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特集

【ブックガイド】身近な「世界」に謎はある 東京ダイバーシティミステリ5選

ホーチミンで藤沢周平を読んだことがあります。
雨に降りこめられて出かけられない午後、降ってわいた半日のひとり読書会。
周り中知らない言葉が飛び交い、普段体感しないレベルの暑気と湿気のなかで読んだ江戸の「市井もの」は、なんだかすごく異世界感がありました。あんなに心細い読書はなかったけど、同時に、日ごろの読書では味わえない解放感もあった気がします。混ざりものだらけの、よるべない自由。
ひょっとしたら、わたしたちはもっと、混ざってもいいのかもしれない。知らなかった痛みもさみしさも、予期しない楽しさも、かるい事故みたいに出会って、うっかりつないでしまった手の離れがたさも、もっと味わいたい。
混ざりあった世界は今よりきっと不可解になってゆくけれど、わたしたちにはその不可解すらエンタメに変える手段があるではないですか。そう、ミステリ!!……待つこと久しかった長浦京さんの新刊『シスター・レイ』(めちゃかっこいいジャケットですよね!)をはじめ、異文化の出会う街、東京を駆け抜けるミステリの数々をご紹介します。

※本記事は2025年4月6日に「カドブン」note出張所に掲載した記事の転載です。

おすすめの「東京ダイバーシティミステリ5選」

長浦京『シスター・レイ』(KADOKAWA)



東京下町に隠された巨大な裏社会。元特殊部隊の“シスター”が闇を駆ける!

東京墨田区の外国人たちの相談役的存在で、「シスター」と慕われる、予備校の英語講師、能條玲。フィリピン出身の友人女性からの頼みで彼女の息子を探すことになった玲は、彼を探すうちに、ひょんなことから暴力団と外国人半グレ集団とのトラブルに巻き込まれてしまう。普段はただの一般人としてふるまう彼女だが、元フランス特殊部隊のエースという隠された経歴があった。前職の技術を活かし、暴力団と半グレたちを制圧して事件を解決に導く玲。その後も相次ぐトラブルに巻き込まれた外国人たちを助けていくうちに、玲は下町に隠された国際的な陰謀に巻き込まれていく。

(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322211000505/

大沢在昌『熱風団地』(角川文庫)



国際情勢を揺るがすピースを手に入れろ!爽快バディ・ストーリー

フリーの観光ガイド佐抜克郎は、外務省関係者から東南アジアの小国“ベサール”の王子を捜してほしいと依頼を受ける。軍事クーデターをきっかけに王族の一部が日本に逃れていたのだ。佐抜は“あがり症”だが、ベサール語を話せるという特技があった。相棒として紹介された元女子プロレスラーのヒナとともに、佐抜は王子の行方を求めて多国籍の外国人が暮らす「アジア団地」に足を踏み入れる。ベサールの民主化を警戒する外国勢力や日和見を決め込む外務省に翻弄されながらも、佐抜は大きな決断の舞台に近づいてゆく――。

(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322311000519/

馳星周『不夜城』(角川文庫)



20世紀の日本ミステリ界に燦然と輝く黒い宝石

アジア屈指の歓楽街・新宿歌舞伎町の中国人黒社会を器用に生き抜く劉健一。だが、上海マフィアのボスの片腕を殺し逃亡していたかつての相棒・呉富春が町に戻り、事態は変わった――。

(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/199999344201/

黒丸『東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー(1)』(KCデラックス)



破天荒な女性警察官とゲイの警察通訳人の最強バディ!

東京都の外国人居住者の割合、3.98%。パーセンテージではたったそれだけ。
でもそれだけの人が確かにここにいるーー。
さまざまな事情で日本にやってきて、犯罪に巻き込まれた、または犯罪を起こしてしまった外国人による事件と向き合う、警視庁 国際捜査係の鴻田麻里と警察通訳人の有木野了。
言葉がわからない国でいきなり逮捕されたらどうしたらいい…!? 自宅で子供が誘拐された…!?
日本でこんな事件が起きているなんて知らなかったーー2人の捜査の中で明らかになる、知られざる日本での国際犯罪の姿と、浮き彫りになる犯罪関係者たちの過酷な現実。
破天荒な女性警察官とゲイの警察通訳人の最強バディによる、これまでにない新たな警察漫画!!

(講談社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000357251

安堂ホセ『ジャクソンひとり』河出書房新社



東京に暮らすブラックミックスたちが企む鮮やかな逆襲劇

「実際に生きてるってこと。盗用したポルノごっこじゃなくて」
アフリカのどこかと日本のハーフで、昔モデルやってて、ゲイらしい――。
スポーツブランドのスタッフ専用ジムで整体師をするジャクソンについての噂。
ある日、彼のTシャツから偶然QRコードが読み取られ、そこにはブラックミックスの男が裸で磔にされた姿が映されていた。
誰もが一目で男をジャクソンだと判断し、本人が否定しても信じない。
仕方なく独自の調査を始めたジャクソンは、動画の男は自分だと主張する3人の男に出会い――。

(河出書房新社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309030845/

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