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角川文庫キャラホラ通信

【キャラホラ通信3月号】『プランナーズ!』刊行記念 梨沙インタビュー

角川文庫キャラホラ通信

『華鬼』でデビューして以来、人気シリーズをたくさん抱える梨沙さんの最新作は、小さなマーケティング会社「プランナーズ」に就職した雛子(ひなこ)が蔵元の再生に挑む、お仕事小説です。本作の誕生秘話をメールインタビューでうかがいました!
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── : プランナーズ!』が生まれたきっかけを教えてください

梨沙:打ち合わせをしたのが2015年、今から約三年前です。なので、実は打ち合わせ内容をまったく覚えていません(すみません)。はじめて提出したプロットの仮題が『のみごろ果実』だったので、当初からアルコール関係のお話を書くつもり満々だったんだなお前! というのが伝わってきました。ちょうどお酒に興味を持ちはじめた時期だったので、その頃の初々しい気持ちをそのままぶつけたのだと思います。

── : ご自身、初のお仕事小説だと思うのですが、なにか意識して書かれたことはありますか?

梨沙:どのお話でも言えるんですが、楽しんで読んでもらえることを目指しています。当たり前のことではあるけれど、それが一番の基本。今回は雛子につきまとう謎の人物も加え、お仕事小説であると同時に別の側面でのスリルを味わっていただけたらと。

── : 何がきっかけでお酒に興味を持ちはじめたのでしょうか? また、作品中で、飲食に関する描写が美味しそうですが、梨沙さん自身、料理はお好きですか?

梨沙:ワインが体にいいとテレビで見るたびに飲んでいました。が、合わないんです。購入しても最後まで飲めない。ビールも苦すぎる。カクテル系がかろうじて飲めるという状態でした。そのため、アルコールは苦手だったんです。だけど、飲み会に行ったとき出てきた冷酒がものすごくおいしくて、あとでそれが辛口の日本酒だと知って驚いたことがありました。常温だったり燗をつけたりしたら飲めなかっただろう辛口の日本酒が、冷やすことでとても優しい飲み口に変わる。そうか、ワインもしっかり冷やして飲めばいいのか!と納得してチャレンジしましたがやっぱり飲めず、お酒の世界の奥深さを知った次第です。いろんな国で作られ愛されてるお酒ってすごいですよね。
 料理はもちろん大好きです。お酒のあては、豚足やタコの塩辛、イカの一夜干し、わさび醤油で食べるちくわ! とにかく楽につまめるものが好き。作る方は、一時期パスタに凝っていたことがありました。濃厚なカルボナーラ、さっぱりシーフードや明太子。でも一番好きなのが納豆パスタでした。きつね色に炒めたニンニクにパスタを絡め、納豆と梅肉、シソがあればご機嫌です。

── : 美味しそうですね。作中で、雛子がウキウキして料理や果実酒を作っている姿が目に浮かびます。さて、今回の『プランナーズ!』の一番の読みどころはどこでしょうか。

梨沙:主人公である雛子と、雛子の長年のトラウマ、そして、彼女の周りにいる人々との関係です。「だめ」なんてことはない。きっとどこかに「いいところ」がある。人と関わり、悩みながら、回り道しながらも自分を見つめ直すことで踏み出せる「ささやかだけど大切な一歩」を感じ取っていただけると嬉しいです。

── : 作中で、「変わらなきゃ」という雛子のセリフが印象的です。その原動力は、一体何だと思いますか?

梨沙:「後悔」です。なにをやってもうまくいかない雛子が、新しい環境で、新しいことにチャレンジする。人とかかわることが苦手な彼女にとって、それはチャレンジであると同時に試練でもある。誰にでもある「ああしておけばよかった」という思いに改めて向き直ることで、彼女自身の再生の物語がつむがれていきます。

── : 雛子の強い意志を感じます。その他に梨沙さんのお気に入りのキャラクターは誰ですか。

梨沙:おそらくそれほど目立たないに違いない、誰よりも日陰に生きている木綿くんです(※脇キャラ)。実際こんな人がいたら面倒くさいだろうなぁと思いつつ、コミュ障で潔癖症、人に触れられると死んじゃう感じの彼が残念すぎて楽しい。世界との接着面を限りなく減らして生きている彼に幸あれ! とはいえ、『プランナーズ!』は雛子をはじめ個性的なキャラが大勢いて、どのキャラもお気に入りです。出版を機に改めて読み直し、みんな生き生きしてるなぁ、と嬉しく思いました。

── : たしかに、私も「プランナーズ」で働きたいと思ってしまいました。立地が二子玉川と言うことでしたが、会社の場所をそこにした理由は?

梨沙:ひ、響きが好きだったから……!! でも実際に行ったのは、本当に取材のときだけだったという状況でした。ものすごくきらびやかで賑やかで、道路が住宅より高いところにあって、面白い立地にうきうき歩き回っていました。そして、ちょうどイメージ通りのお家があったりして興奮しました。カメラを持った不審者を見かけていたら、それは私だったかもしれません。近所の皆様、お騒がせしました。

── : 今後書いてみたいテーマを教えてください。

梨沙:「音」をキーワードにしたのが『プランナーズ!』だったのですが、このパターンでミステリ系も面白そうだと思っています。いかがでしょう。音に敏感な女子高生と、事件に巻き込まれていく青年の物語など。つつがなくひっそりと暮らしていきたいと願う省エネ系の彼の日常は、彼女との出会いで大崩落★……と、ここまで構想し、ああ私は基本的にちょっと変わった人が好きなんだなと実感しました。そんなキャラたちの、ふと見せる等身大の姿。騒がしい中にじんわりとあたたかなものを感じ取っていただけるものを書いていきたいです。

── : 面白そうですね! そんな高校生活を送れたら楽しそうです。梨沙さん自身の高校生活で一番記憶に残っている思い出は何ですか?

梨沙:在学中は美術部所属だったのですが、友人が窓辺で日向ぼっこしていたり、「部の伝統」で、歴代部長がシベリア(※美術準備室の通称)で皿回しの特訓を受けていたりと、部活関係の思い出が一番印象的でした。部員が少なく、自分のやりたいことをのんびりとおこなっていく方針の部活だったので、そういった点でも自分に合っていたんだろうなぁと思います。

── : 最後に、読者に一言メッセージをお願いします。

梨沙:ネットの片隅で細々と小説を書き、それが書籍化されデビューとなり、早十年。映画化されたりゲーム化されたりして、それまで触れることのなかった世界をたくさん経験することができました。私が作家としてこうして執筆していられるのも読んでくださった方がいたから。面白いと言ってくださった方がいたからです。ありがとうございます。今回お届けする『プランナーズ!』はお仕事小説です。疲れたとき、悩んだとき、かたわらに置いて息抜きついでに読んでいただけたら嬉しいです。不器用な雛子に降りかかる難題と恋模様、お楽しみください。


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