世界一周旅行、YouTube、起業・・・やりたいことは全部やる!
コミュ力、ってなんだろう?
自分にあればいいのに、と思っている人のなんと多いことか、そして大半がコミュ力の実態も正体も知らないんじゃないかと思う。ないと社会でやっていけないと言われ続けてきたけれど、実のところ、何なんだろう?
筆者もそのひとりでした。難聴うさぎさんの本を読むまでは。
よろず、コミュニケーションは、ことばのやりとりだと思われがちだ。とっさにうまいこと言ったり、「刺さる」ひと言で場をおさめたり、合コンの盛り上げ役だったり、そういうことができるひとがコミュ強だと。しかしこの本『音のない世界でコミュ力を磨く』によれば、難聴うさぎさんはたぶん、どれにも該当しない。彼女は、先天性の聴覚障がいを持っているからだ。怒鳴り声も、踏切の音も、補聴器なしでは聴こえない。読唇も手話も、前述のようなことばのすばやい応酬には(たぶん)向いていないだろう。
にもかかわらず、彼女はまぎれもなくコミュニケーションの達人なのだ。
子供のころから目立つことが好きだった。目立っていれば声をかけてもらえる。他人が求めること、自分がするべきことがわかる。コミュニケーションを発信するのに聴力というハードルがあるなら、自分というアイキャッチを使ってコミュニケーションのほうを引き寄せる、なんという逆転の発想!
でも、目立てば大人数に囲まれる。誰が話しはじめるかわからず、ともすれば同時に動く唇に囲まれての読み取りは難しい。望んで起こした状況の中で、さみしさを嚙み締める日もある。
うまくできた、とにこにこしたり、やっぱりだめだ、と凹んだり、声に頼らなくて済むチャットにはまったことも――待って待って、これってわたしの話なんじゃないの? と思った。わたしたちが日頃くりかえしているトライ&エラーとアップダウン、フォロワー総計55万人のスターにして若き経営者=難聴うさぎさんとなにも変わらない。
ひとつ違うことがあるとするなら、難聴うさぎさんは簡単に諦めないのだ。しばしば訪れたであろう圧倒的な孤独の中でも、彼女は常に次の手段を、世界に差し出すべきなにかを、磨いてきたのだと思う。自分ってどんな存在なんだろう、このひとは、あのひとは、みんなはどんな存在なんだろう、どうすれば伝わるんだろう、彼女は考え続ける。
その結果としてのピアノ演奏であり、世界一周であり、起業であり、フォロワー数55万のインフルエンサーであり、芸能人としての活動なのだ。そして、まだまだ、彼女自身も知り得ない未来が広がっている。
実は、この本に精神論はほとんどないのだ、自身のライフヒストリーにしても、聴覚障がい者がどういう存在で、何に困っているかにしても、SNSでの発信にしても、そこにあるのは悩み、考え、行動してきた彼女が素手でつかんだ「事実」だ。だからこそこの本は、すごい人(本当にすごいのだけど)=難聴うさぎさんの活動記録というだけではなく、ちっともすごくなれないわたしたち自身が生きていくための、心強い相棒にもなりうるのだと思う。
生きることは、無数の他者とコミットしてゆくことでもある。コミュニケーションとは、大喜利みたいな反射神経よさのことじゃない、誰をも引き付けるカリスマ性の産物でもない、ただ、伝えたいと、届けたいと願い続けること、そのために考え続け、動き続けること、諦めずに人生を愉しむこと。そんな等身大の営みなのだと、難聴うさぎさんは教えてくれる。
読み終わったとき、新緑のなか、どこまでも自由に跳ねてゆく彼女が見えるような気がした。うさぎ耳がクイっと動いたら、それは「次は、あなたの番だよ」の合図かもしれない。
(カドブン季節労働者K)
『音のない世界でコミュ力を磨く』について
音のない世界でコミュ力を磨く
著者 難聴うさぎ
定価: 1,650円 (本体1,500円+税)
発売日:2023年04月26日
世界一周旅行、YouTube、起業・・・やりたいことは全部やる!
生まれつき耳が聞こえず、補聴器をつけて生活。
現在YouTuber、会社経営、タレントとして活動し、SNS総フォロワー55万人を超えるインフルエンサー・難聴うさぎの初エッセイ。
障がいを抱えながらも、「自分の人生を前向きに生きる」がモットー!
体は左右非対称だったため、左足の骨を強制的に伸ばすためにたくさん針金を通したり、目はひどい斜視で手術をしたり…、
現在も聴覚障がいとともに、突発性睡眠障がいも抱えて生活している。
★本書の魅力
「障がいがあるからできないのでは」という固定観念を覆して、世界一周旅行や起業、女優やYouTubeをやったりと行動力とコミュニケーション力がある著者。
広くいえば、備わってるスペックを気にせず本能のままに生きることに通じると思います。
障がいがある人、周りに障がいを抱えている方がいる人、悩みを抱えている人、人生に迷っている人のヒントになる本です。
『それって本当にやりたいこと?』『できるできないで判断してない?』
『自分の人生の主人公は自分だ』という思いを綴った一冊。
また、聴覚障がいは、身体的に一見わからないため周囲の「理解」があるのとないのとでは全然違うと言われる障がいのひとつです。
先天性でなくともストレスなどによって起こりうる、決して他人事ではないテーマでもあります。
「口を見るだけで会話できる」「筆談が苦手な人もいる」など聴覚障がいへの理解を深めることもできる本となっています。
詳細ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322302000131/
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