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特集

嘘をつくにはわけがある。「嘘つき小説5選」

嘘つきは泥棒の始まり。嘘をついてはいけない。そうは言うけれど、嘘にも程度があって、必ずしもすべての嘘が悪いものとは言い切れません。
「元気?」と聞かれて、慌てて返した「元気だよ」。「お待たせ」の声に、条件反射みたいに飛び出す「いま来たとこ」。
日常の小さな嘘もあれば、自分のしてしまった行為を隠すための嘘や、誰かを守るための嘘、誰かを陥れるための嘘、それ自体が犯罪行為になる嘘など、つく人や場面によって嘘も様々です。しかしどんな嘘であっても、嘘をつく側と嘘に翻弄される側の両方に何らかの動機や事情があるのは同じ。そこに人生のドラマがあり、小説であれば、読書の醍醐味があります。プロの作家が書く物語ですから、描かれている嘘──真実か嘘かは読み終わるまで分かりませんが──そのものにも魅力があり、引き込まれてしまうこと請け合いです。
人生のなかの嘘は、役立つこともあれば、誰かを傷つける要因や大切なものを失うきっかけにもなります。一方で、小説のなかの嘘は、面白さの源。「嘘」が魅了し翻弄する、5つの「嘘つき小説」をご紹介します。

「嘘」が小説を面白くする。「嘘つき小説5選」

一木けい『悪と無垢』(KADOKAWA刊)



彼女は無邪気に、優雅に、意味もなく、他人を不幸に陥れる。

「逃げなきゃ。この女のそばにいるのは危険すぎる」
新人作家、汐田聖が目にした不倫妻の独白ブログ。ありきたりな内容だったが、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。美しく、それでいて親しみやすさもある完璧な女性。彼女こそ、聖が長年存在を無視され、苦しめられてきた実の母親だった。ある時は遠い異国で、ある時は港の街で。名前も姿さえも偽りながら、無邪気に他人を次々と不幸に陥れる……。果たして彼女の目的は、そして、聖は理解不能の母にどう向き合うのか?

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322108000254/

辻村深月『嘘つきジェンガ』(文藝春秋刊)



つい重ねてしまった嘘の先に……

『鍵のない夢を見る』から10年、辻村深月が詐欺を描く。幸せが欲しくて嘘にすがりついてしまう人間の哀しみが、心に迫る3篇。

(あらすじ:BOOK☆WALKERより引用)

長岡弘樹『白衣の嘘』(角川文庫刊)



この結末は見抜けない! ミステリファン必読、名手の医療ミステリ短編集

苦手な縫合の練習のため、シミュレーターに向かう内科医の副島。彼が担当した女性患者はある秘密を抱えていた(「最後の良薬」)。バレーボール日本代表の彩夏と、医者である姉の多佳子。二人は実家に向かう途中でトンネル崩落事故に巻き込まれてしまう。運転席に閉じ込められた妹に対して多佳子がとった意外な行動とは(「涙の成分比」)。医療の現場を舞台に描き出す、鮮やかな謎と予想外の結末。名手による傑作ミステリ集。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321808000305/

下村敦史『闇に香る嘘』(講談社文庫刊)



27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。

(あらすじ:講談社オフィシャルHPより引用)

阿津川辰海『名探偵は嘘をつかない』(光文社文庫刊)



新人発掘プロジェクトから現れた鬼才、審査員を唸らせた必読のデビュー作、待望の文庫化!

名探偵・阿久津透。数々の事件を解決してきた彼は、証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したという罪で、本邦初の探偵弾劾裁判にかけられることになった。兄を見殺しにされた彼の助手、火村つかさは、裁判の請求人六名に名を連ねたが、その中には思わぬ人物も入っていて――! 

(あらすじ:光文社オフィシャルHPより引用)

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