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特集

物語の凄みが凝縮された傑作 『吸血鬼』刊行記念! 時代を見つめ、自分の頭で考えるために。 今こそ、佐藤亜紀作品が必要だ!

「小説は、しょせん作りものだ」という声があります。でも、「小説でしか描けない現実」は確実にあります。
圧倒的な暴力で命と生活を破壊し、すべてが数値化され、私たちの身を竦ませる戦争――何をしていいかわからない。こんな時こそ、佐藤亜紀さんの物語を手にしてほしいと切実に願います。

著者は、国家と権力、そして人間をテーマに、物語を紡ぎ続けてきました。戦争、革命など圧倒的な暴力を前に、人間は何ができるのか? 何を守るのか? そんな問いかけとともに、作品の中でさまざまな人間の闘い方が描かれます。
ダサいナチスにジャズで対抗した少年少女たち。戦時中、スパイ戦の道具にされた異能の青年たちが、人生を掴み取るため反旗を翻す姿。大戦末期、陰謀渦巻く中、論理と交渉術のみで命がけの任務を果たしたノンキャリアの役人――。
角川文庫の最新刊『吸血鬼』は、19世紀ポーランドを舞台に、都市部から田舎の僻村に着任した役人ゲスラーが主人公です。元文学青年で、知識と制度で村を良くしようと意気込むゲスラーは、迷信深い土地で何を目撃するのか……?

極限状態での人間の愚かしさ、滑稽さがこれでもかと描かれるとともに、矜持を守る人間の姿があり、心が熱く震えます。時代も国も価値観が違っても、変わらない根源的なもの、“生きようとする人間”がいます。
混沌とした時代を自分らしく生き抜くための武器が、心に火を灯す熱が、これらの物語の中にあります。
物語の凄みをぜひ、あなたも体験してみてください。

著者の言葉

こんにちは、佐藤亜紀です。
吸血鬼小説は小説を書き始めた十代の頃から書くと決めていましたがついぞ形を取ったことはなく、気が付くと五十になっておりました。ロマン主義風の暗黒の美学とか悪の魅惑とかも色褪せて見えるお年頃です。AMCのドラマ「ブレイキング・バッド」に嵌って人生に疲れた五十男が今更のように夢を叶える様に口を開けて見入っておりました。どんな年頃にもそれぞれの「悪」の夢があります。
五十歳の「悪」は二十歳のそれとは違っており、しかもどうしようもなく二十歳の夢を引きずっているものです。ロマン主義真っ盛りの時代の若者たちは五十になろうという時、どんな夢を見たのだろう、そこには二十歳の頃のどんな夢が響いていたのだろう――『吸血鬼』はそういう話でもあります。

作品紹介
KADOKAWAの佐藤亜紀作品

『吸血鬼』【角川文庫】



暗闇を照らす光は、 革命か、文学の力か。
1845年、オーストリア帝国の支配下にあるポーランド。寒村ジェキに赴任した役人ゲスラーは、若き妻を伴い陰鬱な地にやってきた。かつて文学青年だった彼は、愛国詩人でもある領主との交流を心待ちにしていたのだ。だがその矢先、村で次々に不審な死が発生し、人々は土俗的な迷信に怯え始める――独立蜂起の火種が燻る空気の中、人間の本質と恐怖の根源を炙り出す、恐ろしくも美しい物語。皆川博子氏と作者による解説を収録。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322105000223/
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『スウィングしなけりゃ意味がない』【角川文庫】



1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。15歳のエディが熱狂しているのは頽廃音楽と呼ばれる“スウィング”だ。だが音楽と恋に彩られた彼らの青春にも、徐々に戦争が色濃く影を落としはじめる――。戦時下のドイツを舞台に描く音楽青春小説!
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321808000330/
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『バルタザールの遍歴』【角川文庫】



ウィーンの公爵家に生まれたメルヒオールとバルタザール。しかし2つの心に用意された体は1つだけだった。やがて放蕩と転落の果てに、ナチスに目を付けられた2人は――。世界レベルのデビュー作!
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000255/
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『天使・雲雀ひばり』【角川文庫】



生まれながらに特殊な「感覚」を持ったジェルジュは、オーストリアの諜報活動を指揮する権力者の配下となる(「天使」)。特殊な「感覚」を持つ工作員たちの闘いと青春を描く、姉妹篇2冊をまとめた決定版。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000256/
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『黄金列車』【角川文庫】



ハンガリー王国大蔵省の職員・バログは、現場担当としてユダヤ人の資産を保護・退避させるべく「黄金列車」に乗り込む。財宝を狙い近づいてくる悪党らを相手に、文官の論理と交渉術で渡り合っていくが――。命がけの戦いを描く著者の新たな傑作!
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322010000450/
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『喜べ、幸いなる魂よ』【KADOKAWA 単行本】



18世紀ベルギーのフランドル地方、ヤネケは幼なじみであるヤンの子を産むと生涯単身を選んだ女たちが住まう「ベギン会」に移り住む。女性ゆえの不自由に屈せず生きるヤネケと、時代の変化と苦闘するヤン、ふたりの大きな愛の物語。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322102001022/
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著者略歴

佐藤亜紀(さとう・あき)
1962年新潟県生まれ。91年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2003年『天使』で芸術選奨新人賞を、08年『ミノタウロス』で吉川英治文学新人賞を受賞。16年に発表した『吸血鬼』と19年に発表した『黄金列車』はそれぞれTwitter文学賞国内編第1位を獲得した。他の著書に『鏡の影』『戦争の法』『モンティニーの狼男爵』『1809』『醜聞の作法』『金の仔牛』『スウィングしなけりゃ意味がない』『喜べ、幸いなる魂よ』など多数。

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知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本 直】



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https://kadobun.jp/reviews/bunko/entry-45457.html

「この一冊で佐藤亜紀の小説に出合うあなたが羨ましくてならない」宝の山の入口のようなインテリジェンス(知性/諜報)歴史小説『天使・雲雀』


https://kadobun.jp/reviews/review/dpu1hjbv3j4g.html


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