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特集

【著者本人への特別インタビュー!】パウロ・コエーリョ最新作『弓を引く人』――時には、学んだことが何だったのか、じっくりと理解しなければならないこともあるのです。

『弓を引く人』刊行記念、パウロ・コエーリョ特別インタビュー

 世界で8500万部の大ベストセラーになっている『アルケミスト 夢を旅した少年』の作者、パウロ・コエーリョの最新刊『弓を引く人』が刊行されました。弓道を題材にした寓話を通して、人生を実り豊かにするヒントがちりばめられた、素敵なイラスト満載の本です。「作者と弓道(アーチェリー)の関係は?」「どのようにして物語が生まれたのか」――を是非読んでみてください。



パウロ・コエーリョ特別インタビュー


――ご自身も“弓を引く人”としてアーチェリーをされていますが、このスポーツに惹かれた理由は何ですか?

 若い頃から、とてもエレガントだと思っていましたし、「いつかこれをやるんだ」と自分に言い聞かせていました。ピレネー山脈に小さな家を持って暮らし始めたのですが、そこで偶然、ある人と出会いました。その人は私に弓と矢の使い方を教え始め、アーチェリーの基本を教えてくれたのです。
 弓道では、手を開き矢を放った瞬間に極度の緊張から完全なリラックス状態になります。また、姿勢が良くないとうまく射ることができないので、実にエレガントな所作になるものです。集中力の高め方を学べますし、単に運動のためではなく、自分が好きなこと・やりたいことを実現するために練習するということでもあります。それが、私がアーチェリーを学んだ理由です。


――アーチェリーでの経験は、『弓を引く人』の執筆にどのような影響を与えましたか?

 ある意味では、『弓を引く人』は私のアーチェリーでの経験を分解した結果ともいえるものです。もちろん、ガイドラインやストーリーも必要でしたが。読んでいくうちに、私が学んだことや、必要としたことをすべて学ぶことができるでしょう。
 矢を射るとは、単にまっさらな的を射るということではなく、弓を通して世界を見ようとすることです。手を開く前の、緊張が張り詰めている瞬間を通して世界を見ることです。的に届くか届かないかは関係ありません。重要なのは、弓、矢、そして的そのものになることなのです。


――『弓を引く人』を書くきっかけとなった体験はありますか?

 ある日、ピレネーにある自宅で座っていると、ふと、「アーチェリーとは、なんてすごいのだろう」という思いが浮かび、自分の体験を本にしたいと考えました。少なくとも自分が読むために、あるいは自分のためにその体験を凝縮させて書き残したいと思いました。私は本能的に学んだことを、自らに対して教えようとしたのです。
 時には、学んだことが何だったのか、じっくりと理解しなければならないこともあるのですね。そのようにして、私はこの本を書き上げました。それが今、あなたの手元にあるものです。


――サンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン・ガリシア州の州都/キリスト教の聖地)は、あなたの作品、特に『弓を引く人』にどのような影響を与えたと思いますか?

 サンティアゴ・デ・コンポステーラ(への巡礼)は、「自分の目標を知り、そこに向かって進む」というものです。一点に集中して前進しなければならないことを学んだという意味で、とても影響を受けました。


――『弓を引く人』には、人生を豊かに生きるためのシンプルな指針が示されています。人生の本質的な真実について学んだことを伝えるためには、寓話やたとえ話(比喩)が最も効果的な方法だと思いますか?

 (笑い)実際、人生はシンプルなものです。それなのに、私たちは多くのことを複雑にしています。寓話や比喩はその、自分自身の隠された部分に語りかけるものです。
 自分の周りにあるシンプルなものに注意を払うことで、人生の本質を知ることができる。これが『弓を引く人』の基本的な考え方です。「弓」の重要性、「集中力」の重要性、「友情」をはじめすべてについて語っています。結局のところ、それが人生です。自分の人生を完全に生ききることで学ぶのです。


――あなたには、“哲也”(『弓を引く人』の登場人物/弓の名人)のようなメンターがいましたか? もしそうなら、どのような教えを学びましたか?

 私の本で使っているような比喩的な意味ではなく、私には、どうやって射るか、どうやって自分を傷つけないようにするかといった基本的なことを学ぶ必要があったという意味で、師匠がいました。私がいま知っていることを教えてくれたのはその師匠ですので、彼にはとても感謝しています。
 しかし、結局のところ、前にも述べたように、人は何かをすることで、好きなことをすることで学んでいくものです。ですから、メンターは必要ありません。ただ、ステップを踏むことが必要なのです。ステップを踏めば先に進むことができ、それを繰り返しているうちに、ある日突然、自動的にではないですが、自分の潜在意識が自分を支配して、先に進むことができるようになるのです。


――若手作家を指導する際には、“哲也”を見習うようにしていますか?

 若い作家の指導はしません。私が誰かに何かを教える必要があるのでしょうか? もちろん、マスタークラス(MasterClass/各専門分野の名人・著名人が教える特別講座を提供しているスタートアップ)からのお誘いなどもありますが、教えることがないので引き受けません。書くことは、それ自体が経験になり、学びとなると思うからです。


――あなたの作品に影響を与えた精神的、宗教的なものについて教えてください。『アルケミスト』が多くの読者に精神的なガイドとして利用されていることをどう感じていますか。また、同じように『弓を引く人』をガイドとして利用する読者もいると思いますか?

 もちろん、『弓を引く人』の物語の道筋の中に、『アルケミスト』にあるのと同じ“旅”を発見してもらいたいと思っていますが、両者は違うものです。『アルケミスト』は旅の本であり――ある意味『弓を引く人』もそうなのですが――『弓を引く人』では人生の基本を学んでほしいと思います。本当にそう願っています。


――読者が『弓を引く人』から何を得ることを期待していますか?

 読者の皆さんはそれぞれ異なる方法でこの本を体験しているので、その人自身が何を望み、得られるかはわかりません。私は自分の本についての多くの手紙を受け取るのですが、時々、作者である私が見ていないものを本のなかに見て、それについて手紙で教えてくれることがあります。そのような手紙は読んでいてとても楽しいものです。それは私が、読者からの手紙を通して、自らについて学ぶことができるからです。


パウロ・コエーリョ 近影

Photo by Philippe Cabidoche


作品紹介



弓を引く人
著者 パウロ・コエーリョ 共訳 山川 紘矢 共訳 山川 亜希子
定価: 1,980円(本体1,800円+税)
発売日:2021年11月20日

『アルケミスト』のパウロ・コエーリョが贈る、人生を実り豊かにする教え
この国で最高の弓の達人である哲也は、現在、小さな村の普通の大工として生きていたが、ある日、遠い国から来た別の弓の達人から挑戦を受けた。
哲也はこの挑戦を受けることによって、その弓の達人だけでなく、村の少年にも弓の真髄を教えるのであった――。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322102000108/
amazonページはこちら

『弓を引く人』試し読み



弓の名人が村の少年に教える「実りある人生」のヒント――『アルケミスト』のパウロ・コエーリョの新作『弓を引く人』試し読み#1
https://kadobun.jp/trial/yumiwohikuhito/c6py6o8zk68k.html


パウロ・コエーリョ

1947年ブラジル、リオデジャネイロ生まれ。現代において最も影響力のある作家の一人といわれている。2002年よりブラジル文学アカデミー会員。著作の多くが世界的ベストセラーとなり、88か国語に翻訳され、これまで170以上の国々で3億2000万部以上を売り上げた。多くの名誉ある国際的な賞を受賞しており、そのなかにはフランスのレジオン・ドヌール勲章がある。2007年には国連ピース・メッセンジャーに任命された。

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