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特集

累計50万部突破!!『青くて痛くて脆い』映画公開記念 原作者・住野よるさん特別インタビュー

取材・文:編集部 

傷つくことの痛みと青春の残酷さを描き切った意欲作『青くて痛くて脆い』がついに映画化!
公開日を目前に、一足先に映画をご覧になった原作者の住野よるさんにお話を伺ってきました。
ラストにカドブン会員限定の特別質問もありますので、どうぞお楽しみに!


©2020映画「青くて痛くて脆い」製作委員会


映画情報

2020年8月28日(金)全国東宝系にてロードショー
監督:狩山俊輔 脚本:杉原憲明
出演:吉沢 亮 杉咲 花 
   岡山天音 松本穂香 清水尋也 森 七菜 茅島みずき 光石 研 柄本 佑

aokuteitakutemoroi-movie.jp/



原作にとって映像化は「あったかもしれない」世界


――『青くて痛くて脆い』映画化、本当におめでとうございます! 住野さんご自身はキャストが決まった時、どんな印象を持たれましたか? また実際にご覧になって、何か印象が変化した点はありましたか?


住野:吉沢亮さんについては、観る前は「あんなかっこいい方に楓をやってもらっていいのかな」という気持ちを持っていました。しかし、映画を観ると、確かに楓がそこにいるような気持ちになり、吉沢亮さんの表情の細部まで行き届いた演技力に感動しました。杉咲花さんについては、他のインタビューでも申し上げたのですが、決定時には出演作をコントしか見たことがなく想像がつきませんでした。今は、実写になるなら杉咲花さんが演じられた以上の秋好はないのではないかと思っています。



――住野さんの作品が映像化されるのは2作品目になります。ご自身の文字の作品が映像という形で新しく生まれることについて、どう感じていらっしゃいますか?


住野:原作にとって映像化は「あったかもしれない」世界だと考えています。原作のどこかで登場人物の行動であるとか、選択が違い、少し違う未来になったものが映像化なのかな、と。原作は登場人物から見える部分しか描かないので、そこについては原作を好きでいてくださる方達にそれぞれの答えがあってしかるべきだと考えます。それは映画とはまるで違う部分もあるかもしれません。


――住野さんご自身には“秘密結社”の思い出はありますか? また“秘密結社”というモチーフが生まれた経緯について教えてください。


住野:自分は秘密結社を作ったことはないです(笑)。モアイは、1人の担当さんが大学時代に所属しておられた団体を元に描かれています。映画化した「交流会」の様子を見て、まさにこんな感じだと言っておられました。当時、お2人おられた担当さんと夜に集まっては朝方まで『青くて痛くて脆い』についての話をしていました。喧嘩をしたり、過去の傷をほじくりあったりしましたが、確かにあの日々は青春だったなと思っています。



»『青くて痛くて脆い』特設サイト

『君の膵臓をたべたい』を、楓がモアイを見るような目で見ていた


――本作では田端楓と秋好寿乃という対照的な男女が描かれています。住野さんがご自身と似ているな、と感じる部分などありますか? それはどういった部分ですか?


住野:楓の人間性の駄目な部分は自分とリンクしているな、と、しみじみ思います。書いていた当時、『君の膵臓をたべたい』が実写映画になった直後で一時的に作品が有名になり、さまざまな目で見られる『膵臓』を、楓がモアイを見るような目で見ていました。作中後半に出てくる、楓が今のモアイをどうしたいかと語るシーンでの彼の言葉は、自分自身の言葉でもあるなと思います。


――本作では思春期特有の残酷さや痛みが余すところなく描かれていますが、ご自身はそういう苦い思い出とはどのように折り合いをつけていらっしゃいますか? 私を含め、今もその思い出と共にずるずると生きている読者の方へアドバイスをお願いできたら嬉しいです。


住野:苦い思い出はたくさんありますが、過去は変えようがないので、後悔し反省することが大切なのかなと思います。青くて痛くて脆い時期に間違ったことをしてしまって、傷つけた人がいたとして、今更取り返しがつかないこともたくさんあると思います。その時に相手のためにできるせめてものことが、一生引きずり続けることなのかなと思います。その後悔や反省が少しでも自分をマシな人間にしてくれると信じて。


――大学時代は他者との距離感をどのように保つかも選択できる最も自由な時期だと思いますが、住野さんにとって大学時代とはどんな時間でしたか?


住野:大学時代は自らで様々なことを選択できる時期なのだと思います。自分について言えば、ある時に「好きだと思い込まされてるものがある」と思い、人や物との距離感を改めてはかりなおそうと考えました。その結果、友達はたくさんいた方がいい、ということも、家族や同級生のことは好きでいた方がいい、ということも、自分にとってはあまり大切ではないことに気が付きました。



住野 よる(すみの・よる)

小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿した『君の膵臓をたべたい』が話題になり2015年に出版、ベストセラーとなる。その他の作品に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『麦本三歩の好きなもの』がある。「よなよなエール」が好き。9月に最新刊『この気持ちもいつか忘れる』(新潮社)を刊行予定。

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