カドブンノベルをご愛読いただいた皆様へ
2020年12月号をもって、いったん、カドブンノベルを休刊する運びとなりました。
ガラケーからスマホへ、PCからタブレットへ、時代もデバイスも、日々めまぐるしく変化している中、いつでも思いたったときに、自由に、好きなだけ、最旬の物語が楽しめるように。電子媒体だからこその、のびやかで勢いのある、チャレンジングな試行錯誤を、様々重ねてまいりました。そんな挑戦を面白がり、共鳴してご寄稿くださった作家の方々、そしてその物語を楽しみ、支持してくださった読者の皆様の存在に、あらためて深くお礼申し上げます。
脈々と築きあげてまいりましたこの大きな物語の流れと、培ってまいりましたデジタルの知見を活かして、さらに自由で驚きに満ち、パワーアップした媒体を、2021年春にはお届けできるよう、編集部一同、日々学びを深め、鋭意準備を重ねております。これからお届けすることになる物語にも、これまでと変わらぬ、あたたかなお気持ちを寄せていただけますように――再会を期しつつ、改めてお願い申し上げます。
長きにわたってのご愛読、本当にどうもありがとうございました。
カドブンノベル編集長
松崎夕里
【今月のおすすめ】
★最終回 須賀しのぶ「荒城に白百合ありて」
鏡子と伊織の運命は!?
幕末を舞台に描く大河ロマンス、完結!
著者より
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。はじめての時代物ということで戸惑うことが多く、迷惑をかけっぱなしだったのですが、周囲の方々のお力添えのおかげでようやくここまで辿りつきました。最後のほうは友人との会話で「かたじけない」とぽろっと出るぐらいどっぷりでした(笑)。大幅加筆修正の上、11月に単行本発売予定です。そちらでも薩摩と会津の二人の行く末を見届けていただければ幸いです。
編集部より
須賀先生、連載完結、祝着至極に存じます! 読者諸賢におかれましても、最後までお付き合いいただき誠にありがとうございます。須賀先生は早くも次の戦い(単行本作業)に邁進されていますが、担当は物語の余韻に浸っております。鏡子と伊織はこの後どうなったかなど、妄想の種は尽きません。単行本で描かれるやもですが、11月を楽しみにしつつも、それまでは自由に妄想いただければ、担当としてこれに勝る喜びはございません。
★最終回 竹本健治「狐火の辻」
不可解な交通事故と怪談の真相に楢津木刑事が挑む。
謎と怪奇が綯い交る幻想ミステリー、ここに完結!
著者より
今回の『狐火の辻』を書くにあたって目指したのは、とにかく朦朧とした話を書こうというのがひとつ。そしてもうひとつ念頭に置いたのが〈滋味〉ということだった。従ってというわけではないが、その解明にあたってはミステリ的な〈技〉を控え、基本である〈裏返しのカードが明かされること自体の面白さ〉に集約させようとしたのだが、それが功を奏しているかどうかにつ
いては、毎回のことながら洗った首を差し出す心境である。
編集部より
無関係に思える数件の交通事故と様々な怪談が不穏に交錯する本作が、ついに最終回を迎えました。「ゲーム三部作」や『涙香迷宮』をはじめ竹本作品ではお馴染みの天才棋士・牧場智久や、楢津木刑事ら「湯河原怪奇探偵団」の活躍によって、枝分かれしたそれぞれの出来事が見事に収斂してゆくラストは圧巻です! 楢津木に遠隔指示を出す牧場もさることながら、これを書いている竹本さんの頭の中がどうなっているのか覗いてみたくなります。単行本も準備中ですので、どうぞお楽しみに。
【今月のラインナップ】
連載小説
赤川次郎/新井素子/伊東潤/櫛木理宇/須賀しのぶ/竹本健治/谷村志穂/中山七里/
藤野恵美/増田俊也/三羽省吾/夢枕獏/渡辺優
エッセイ
今野敏/酒井順子/でんすけのかいぬし