ブックコンシェルジュ

匂いと言葉と人々と。「大阪小説5選」
特定の街や土地を舞台にした小説を読むとき、文章からその場所の匂いを感じることがあります。それは嗅覚だけでなく、頬で、手足で、全身で感じる、温度や湿度まで混じったもの。台詞からはその土地の言葉が聞こえ、物語のなかにその土地ならではの人々の営みがある。
本を閉じたとき、行ったことのある街でも、知らない土地でも、ついさっきまでそこにいてその場所の空気や音に触れていた気がしてしまう、そんな気持ちも、読書の醍醐味の一つ。
今回ご紹介する小説の舞台は、大阪。
大正時代や阪神・淡路大震災前夜など、さまざまな時代の大阪の土地で繰り広げられる5つのおすすめ小説です。
本のなかには街がある。おすすめの「大阪小説5選」
北沢陶『をんごく』(KADOKAWA刊)
第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 史上初の三冠受賞作!
嫁さんは、死んでもまだこの世にうろついているんだよ――
大正時代末期、大阪船場。画家の壮一郎は、妻・倭子の死を受け入れられずにいた。
未練から巫女に降霊を頼んだがうまくいかず、「奥さんは普通の霊とは違う」と警告を受ける。
巫女の懸念は現実となり、壮一郎のもとに倭子が現われるが、その声や気配は歪なものであった。
倭子の霊について探る壮一郎は、顔のない存在「エリマキ」と出会う。
エリマキは死を自覚していない霊を喰って生きていると言い、
倭子の霊を狙うが、大勢の“何か”に阻まれてしまう。
壮一郎とエリマキは怪現象の謎を追ううち、忌まわしい事実に直面する――。
家に、死んだはずの妻がいる。
この世に留めるのは、未練か、呪いか。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322306001322/
森絵都『この女』(文春文庫刊)
ベストセラー『カラフル』に続く冒険恋愛小説
日雇い労働者の青年と、ミステリアスな資産家の妻。二人の人生が交錯するとき、思いがけない事件が起こる。新境地を切り開いた傑作!
有栖川有栖『幻坂』(角川文庫刊)
大阪の町にある「天王寺七坂」を舞台に紡ぐ幻想的な怪談集。
坂の側に咲き乱れる山茶花の花に、幼い頃死んだ友達を偲ぶ「清水坂」。自らの嫉妬のために、恋人を死に追いやってしまった男の苦 悩が哀しい「愛染坂」。大阪で頓死した芭蕉の最期を描く「枯野」など粒ぞろいの9編
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321509000155/
西加奈子 『通天閣』(ちくま文庫刊)
西加奈子がちょっとええ
ほかほかの大阪書きました。
このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ちょっぴり暖かい灯を点す驚きと感動の物語。織田作之助賞受賞作。
黒川博行『破門』(角川文庫刊)
第151回直木賞を受賞した、エンタメ小説の最高峰。
映画製作への出資金を持ち逃げされたヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮。失踪したプロデューサーを追い、桑原は本家筋の構成員を病院送りにしてしまう。組同士の込みあいをふたりは切り抜けられるのか
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321512000044/
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