KADOKAWA Group
menu
menu

特集

次世代の文芸はWEBから生まれる ―― KADOKAWA文芸編集部がカクヨム発の3作を書籍化

 小説作品投稿サイト「カクヨム」(https://kakuyomu.jp/)から、個性の際立つ3作品を私たちKADOKAWA文芸編集部が2023年4月下旬に相次いで書籍化しました。
カクヨムなどの投稿サイトからは、これまでライトノベル系作品が多数書籍化されてきましたが、一般文芸作品はまだ開拓途上でした。ところが、2021年に『ほねがらみ』(芦花公園、幻冬舎)がカクヨムを経由して書籍化され、大きな話題となった時点から、WEB発の一般小説に脚光が当たるようになりました。
 2022年12月にKADOKAWA文芸編集部から書籍化した『今昔奈良物語集』(あをにまる)は作品の舞台である奈良県を中心に熱い支持をあつめて、3刷(23年4月現在)と好調な売れ行きを見せています。その軽妙な作風とライトかつビターな読み味は関西にとどまらず、日本全国に広がりつつあります。
 このたびKADOKAWA文芸編集部が世に放つ3作品は、SF、BL、青春ホラーとジャンルは違えど、従来の文芸作品の領域を拡大する、すぐれたエンターテインメント小説です。
「これが書きたかった」というカクヨム・ユーザーの原初的衝動と、「これが読みたかった」という編集部の欲求が交わるところにこの3作品は生まれました。また、カクヨム連載中からこれらの作品を、「これを他の人にも読んでほしい」という熱意あふれるレビューで支えてきたカクヨムの読者たちの存在も忘れてはいけないと私たちは考えています。
 3者の「書きたい」「読みたい」「読んでほしい」という思いが集まって、新しい文芸作品が生まれようとしています。この3作品から、「次世代の文芸」を感じていただけたら、私たちにとってこれほどうれしいことはありません。

KADOKAWA文芸編集部

『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』作品紹介



私は、最愛の娘を凌辱した挙げ句に殺した犯人を――許せなかった。少年法に守られて、極刑にもならずに、今ものうのうと生きている、あの鬼畜、あの悪魔。娘のいない人生など、何の価値もなかった。私自身は、どうなってもよかった。だから包丁を握りしめ、メッタ刺しにして殺してやったのだ……、罪にふさわしい罰を与えてやったのだ……! しかし、我に返った私は復讐の決行を決意した瞬間まで引き戻されていた。何度殺しても、何度殺しても、時計は先に進まない――。永遠の「今日」を繰り返す新世界SF。

〈担当編集者より〉
同じ時間を繰り返す「ループもの」はSFの中でも屈指の人気ジャンル。本作では、その特異な状況の中で生きる人々が、何を考え、何を感じ、何を愛し、何を憎むのか、リアルかつロマンティックに描いているところに最大の魅力があります。担当は第一話「インフェルノ」の衝撃的な冒頭で、ハートを撃ち抜かれました!

トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』宮野優 KADOKAWA 四六判並製単行本
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322212000987/
amazonページはこちら

『不能共』作品紹介



「貴方のことが大嫌いなんですよ」――目の前で彼女に死なれた男×その彼女の旦那だった男。ふたりの「不能」な男が、最悪の関係性からかけがえのない存在になる。愛憎入り乱れ修羅場系&感動BL! 交際相手の女性が既婚者と知り関係を清算しようとした朝陽大輝。だが彼女に目の前で自死されてしまう。葬儀後、「貴方しか彼女の話が出来る相手がいない」とその夫・清瀬隆が家に訪れ料理を作るようになり……。

〈担当編集者より〉
よくぞこんな設定を思いついたと拍手喝采。読み手をどんどん引き込む文章のドライヴ感も見事です。そして、凄絶悲惨すぎる物語の始まりからは予想がつかない超ハッピーエンド! 主人公2人のことが愛しくてたまらなくなるはずです。

不能共』草森ゆき KADOKAWA 四六判並製単行本
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322210001441/
amazonページはこちら

『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』作品紹介



僕の彼女は、怪談になった――。怪談ライターとしても活動中の大学生・米田。取材の最中に出会った乃亜という女性とやがて恋仲になるが、彼女はある事情から、「神隠し」に執着しており自らもいつか異界へ行くことを夢見ていた。夏休み、米田と乃亜は、奇妙な祭りの風習があるという話を聞いて、後輩の実家がある山奥の土地に赴いたのだが……。ラストが深く沁みる、大切な人に会いたくなる切ない青春恋愛ホラー。

〈担当編集者より〉
とにかくヒロインの乃亜が魅力的! 異界に惹かれる彼女と主人公との行く末から目が離せません。現代怪談のポイントとなるガジェットが沢山盛り込まれている本作ですが、初めてホラー小説を読むという人にもオススメできる一冊です。

夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』和田正雪 KADOKAWA 四六判並製単行本
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322210001442/
amazonページはこちら


紹介した書籍

関連書籍

MAGAZINES

小説 野性時代

最新号
2024年5月号

4月25日 発売

ダ・ヴィンチ

最新号
2024年6月号

5月7日 発売

怪と幽

最新号
Vol.016

4月23日 発売

ランキング

書籍週間ランキング

1

気になってる人が男じゃなかった VOL.2

著者 新井すみこ

2

気になってる人が男じゃなかった VOL.1

著者 新井すみこ

3

ニンゲンの飼い方

著者 ぴえ太

4

人間標本

著者 湊かなえ

5

怪と幽 vol.016 2024年5月

著者 京極夏彦 著者 小野不由美 著者 有栖川有栖 著者 岩井志麻子 著者 澤村伊智 著者 諸星大二郎 著者 高橋葉介 著者 押切蓮介 著者 荒俣宏 著者 小松和彦 著者 東雅夫

6

家族解散まで千キロメートル

著者 浅倉秋成

2024年5月6日 - 2024年5月12日 紀伊國屋書店調べ

もっとみる

アクセスランキング

TOP