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高良健吾主演・映画「アンダー・ユア・ベッド」7/19公開! 原作者・大石圭インタビュー

――いよいよ明日、映画「アンダー・ユア・ベッド」が公開となりますね。大石さんは試写会などで、もう既に3回(!)ご覧になったとのことですが、ぜひ感想などをお聞かせください。


大石:事前に脚本を読んでいたので、映画「アンダー・ユア・ベッド」はかなりいいものになるのだろうと感じていました。ですが、実際に見て度肝を抜かれました。映画がそれほどに素晴らしかったのです。ストーリーがわかっていたにもかかわらず、不覚にも僕は上映中に何度も涙してしまいました。その涙に僕自身が驚きました。
 これまでにも何度か小説を映画にしてもらっていますが、原作がそのままの形で映像化されることを期待したことはありません。映画には上映時間という制約がありますから、すべてのストーリーをそのままに撮影することは困難なのです。ですから、僕はいつも「原作のニュアンスを残しながら、まったく別の、新しいものを作り出してもらえたらいい」と思っています。今回もそうでした。
 けれど、映画「アンダー・ユア・ベッド」には、僕が読者に訴えたかったことが、ほんの少しも割愛されることなく、完全に凝縮されていました。それだけでなく、俳優さんたちが必死で演じ、監督さんが必死で撮ったことによって、生々しいまでのリアリティが生まれていました。
 贔屓目ではなく、本当に素晴らしい映画だと思っています。ひとりでも多くの方にご覧になっていただきたいです。



――原作の角川ホラー文庫『アンダー・ユア・ベッド』は、発行部数7万部のロングセラーとなっています。映画化のオファーがあった時のお気持ちはいかがでしたか。


大石:『アンダー・ユア・ベッド』は角川ホラー文庫に書いた最初の作品でした。書いていたのはもう20年近く前のことです。あの頃のことを思い出すと、とても感慨深いものがあります。
 僕は最初、この小説の主人公・三井直人を不気味な変態男として書こうとしました。けれど、書き進めていくうちに、僕はすっかり彼のことが好きになってしまい、彼を応援したくなってしまったのです。それで一から書き直しました。
 書き直しをしているうちに、今度は千尋のことを好きになってしまい、また1ページ目に戻って書き直しました。
 そんなふうにして、あの作品が出来上がりました。
 実は、『アンダー・ユア・ベッド』を映画化しようという話は、これまでにも何度かあったのです。アメリカ在住の監督が脚本を書いてくれたこともありました。けれど、いつも実現しなかった。だから、KADOKAWAが映画化してくれるとわかった時は、本当に嬉しかったです。


――本作は、KADOKAWAとハピネットの共同制作プロジェクト「リミッターを外せ! “ハイテンション・ムービー・プロジェクト”」第2弾として公開されていますが、プロジェクト第1弾も、同じく大石さんの原作『殺人鬼を飼う女』ですね。こちらの作品への思い入れなどもお聞かせください。


大石:『殺人鬼を飼う女』を書いていた時、僕は妻と一緒にワイン教室に通っていて、ワインという飲み物の虜になっていました。そういうこともあって、あの作品の主人公を美しいソムリエールにしたのです。
 ワイン監修をしていただいたのは、日本ソムリエ協会公認ワインアドバイザーの安藤文隆さんでした。安藤さんはワイン界の異端児的な存在なので、あの小説の中のワインの記述は、今では少し偏っているようにも感じます。安藤さんも、この作品が映画化されたことをとても喜んでくれています。
 映画「殺人鬼を飼う女」は原作とはかなり雰囲気が違っています。けれど、僕はとても楽しめました。中田秀夫監督、ありがとうございました。それから、頑張ってくれた女優さんたちにもお礼が言いたいです。


――そしてまさに現在、新作『溺れる女』のゲラをご確認いただいている最中ですね! 新作の読みどころや、こだわったポイントを教えてください。


大石:「溺れる女」が愛した江口慎之介という男は、人々からいつも忘れられている三井直人とは対照的に、何をしても人々の注目を集めてしまうような男です。  彼はちゃらんぽらんで、軽薄なダメ男だけれど、女の人たちが愛さずにはいられないような、可愛くてチャーミングな男なのです。このダメ男を愛してしまい、彼のために尽くし続ける主人公・平子奈々の心の葛藤を楽しんでいただければと思います。  奈々のしていることは愚かにも映るけれど、人を好きになるというのは、そういうことなのではないかと思っています。自信作です。ぜひ、みなさま、手に取ってください。


――最後に、読者の皆さんに一言メッセージをお願いします。


大石:僕の記憶が正しければ、『溺れる女』は僕の64作目の新刊ということになります。
 才能がないだけでなく、勤勉でもなく、根気も根性もなく、思いやりも気遣いもなく、優しくもなく、デリケートでもない僕が、これほどたくさんの本を書いてこられたのは、僕の本を手に取っていただいている読者のみなさまのおかげです。
 いつも本当にありがとうございます。一生懸命に書き続けますので、これからも、どうぞよろしくお願いします。

ご購入&試し読みはこちら▶大石 圭『アンダー・ユア・ベッド』 | KADOKAWA

主演 高良健吾
西川可奈子 安部賢一 三河悠冴 三宅亮輔

監督・脚本/安里麻里


R18+
7月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
映画『アンダー・ユア・ベッド』公式サイト
©2019映画「アンダー・ユア・ベッド」製作委員会



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