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【対談】「歩き方を見て驚きました」原作者が胸を衝かれた演技とは? ドラマ「テミスの不確かな法廷」直島翔×松山ケンイチ特別対談

発達障害を抱えた裁判官が、自らの特性と格闘しながら難解な事件に挑む法廷ヒューマンドラマ「テミスの不確かな法廷」。裁判官である主人公・安堂清春を演じる松山ケンイチさんと、原作小説『テミスの不確かな法廷』『テミスの不確かな法廷 再審の証人』著者の直島さんの対談をお届けします!

文/タカザワケンジ

ドラマ「テミスの不確かな法廷」直島翔×松山ケンイチ特別対談

探りながら演じている、ASDとADHDの特性を持つ主人公 


――まずは第1話の試写をご覧になっての感想からうかがいます。直島さん、松山さんの安堂はどうでしたか。

直島:一生懸命に生きてる人のチャーミングさが表現されていて、とてもよかったですね。がんばっているからこその哀しみもあって胸を衝かれました。その反面、法廷でのキリッとした表情にはエネルギーがあふれていて、すばらしい安堂清春をつくってくださったなと思います。

松山:ありがとうございます。直島先生の原作には安堂の内面が細かく描かれているので、それをどう表現するのかに悩みながら取り組んでいます。いま(2025年12月時点)も撮影が続いているので、まだ探っている状態です。

直島:第1話を観て驚いたのが松山さんの歩き方です。安堂清春はASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の特性を持っていますが、私の知る特性のある方と歩き方がそっくりでした。もともとその知り合いがヒントになって安堂が生まれたんです。

松山:そうだったんですね。安堂は裁判官ですけど、直島先生は司法記者をされていたそうですね。

直島:そうなんです。裁判官の方たちを取材していると、逆にこちらが質問されることがよくあって、普通の人の暮らしとか仕事を知りたがっていると感じました。裁判官は職業柄、公平中立であるために、あちこちに出ていって普通の人たちに交ざるわけにはいかないんですよ。でも、常識をちゃんと理解してないときちんとした判決は出せないですから。

原作小説を読んで気づいたこと


――松山さんは記者発表で「安堂は深い」とおっしゃっていましたね。そのへんをもう少しうかがいたいです。

松山:1人1人の人間はそれぞれの宇宙を持っていると思うので、みんなが深いと言えば深いんですけど、安堂が持っている特性や感性は僕と違うところが多くあるので、より深いと感じています。自分と似ているところのある人物なら、ある程度その言動が想像できるんですけど、安堂には想像できない部分がたくさんあります。こっちから探っていかないと、表現しきれないと思いますし、特性を持った人だということが視聴者に伝わるだろうかという不安があります。
特性を持っている方たちのグループケアの現場にお邪魔してお話をうかがう機会があったんですが、少しお話ししたくらいではその方たちの特性が何なのかわからないんですよ。安堂は周囲に特性があることを隠しているので、隠し切れれば周囲の人たちの中に溶け込んでしまいます。それではドラマの役として成立しなくなってしまうので、表現のバランスが難しいんですよね。

直島:映像で表現するのはたしかに難しいですね。本人は隠し切れてると思ってるけど、周りにはうすうす気づいている人もいて、知らず知らずのうちに支えられているのが現実なんでしょうけど。

松山:そうですね。僕もそういうことを意識してやっています。自分は隠せていると思っていて、「今日も完璧に隠し切れた」と思ってるかもしれないけど、全然完璧じゃないっていうか。バレバレだったりするのかなと。

直島:そこが安堂の人間らしいところというか、愛されるところじゃないかと思いますね。ドラマをご覧になるみなさんには、松山さんが演じる清春の指の先とか目の表情、口の動きをよく観てほしいですね。安堂の人柄の誠実さや、その時の気持ちが伝わってくると思います。

松山:そうおっしゃっていただけると嬉しいです。僕が原作を読ませていただいて思ったのは、この世界は自分と同じような人がいっぱいいる訳ではないっていうことです。みんなが自分と同じだっていう前提だと、コミュニケーションってしなくなると思うんですよ。みんなが違うから、コミュニケーションしないとわからないことがたくさんある。この人はこんなことを考えて生きてきたのか。これだけ傷ついて生きてきたのか。それがわかれば、相手への接し方も変わってくると思います。察してよとか、空気読めよっていうことじゃなくて。

直島:そうですね。たしかに。原作で安堂からどんなふうに世界が見えているかを細かく書いているのは、違いを知ってほしかったからです。

松山:だからこそコミュニケーションが大事なんだと思います。ドラマでもその部分を大切にしながら、自分とは違う1人の人間として、安堂を演じたいですね。


ドラマ情報

ドラマ10「テミスの不確かな法廷」
2026年1月6日(火)放送開始予定(全8話)
NHK総合 毎週火曜 夜10:00~
※NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信中
出演:
松山ケンイチ  鳴海唯 恒松祐里 山崎樹範
市川実日子/和久井映見 遠藤憲一 ほか
脚本:浜田秀哉
音楽:jizue
演出:吉川久岳(ランプ)、山下和徳、相良健一、富澤昭文
制作統括: 橋立聖史(ランプ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、渡辺悟(NHK)

https://www.nhk.jp/g/ts/32VWPKM6NX/

異色の青春×リーガルミステリ。原作小説第1弾!



書名:テミスの不確かな法廷
著者:直島 翔
発売日:2025年11月25日

Y地裁に赴任して半年、副市長が襲われた傷害事件を担当することになった裁判官の安堂清春は、弁護士の小野崎から被告人が無言を貫いていると聞き、何かを隠しているのではないかと気づくが……。微笑みながら殺人を告白する教師、娘は殺されたと主張する父親。生きづらさを抱えた青年が様々な事件に挑む、異色の青春リーガルミステリ!

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ラスト3ページで世界が反転。逆転法廷劇が話題の原作小説第2弾!



書名:テミスの不確かな法廷 再審の証人
著者:直島 翔
発売日:2025年12月22日

発達障害の特性に悩みながら日々裁判に向き合う安堂は、7千万円を盗み起訴された女性銀行員が囁いた一言、飼い犬殺害事件に潜むかすかな違和感などから、事件の真相を明らかにしていく。そんな中に現れた、殺人の濡れ衣を着せられたと訴える男。その再審裁判で証人として出廷したのは、検察ナンバー3の地位にいる安堂の父だった……。衝撃と感涙のラストが待ち受ける法廷ミステリ!

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著者プロフィール

直島 翔(なおしま・しょう)
1964年、宮崎県生まれ。立教大学社会学部卒業。新聞社勤務。社会部時代、検察庁など司法を担当し、『転がる検事に苔むさず』で第3回警察小説大賞を受賞し作家デビュー。その他の著書に『恋する検事はわきまえない』『警察医のコード』がある。


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