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レビュー

人生は〝楽〟ばかりじゃないけれど〝苦〟ばかりでもない 『それでも空は青い』

 まず、読者の皆さん。「お前は誰だ!?」というツッコミがあるかと思います。はい、私は作家でも書評家でもありません。大阪のとある書店で文庫担当の書店員をしている者です。荻原さんとの関係は、ウチの店舗で『噂』を仕掛け販売したことがきっかけです。寝食を忘れるような面白さと、衝撃のラスト一行に打ちのめされて、「なんとしてもこの本を売りたい!」と自作のPOPで展開しました。幸運にもそれで徐々に売れ始め、今までに私のお店だけでも一四〇〇冊を販売させていただきました。わざわざ東京からいらした荻原さんが百冊以上のサイン本を作って下さったこともありました。そのことをどこで知ったのか、「本の旅人」編集部の方が、この書評とPOPのお話を持ちかけて下さったという次第です。
 たいへん光栄に思う一方で、私なんかで……と今でも気が引けています。ただ、個人的にも大ファンの荻原さんの新作をひと足先に読ませていただけるのならと、思い切って引き受けさせていただきました。
『それでも空は青い』は、直木賞受賞作の『海の見える理髪店』以来約二年ぶりの独立した短篇集です。荻原さんはこれまで、『噂』はもちろん 、『明日の記憶』『愛しの座敷わらし』『金魚姫』など本当に様々なタイプの作品を書いてこられていて、読者の皆さん一人ひとりにもそれぞれに好きな「荻原作品」があると思います。作品ごとに思いもよらない角度から新しい貌を見せてくれる荻原さんですが、読者のなかには「今度は私の好きな荻原浩だろうか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
 ご安心下さい。収められている七つの物語には、笑いアリ、涙アリ、そしてユーモアも恐怖もアリ、しかも最後にはほんのり心温まる――荻原さんらしさがギュッと詰まった作品集です。この一冊のなかに、必ずあなたも大好きになる一篇が見つかるはずです。
 私の偏愛的一篇は、なんと言っても「あなたによく似た機械」。ある若い夫婦のお話なのですが、また、荻原さんにまんまとやられてしまいました。巧妙な仕掛けと畳みかけるような展開に「エッ、エッ、ウソ! ウソウソ! ヤダー!」となること必至。ただ『噂』と違うのは、もうとにかく切なすぎる!ということ。私、最後には涙を流してしまいました。特に女性、気を付けて下さいね。
 人生は〝楽〟ばかりじゃないけれど〝苦〟ばかりでもない。 当たり前のようだけれど、七篇はどれもそのことを教えてくれます。
「それでも空は青い」
 そう思ってまた明日を生きていこうと、背中を押してくれるような作品集です!

書店員の皆さま:こちらの画像をコピーし、実際にPOPとしてご活用くださいませ!


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