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レビュー

【評者:岸田繁】生き方こそが生業。それがパンクと名付けられたとしても、芸術は人を救う

 恥ずかしながら、この本を読むまで町田康氏の作品に触れたことがなかった。彼の音楽にも、実は未だに触れたことがない。たまたま、だとも言えるが、なんとなく避けていた、とも言える。
 悩み相談に応える、というシンプルなコンセプトの今作を読破し思ったことは、町田康という人の作品に触れることが出来てとても良かった、ということだ。
 人の悩みはそれぞれ、応える側もそれぞれ。正しい導きというものもそれぞれ。釈迦に導かれる人も、今朝の自分の体調に導かれる人もいる。
 かく言う私も悩みを幾つか持っている。誰かに相談することもある。ほんとうの悩みを人に相談することは、ほんとうにしんどいことだ。それが悩みでもある。
 この本の中での悩み相談への受け応えからは、著者の高いリテラシーを感じる。にもかかわらず、軒先か赤提灯で話し込んでいるような、敷居の低いエンタメ性も感じられる。感服せざるを得ない。
 町田ファンに、当たり前だろうと突っ込まれることだろう。


書誌情報はこちら≫町田康『人生パンク道場』


▼岸田繁さんの書評記事はこちら

笑い終わったあと思考し、そして泣けるほど人のことが愛おしく思えるような珠玉の作品――『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』
いわゆる“怪談本”のような生易しいものではない――『怖い顔の話』
「オトコのカラダはキモチいい」ことをみんな別に知らなくてもいいけどコレは楽しい本だ――『オトコのカラダはキモチいい』
その人生自体が作品になった素晴らしい作家の素敵なメッセージ――『水木サンの幸福論』
命の意味、なんて軽々しく語るもんじゃないと思うけれど、語らないと始まらない――『記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞』


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