『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』発売記念! 井上純一×田中圭一トークイベントレポート【後編】
ありとあらゆる人が経済漫画を描いた方がいい!?
井上純一さんと田中圭一さんが、共通して取り組んでいるエッセイ漫画についても語りつくします!
先月、書泉ブックタワーで井上純一さんと田中圭一さんのトークイベントが開催されました。
前編に続いて、後編は、お二人が取り組んでいるエッセイ漫画についても語ります。
井上さんが『キミ金』の反省点を踏まえて、田中さんにアドバイス!?
様々なエッセイ漫画を通して、今後の野望まで話されたトークを、お楽しみください。
『若ゲのいたり』は正しい
――後編ではお二人が共通して取り組んでいるエッセイ漫画についてもお話ししていただきます。
井上:田中圭一先生にぜひ一考していただきたいことがあるんです。経済漫画を描きませんか?
田中:僕がですか。
井上:みんな知らないわけですよ、経済の常識を。だから広めるべきなんです。そのためにはありとあらゆる人が経済漫画を描いたほうがいい。描きませんか?
田中:僕ができるとしたら、経済のことはまったくよくわかりません! っていう立場で描くってことですよね。
井上:いいですね。なんで銀行の金利は低いのか。そういう漫画を描くんです。銀行はお金がなくて困ってる。お金を預けてほしい。だったら金利を上げればいいじゃないか。なぜ上げないのか。それだけで1話描けますよ。
田中:バブルの頃はめちゃくちゃ金利が高かったですからね。いまはねえ。
井上:バブルといえば、田中圭一さんの『若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春』。ゲームクリエイターのレジェンドたちの成功譚で、バブルと時代が重なる。いい漫画ですねえ。
田中:ありがとうございます。
井上:『若ゲのいたり』に描いてあることって、正しいんですよ。若手が面白いことを言い出す。上司がそれに反対する。でも、反対を押し切って企画を通したら成功する。若手のほうが正しいんです。例外もありますけど、だいたいのエピソードがそうですよね。
田中:1980年代、90年代はゲーム業界がまだ若かったから。
井上:それもありますよ。でもそれだけじゃないんです。企業にお金があったからできたんですよ。
田中:なるほど!
井上:『若ゲのいたり』に描いてあることが夢物語だって言ってるわけじゃないんですよ。その逆。こっちが本当。この漫画に描かれている成功譚こそ常識です。いまの日本もこうあるべきなんですよ。
開発費も人件費も潤沢にあれば、いいものができる。いろんな人材を雇う余裕がないと。働き蟻は一定の数はサボるっていうじゃないですか。でも働かないやつがいたほうが会社は成長するんです。
田中:そうですね。ゲームに限らず、のちにすごいヒットを飛ばす人って組織の隅っこにいてよくわけのわからないことをやってる人なんですよね。
『史記』にある「お金の常識」
田中:そういえば、この10年、日本から面白い商品やサービスがまったく出なくなっちゃいましたね。たとえば、ガラケーのiモード(1999年)。日本発の、世界で最初の、ケータイ電話でインターネットに接続できるサービスだったわけですよね。サブカルだと、ボーカロイドの草分け、初音ミク(2007年)。新しい商品がパタっと出なくなったのが2011年の東日本大震災以降ですね。
井上:東日本大震災が起きて国民から税金を取りましたよね。復興税。ありえないですよ。大震災が起きて税金を上げる。どうかしてる。逆だろう。ここは減税だろう。
税金集めていいことなんてないの。税金を集めて政府はウハウハだなんて思っている人もいるかもしれないけどそうじゃない。ただ単に発行したお金を回収しているだけだから。シュレッダーに入れてるのと何も変わらない。
田中:お金の流れが滞るだけ。誰もハッピーにならない。
井上:これね、税務署の人も理解していないみたいで、税金がたくさん取れるといいことのように思ってるらしい。違うの。いちばん見なきゃいけないのは物価なの。
昔、戦争に負けて滅亡しかかった国の王が識者に聞いたんですよ。
そしたら「物価が上がったら(政府の)ものを売って市場のお金を回収しろ、逆に下がったらどんどん買って市場にお金を回せ」と言ったと。
なんと、中国の『史記』に書いてあるんですよ。そんな大昔からわかっていることを、あらあらびっくり、日本政府はわかってない(笑)。世界中のありとあらゆる経済学者が「なぜいま消費税を上げるのかがさっぱりわからない」と言ってますよ。「日本はおかしいんじゃないか」と。
この世のどこに、物価の上昇率が2%を切っているのに増税するバカがいるんだ。世の中にお金がないってことなんだから、税金で回収しちゃだめなんです。なぜわからない?