のためのR-18文学賞を受賞、『ふがいない僕は空を見た』で衝撃デビューを飾って以来、一貫して「生」と「性」をテーマとした小説を発表してきました。初期は「性」や「恋愛」に比重を置いた作品が多かった窪さんですが、近年は「生きること」「家族」を題材として、人と人のつながりやその関係性の難しさを、精力的に描いています。そんな窪さんの、直木賞受賞作を含む、「家族が愛おしくなる5作」を紹介します。
祝直木賞受賞、家族小説を読むなら今! 窪美澄作品の「家族が愛おしくなる5選」
『水やりはいつも深夜だけど』(角川文庫刊)
ごく普通の家庭の生々しい現実を強烈にえぐり出した、 珠玉の連作集
『ふがいない僕は空を見た』『よるのふくらみ』の実力派が贈る、珠玉の連作集
セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。
父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。
文庫化に際し、オリジナル短編、一編追加収録。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321612000244/
『いるいないみらい』(角川文庫刊)
子どもがいてもいなくても、毎日を懸命に生きるすべての人へ。珠玉の短編集
結婚して3年、35歳の知佳は智宏と2人暮らし。産休に入る同僚を横目に、結婚しているだけで幸せじゃないか、とメロンパンの欠片をコーヒーで飲みくだす日々だ。不妊治療を経て無事に出産した妹を見舞った夜、智宏から「赤ちゃん、欲しくない?」と問われた知佳は、咄嗟に答えられず……(「1DKとメロンパン」)。既婚、未婚、離婚、妊活、子供嫌い……すべての家族の在り様に注ぐ温かな眼差しに満ちた5つの物語。解説・渡辺ペコ
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322112000463/
『ははのれんあい』(KADOKAWA刊)
僕の家には、僕の家族には、恥ずかしいことなんて何ひとつない。
長男の智晴(ちはる)を産んだ由紀子は、優しい夫と義理の両親に囲まれ幸せな家庭を築くはずだった。しかし、双子の次男・三男が産まれた辺りから、次第にひずみが生じていく。死別、喧嘩、離婚。壊れかけた家族を救ったのは、幼い頃から母の奮闘と苦労を見守ってきた智晴だった。智晴は一家の大黒柱として、母と弟たちを支えながら懸命に生きていく。直木賞候補作『じっと手を見る』の著者が描く、心温まる感動の家族小説。
ひとつの家族の一代記みたいなものを書きたいと思ったのが最初のきっかけです。それも「普通の家族」ではなく、シングルマザー、離婚家庭など、そのときどきによって有機的に形を変えていく家族を書きたいと思いました。世間から見たら歪なものであっても、それでも「家族」なんだよ、どんな形をしていても「家族」としてどれも間違ってない、ということを伝えたかったです――窪美澄
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321612000240/
『朔が満ちる』(朝日新聞出版刊)
人生の半分以上、自分の家族から目を背けている。それでも“家”への興味はなくならないんだ。
かつて中学1年の時に僕は、斧で父に殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負い家族と離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の千尋との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。
『夜に星を放つ』(文藝春秋刊)
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圧巻の直木賞受賞作!
かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。
コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編。
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こぼれ落ちてしまう感情や心の揺れを描きたい。窪 美澄×今泉力哉「かそけきサンカヨウ」映画化記念スペシャル対談!
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「当時を思い出しながら感情を落とし込んだ作品です」(窪) 「読みながら、妻に謝りたくなりました」(カツセ)『ははのれんあい』刊行記念対談(前編) 窪 美澄×カツセマサヒコ
https://kadobun.jp/feature/talks/261rtpsriyv4.html
家族は有機体で、その形は状況に応じて変わっていく。時には家族を捨てなければならないときもある。 窪美澄氏インタビュー
https://kadobun.jp/feature/interview/1zm9w0sbj7i8.html
『いるいないみらい』刊行記念対談 渡辺ペコ(漫画家)×窪美澄(小説家)〈前編〉
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子どもがいる人もいない人も肯定したかった【窪美澄『いるいないみらい』インタビュー】
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【対談 加藤シゲアキ×窪美澄】結婚、家族、小説家という職業について。
https://kadobun.jp/feature/talks/2.html