2023年、創刊30周年を迎えた角川ホラー文庫。
編集者たちは今日も元気に朗らかに、黒くてこわい本を作っています。
本記事では、そんな角川ホラー文庫編集部ではたらく5名の編集者に直撃!
①30周年期間中に手掛けた作品
②おすすめの角川ホラー文庫
を教えてもらいました。
好みが似ている編集者を見つけたら、本選びがもっと楽しくなるかも?
さあ、素敵なホラー文庫ライフを!
角川ホラー文庫編集部のおすすめホラー5選
編集部員 吸血Kさんの場合
①30周年期間中の担当作
- 【2023年6月】『人形の墓 美内すずえ作品集』
- 【2023年7月】『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』
- 【2023年7月】『ゆうれい談』
- 【2023年10月】『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』
- 【2023年10月】『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2《怪物》』
- 【2023年12月】『影牢 現代ホラー小説傑作集』
- 【2023年12月】『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』
②おすすめの角川ホラー文庫
阿泉来堂『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』
担当作は全部オススメで、一冊に絞るなんて…ですが、書き下ろし&新人作家ということで、阿泉さんを推します! 7月にはBook3を刊行予定です! 猟奇殺人もの、どんでんもの、キャラ濃い&ホラー&ミステリ好きには大満足のはず。ボルヘスの「バベルの図書館」を彷彿とさせる怪奇ものでもあります!
〈あらすじ〉
殺された女性の遺体には、カフカの『変身』を引用したメモが残されていた。これは連続殺人鬼グレゴール・キラーの再来なのか……。過去の傷を抱える刑事と若き相棒が、古書に魅入られた猟奇殺人犯を追う。
編集部員Mさんの場合
①30周年期間中の担当作
- 【2023年9月】『怪談狩り 葬儀猫』
- 【2024年3月】『スラッシャー 廃園の殺人』
- 【2024年3月】『極楽に至る忌門』
②おすすめの角川ホラー文庫
三津田信三『スラッシャー 廃園の殺人』
三津田信三さんのホラー映画への偏愛が炸裂する本書ですが、やっぱり三津田ワールドは裏切らない。最後はあっと驚くどんでん返しが待ち受けています! 本書がホラー文庫から刊行できると決まった瞬間、ヒグチユウコさんにカバー絵を手がけていただきたいと思いました。打ち合わせは、「この世で何が一番怖いか?」と、Mが愛する“鉄の処女”の話題などで盛り上がりました。さらに、著者自らがオマージュの元となった映画を紹介する「好事家のためのノート」も収録。ホラー作家の頭の中を覗き見る興奮が味わえます! 読んで、観て。あなたの大好きなホラー作品に出会ってください。
〈あらすじ〉
ホラー作家が巨額の費用をかけて造り上げた廃墟庭園。ここでは遺体も発見され、遂に作家自身も謎の失踪を遂げた。この“魔庭”をロケハンのために訪れた映画関係者たちに、想像を絶する恐怖が襲いかかる!!
編集部員(い)さんの場合
①30周年期間中の担当作
- 【2023年8月】『バチカン奇跡調査官 聖剣の預言』
- 【2023年12月】『やまのめの六人』
- 【2024年2月】『ゆうずどの結末』
- 【2024年3月】『すみせごの贄』
②おすすめの角川ホラー文庫
恒川光太郎『白昼夢の森の少女』
『夜市』や『秋の牢獄』がオススメ作品としてあげられることの多い恒川さんですが、この作品は初期から様々な媒体で書かれてきた11の短編を収めた1冊。「恒川ワールド」と呼ばれる著者だけしか書けない異界に是非皆さんも迷い込んでください。マジで意味が分かんないくらい、短編がうまい。初めて恒川さんを読むよという方にもオススメです!
〈あらすじ〉
異才が10年の間に書き紡いだ、危うい魅力に満ちた11の白昼夢。人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは(「白昼夢の森の少女」)。巨大な船に乗り込んだ者は、歳をとらず、時空を超えて永遠に旅をするという(「銀の船」)。この作家の想像力に限界は無い。恐怖と歓喜、自由と哀切―小説の魅力が詰まった傑作短編集。文庫書き下ろしの掌編「ある春の目隠し」も特別収録!
編集部員(T)さんの場合
①30周年期間中の担当作
- 【2023年4月】『人獣細工』
- 【2023年5月】『LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』
- 【2023年8月】『AΩ 超空想科学怪奇譚』
- 【2023年11月】『アイズ 猟奇死体観察官・児玉永久』
- 【2023年11月】『BEAST 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』
- 【2023年12月】『肉食屋敷』
- 【2024年1月】『ゴールデン・ブラッド』
②おすすめの角川ホラー文庫
郷内心瞳『拝み屋怪談 花嫁の家』
特級呪物を復活させてしまいました。ホラーファンなら知らない者はいない、しかし古本価格は高騰し、とにかく手に入らなかった呪いの書……それが本書『拝み屋怪談 花嫁の家』。実際に拝み屋を営む著者・郷内心瞳氏が東北の旧家で体験した、戦慄の怪異譚です。「とにかく、怖すぎる」。読んだ人は口を揃えて、そう言います。
〈あらすじ〉
その家に嫁いだ花嫁は、必ず死ぬ。これまでも代々の花嫁は数年の内に亡くなっていた。この家に嫁いだ女性から相談を受けた著者は、殺意に満ちた怪奇現象の数々を目の当たりにする……。戦慄の怪談実話集。
編集部員K・Hさんの場合
①30周年期間中の担当作
- 【2023年11月】『日本ホラー小説大賞 《短編賞》集成1』
- 【2023年11月】『日本ホラー小説大賞 《短編賞》集成2』
- 【2024年1月】『マッチング』
②おすすめの角川ホラー文庫
三津田信三『十三の呪 死相学探偵1』
私がホラー文庫を好きになったきっかけの本。ライトで読みやすいですが、ホラーとしてもミステリとしても重厚に読める作品です! 僕にゃんがかわいい。
〈あらすじ〉
他人に現れた死相が見える弦矢俊一郎。大学卒業以後、神保町で探偵事務所を始めた彼の元に、初めての依頼人が訪れる。だが、アイドル顔負けの彼女には死の影は全く見つけられず……。
角川ホラー文庫編集長・藤田孝弘より
最近、ホラーが流行っている、売れている、という話をよく耳にしますが、違います。ホラーはずっと人気があるし、みんな昔から怖いものが大好きなんです。ホラー映画、ホラー漫画、肝試しにお化け屋敷、ネット上の都市伝説……「怖いもの見たさ」という言葉が表す通り、ホラーは原初的なエンタメなのです。中でも文字と想像力だけで恐怖を味わえるのがホラー小説。角川ホラー文庫編集部員おすすめの一冊をぜひ手にとってみてください。
ちなみに私のおすすめは『ゆうずどの結末』。読んだら呪われて死んでしまう、角川ホラー文庫の話です!
滝川さり『ゆうずどの結末』
自殺した同級生が手にしていた小説「ゆうずど」を、先輩から渡された斗真。自殺と小説の関連性を疑ったものの不審な点はない。しかし直後に本を読んだ先輩も自殺し、斗真の手元には「ゆうずど」が現れ……。
2023年度に刊行された角川ホラー文庫の全ラインナップはこちら!
【角川ホラー文庫30周年】2023年度に刊行された全作品をふりかえる