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特集

綾野剛「この映画は、皆さんに託すことで完成すると思いました」【映画「楽園」完成披露試写会レポート】

構成/アンチェイン

 吉田修一の短編集『犯罪小説集』(角川文庫)全5編のうち「青田Y字路」と「万屋善次郎」の2編を題材に描いた映画「楽園」の完成披露イベントが、9月5日にTOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催された。本作は、ある地方で起きた少女失踪事件と、それを取り巻く人々を描くサスペンス作品で、この日、主演の綾野剛の他、杉咲花、佐藤浩市、片岡礼子、瀬々敬久監督が登壇。現場でのエピソードや本作への想いを語った。
 事件の容疑者となる、孤独な青年・豪士を演じた綾野は、「ようやくこの『楽園』が走り出すんだなと感じています」と、多くの観客が集まった会場を見渡しコメント。失踪した少女の親友・紡を演じた杉咲に綾野との共演を聞くと「綾野さんは役柄に入り込む方だと思っていたので、近づかないほうがいいのかなと思っていましたが、気さくに声をかけてくださったり、誕生日にはプレゼントをくださいました。2つも!」と嬉しそうに声を弾ませた。
 本作のタイトル「楽園」について瀬々監督は「昔から吉田修一さんの本が好きで、いろんな監督が映画化するのを羨ましいなと思っていました。やっと念願叶って映画化でき、嬉しく思っています。原作は短編集なので、そのうちの2編をアレンジして、映画オリジナルのものも入れさせてもらいました。タイトルをそのまま『犯罪小説集』にするわけにもいかず、ある日、ふと『楽園』という言葉が想い浮かび、このタイトルに決まりました」とエピソードを披露。
 イベント終盤には、タイトルにちなんだ「あなたにとっての楽園とは?」という質問に対して、集落に住む善次郎を演じた佐藤は、「『楽園』という言葉の中に情景も含まれているが、反面、残酷な響きもあると思う。僕はこのタイトルを見たときに、この映画の真髄がすっと奥まで見えたので、このタイトルをつけてくれた監督に感謝しています。掛け違えたボタンは、本来掛け直すことができるはず。だけど、それが出来ずに突き進んでしまう人間たちがいるという愚かさを、悲しみと思うかは、観てくれたお客様に委ねたい」と本作についての想いを吐露。



 最後に綾野が「いままで映画に携わってきて、皆さんに伝えたい、何かを感じてもらいたいと作品を作ってきました。だけどこの作品を観たとき、新しい感情が芽生えました。それは“皆さんに託す”ということです。この映画は、皆さんに託すことで作品が完成すると思いました。たくさんの感情をこの作品に投影してもらえたら幸いです」と真摯に語った。続けて瀬々監督は「限界集落での差別問題などが、この映画の背景にはあります。それをぶち破りたいと思い、作りました。この映画を観て、自分の心の中にある『楽園』を感じてもらえたら、そこから生まれた力がまた新しい力になっていくのではないかと思っています」と締めくくった。


左から、監督・瀬々敬久さん、佐藤浩市さん、綾野 剛さん、杉咲 花さん、片岡礼子さん


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 ▷映画「楽園」公開記念特別対談 『犯罪小説集』原作者・吉田修一×俳優・綾野剛 【第1回】どんなことがあっても、人は生きていかなくてはいけない
 ▷【『犯罪小説集』文庫解説】「よって映画のタイトルは『楽園』とさせていただいた」(解説者:瀬々敬久 / 映画「楽園」監督)
 ▷【対談 『犯罪小説集』原作者・吉田修一×ノンフィクション作家・清水潔】「事件」に関わる者の“共通点”と“相違点”とは――。

映画情報


映画「楽園」
10 月 18 日(金)公開
監督・脚本/瀬々敬久
原作/吉田修一
出演/綾野剛、杉咲花、佐藤浩市ほか
https://rakuen-movie.jp/
©2019「楽園」製作委員会


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