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特集

吉沢亮「“声”で伝える重要さを学びました」【映画「空の青さを知る人よ」公開記念インタビュー】

撮影:橋本 龍二  構成:アンチェイン  取材・文:奥村 百恵  ヘアメイク:小林 正憲(SHIMA) スタイリング:九(Yolken) 

大ヒット劇場アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」、「心が叫びたがってるんだ。」のチームが再集結!
映画「空の青さを知る人よ」が来週10/11(金)より公開されます。

今回、登場人物「慎之介」と「しんの」の役をオーディションで勝ち取った吉沢亮さんは、どのようにこの役と向き合い、挑んだのでしょうか。
声優初挑戦の吉沢さんにお話を伺いました。

演じる相手がいることの心強さ

――今作は、あかね・あおい・慎之介がいる世界に、13年前の過去から高校生の“しんの”がやってくるというファンタジックなストーリーです。今回、吉沢さんは声優初挑戦ということですが、アフレコ前にどんな準備をされましたか。


吉沢:前作を観直したり、いろんなジャンルのアニメ作品を観て声の出し方を研究しました。僕が演じる役の台詞を録音して、それを聴きながら“自分の声はどんな感じなのか”を確認したりもしました。

――ご自分の声を確認してみて、どういう印象を受けましたか。


吉沢:自分の声って、やっぱりすごく違和感がありますよね。普通のお芝居のときはそんなに気にしていなかったのですが、今回初めて声優に挑戦させていただき、アフレコも初めてで、映像に当てられた自分の声を聴いた瞬間はすごく違和感を覚えました。実はいまもまだ、少し照れくさいです(笑)。

――お芝居がとても自然でしたし、18歳のしんのと31歳の慎之介とでは、全く違う声の出し方をされていて、本当に吉沢さんは声優初挑戦なのかと驚きました。どんなところを意識して演じ分けましたか。


吉沢:18歳のしんのは未来しか見えていないような、希望のある明るさを持っていますけど、31歳の慎之介はミュージシャンとして成功するという夢に破れ、迷いを抱えながら過去を引きずって生きている。二人を演じ分けるというよりはそれぞれ全く違うキャラクターとして捉えていました。声のトーンを多少意識はしましたが、それよりも心情的な部分を大事に、別の人間として演じていました。

――キャラクターの画を見て、インスピレーションも湧いたり。


吉沢:ハッキリとそれが影響したのかはわからないですけど、演じるうえで多少はあったと思います。たとえば、しんのの髪の毛は赤いのですが、もしも金髪だったら“やんちゃな男の子”というイメージも湧いただろうと思いますし。


しんの場面

高校生の姿の慎之介こと“しんの”


――声だけでキャラクターの心情を表現するというのは難しかったですか。


吉沢:とても難しかったです。キャラクター自体は動いていますけど、実際に声を入れるときは、マイク前で体を動かさずに、声だけで表現しなければいけないので。普段のお芝居では表情や仕草、行動で心情を表すことが多いのですが、それを声だけでやろうとすると、普段のお芝居の5倍ぐらいのテンションで演じなければ伝わらなくて……。それで、テンションを上げるために体を動かしてみようと思ったんですけど、なんとなく怒られそうな気がしたのでやめました(笑)。

――劇中では4人の淡い恋模様が描かれますが、共演者との掛け合いのお芝居はいかがでしたか。中でも特に印象に残っているシーンを教えてください。


吉沢:あおい役の若山詩音さんに関しては、僕がテンションを上げてしんのを表現すると、それをちゃんと受け止めて返してくれるんです。それがとても心強かったですね。もしも一人だけテンション高めで演じていたら途中で恥ずかしくなって思い切りできなかったかもしれません。あかね役の吉岡里帆さんのお芝居からは、あかねの慎之介に対する愛情を感じました。酔っぱらってしまった慎之介をあかねがホテルまで送り届けてくれるシーンがあるんですが、慎之介のダサい部分とちゃんと向き合ってくれて、尚かつ厳しく諭してくれるところにあかねの愛を感じられました。あのシーンは個人的にとても好きで、演じていても心地よかったです。お二人とお芝居していると、たとえ声だけであっても“いま、お芝居をしているんだな”と実感することができました。



“声で何かを伝えること”の大切さ

――しんのの若さと慎之介の大人になった焦燥感、それぞれ味わいのある役柄でしたが、吉沢さんはどちらが演じやすかったですか。


吉沢:どちらが演じやすいと比較したことはなかったですが、しんのはキラキラと輝いていてカッコいい男の子なので、愛されるキャラクターとして見せなければいけないというプレッシャーを感じながら演じていました。一方で慎之介は人間味がある人なので、ダサければダサいほど、しんのが輝くのではないかなと意識して演じていました。そういった対照的な部分はしっかりと出せたように思います。


慎之介とあかね


――では、ご自身に近いと思ったのはどちらですか。


吉沢:共感できるのは慎之介ですね。しんのは18歳ですが、精神年齢は確実に慎之介よりも高いです。そして、慎之介はグズグズした人生を歩いていて現状を受け止めきれていないダサい男。でも、そのダサさが魅力的ですし人間らしくて好きです。それに慎之介のダサい部分というのは実は誰でも持っていて、そこに多くの方が共感できるんじゃないかなと思います。

――今回の経験もまた今後のお芝居に何か変化をもたらすかもしれないですね。


吉沢:そう思います。これまでは表情や体の動きを重視してお芝居していて、“声”をないがしろにしていたんだなと今回あらためて感じましたし、声だけで演じた経験から多くのことを学びました。よく考えたら、自分が観客として舞台を観たときに“この役者さんすごいな”と思うポイントはその役者さんの発声や声だったように思うんです。“声で何かを伝えること”の重要さに気付けたので、今後のお芝居にも活かすことができたらいいなと思っています。



衣装…スエードブーツ ¥65,000(ホワイトマウンテニアリング/ホワイトマウンテニアリング)、その他スタイリスト私物

映画情報


映画「空の青さを知る人よ」
2019 年 10 月 11 日(金)全国ロードショー
吉沢亮 吉岡里帆 若山詩音/ 松平健  
落合福嗣 大地葉 種﨑敦美   
主題歌:あいみょん(unBORDE / Warner Music Japan)
監督:長井龍雪
脚本:岡田麿里
キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀
soraaoproject.jp
©2019 SORAAO PROJECT

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吉沢 亮

1994年生まれ、東京都出身。2011年に俳優デビュー。「仮面ライダーフォーゼ」(11年/テレビ朝日)出演で話題となり、以降も多数のドラマ・映画に出演。近年の主な出演作は、「銀魂」(17年/監督:福田雄一)、「トモダチゲーム」シリーズ(17年/監督:永江二朗)、「斉木楠雄のΨ難」(17年/監督:福田雄一)など。18年には「悪と仮面のルール」(監督:中村哲平)、「リバーズ・エッジ」(監督:行定勲)、「ママレード・ボーイ」(監督:廣木隆一)を含め、8作品も公開となった。今年は、「キングダム」(監督:佐藤信介)で嬴政 、漂を好演。連続テレビ小説「なつぞら」(NHK)では、主人公なつの幼馴染み・山田天陽役で“天陽ロス”が続出するなど、人気を博す。21年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」では、主人公・渋沢栄一を演じる。

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