ブックコンシェルジュ
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“物語の中の物語”がもたらすものは――。1冊で何度も面白い「作中作小説5選」
“作中作”とはつまり、 “作品の中の作品”のことです。
小説の中にあらわれる、その小説そのものとは別の内容の小説、あるいは手記、あるいは書物、あるいは手紙。
ミステリであれば、その作中作の中には謎を解くヒントが隠されているかもしれません。
サスペンスであれば、その作中作に触れた者は何かに囚われてしまうかもしれません。
ファンタジーであれば、その作中作の向こうに別の世界が広がっているかもしれません。
ひとりの作家が、その作品そのものに加え、作品の中の作品にまで技巧を凝らして生み出した小説――そこには、物語の面白さがみっちりと詰め込まれています。
“作中作小説”には傑作多数! 今回はそんな作中作小説のおすすめを5つ、ご紹介させていただきます。
超絶技巧の名作ばかり! 絶対おすすめの「作中作小説5選」
深緑野分『この本を盗む者は』(KADOKAWA刊)
本の魔力と魅力を詰め込んだ、空想の宝箱!
「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」
書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。
“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”
本の呪いが発動し、街は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り世界が元に戻らないと知った深冬は、探偵が銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨大な獣を巡る話など、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れて――。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000257/
コミカライズはこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322111000777/
恩田陸『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫刊)
たった1人にたった1晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。
鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼん)「三月は深き紅の淵を」の話。
森見登美彦『熱帯』(文春文庫刊)
どうしても「読み終えられない本」がある――。その名も『熱帯』。
この本を探し求める作家の森見登美彦はある日、〈沈黙読書会〉なる催しでふしぎな女性に出会う。彼女は言った「あなたは、何もご存じない」と。
『熱帯』の秘密を解き明かすべく組織された〈学団〉と、彼らがたどり着いた〈暴夜書房〉。
東京・有楽町からはじまった物語は、いつしか京都、さらには予想もしなかった地平へと突き進む。
米澤穂信『追想五断章』(集英社文庫刊)
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青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。
大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光(すごう よしみつ)は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、と依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり――。五つの物語に秘められた真実とは?
著:アンソニー・ホロヴィッツ、訳:山田蘭 『カササギ殺人事件』(創元推理文庫刊)
現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!
1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけて転落したのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理は――。
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