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――「予言」が、ミステリの世界で密かな流行を見せていることをご存じだろうか?
 有栖川有栖『インド倶楽部の謎』、阿津川辰海『星詠師の記憶』、辻堂ゆめ『今、死ぬ夢を見ましたか』など、予言や予知夢といった超常的な要素を取り入れ、謎解きに上手く絡めた本格ミステリが、昨年あたりから同時多発的に発表されているのだ。中でも、『屍人荘の殺人』で鮎川哲也賞を受賞し、一気にベストセラー作家となった今村昌弘の第二長篇『魔眼の匣の殺人』と、『ぼぎわんが、来る』で日本ホラー小説大賞を受賞してホラー界の希望の星となった澤村伊智が初めて挑んだ本格ミステリ『予言の島』は、いずれも予言通りに人が死んでゆく展開の注目作だ。
 そこで、いま最も期待される作家であるお二人に、「予言ミステリ」について大いに語っていただいた。まずは、お互いの作品の感想から――。

澤村:もちろん剣崎比留子シリーズ第一作の『屍人荘の殺人』も読んでおりますが、僕は断然『魔眼の匣の殺人』のほうが面白かったですね。特殊設定ミステリのひとつの評価軸である、クローズドサークルから動機からトリックから、あらゆるミステリ的な要素に特殊設定を絡めていく精度が、今回はより高くなっていると感じました。

今村:『予言の島』を一読して思ったのは、これは勇気だなあと。というのは、このパターンの仕掛けは、僕は怖くて出来ないですね。手掛かりを確実にフェアに残しておきたいけど、サプライズのために隠したいという、そのバランスが難しい仕掛けです。また、これを一回やってしまうと、今後読者に構えて読まれてしまうのが僕は怖くて。そういう僕が避けた部分を、澤村さんが初の本格ミステリでやられたというのは、肝の据わった方なんだなあと衝撃を受けましたね。

澤村:『魔眼の匣の殺人』は、前作と共通の仕掛けがあったじゃないですか、悔しかったですね(笑)。同じ趣向をより巧妙に使えるというのもシリーズものの強みなんだなあと思いましたね。僕は逆に同じ手を使う勇気がないんで。

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書籍

『予言の島』

澤村 伊智

定価 1728円(本体1600円+税)

発売日:2019年03月15日

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