ブックコンシェルジュ
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主役になるのは人だけじゃない。「食べもの小説5選」
美味しい食べものの記憶を、口の中でよみがえらせることができたらと、思うことがあります。頭の中で音楽を流したり、懐かしい誰かの声を聞いたり、会いたい人の顔を思い浮かべることはできても、忘れられないはずの味の記憶は、再現するのが難しいもの。もしかしたら、そんなことができる人もいるのかもしれないけれど、たいていの人は、もう一度その味に出会ったときに、「この味だった」と答え合わせをするのが精一杯です。
けれどその代わりに、食べたときの思い出は、同じ種類の食べものを見かけただけでも、次々とよみがえってくるから不思議なものです。ケーキ屋のショーウィンドーに、初めて祝ってもらった誕生日のケーキを、焼き鳥のお店の看板と香ばしい匂いに、嬉しそうに注文する誰かの顔を、スーパーに並んだプリンの山に、それが幼いころ、特別なときにだけ買ってもらえるご褒美だったことを、知らぬ間に思い浮かべたりして。
今日ご紹介するのは、そんなふうに人の記憶と強く結びつく食べものたちが、主役級の働きをする、5つのおすすめ小説です。登場人物たちを輝かせ、自らもまた輝きを放つ、美味しく愛おしき食べものたちの活躍をお楽しみください。
自分以外を輝かせてこそ。おすすめの「食べもの小説5選」
宮木あや子『令和ブルガリアヨーグルト』(KADOKAWA刊)
連続ドラマ化! あのヨーグルトが題材の、お仕事&推し事小説!
連続ドラマ化!
2024年1月10日スタート「推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~」(テレビ東京)
主演:鞘師里保(さやしりほ)
共演 : 明日海りお 生駒里奈 / 橋本さとし
野村麻純 永田崇人 好井まさお 水間ロン 滝沢カレン バッファロー吾郎A 橋本淳 宇野祥平 中島ひろ子
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商品誕生に秘められたドラマ、新入社員の由寿の奮闘が始まる!
吾輩は乳酸菌である。名前はブルガリア菌20388株。
学生時代に読んだネット投稿小説がきっかけでブルガリア菌が「推し」となった朋太子由寿(ほうだいし・ゆず)の日々を温かく見守っている。
「株式会社 明和」に就職した由寿は、配属となった大阪支店量販部で、阪神・淡路大震災のときに活躍した「おでん先輩」のエピソードを聞き感銘を受ける。
入社して一年後、広報部で由寿は社内報の制作を担当することになり、「明和ブルガリアヨーグルト五十周年」特集のために関係社員にインタビュー取材を行ってゆくのだが……。
協力=株式会社 明治
装画=まめふく
装丁=名久井直子
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322304001095/
坂木司『和菓子のアン』(光文社文庫刊)
読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?
冬森灯『縁結びカツサンド』(ポプラ文庫刊)
駒込うらら商店街に佇むパン屋さん「ベーカリー・コテン」を舞台にくり広げられる、とびきりあったかな“縁”の物語
駒込うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。
あんぱん、クリームパン、チョココロネ。気取っていない顔が並んでいて、見ているだけでほっとするような、そんなお店。
一家で経営してきたコテンの未来を背負うのは、悩める三代目・和久。
商店街が寂れる中で、コテンを継ぐべきか。「自分なりのパン」を見つけないといけないのではないか。創業者のじいちゃんが亡くなって、店名の「コテン」の由来もわからない。
日々迷いながらパン生地をこねる和久のもとには、愉快なお客たちがやってくる。
ヒョウ柄のコートを着込む占い師に、就活に落ち続ける学生、肉バカの肉屋の息子。
人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとは――
しぼんだ心を幸せでふっくらさせる、とびきりあったかな“縁”の物語。
(あらすじ:ポプラ社オフィシャルHPより引用)
近藤史恵『みかんとひよどり』(角川文庫刊)
美味しい料理×友情――ジビエを通してつながる、ふたりの成長物語
シェフの亮は鬱屈としていた。創作ジビエ料理を考案するも、店に客が来ないのだ。そんなある日、山で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。彼の腕を見込んだ亮は、あることを思いつく……。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322008000169/
森沢明夫 『ヒカルの卵』(徳間文庫刊)
食べる喜び、生きる素晴らしさに溢れたハートフルコメディ。
「俺、店を出すぞ」ある日、自称・ツイてる養鶏農家の村田二郎が、村おこしに立ち上がった。その店とは、世界初の卵かけご飯専門店。しかも、食事代はタダ、立地は限界集落の森の中、とあまりに無謀。もちろん村の仲間は大反対だ。それでも二郎は養鶏場を担保に、人生を賭けた大勝負に出てしまう。はたして、過疎の村に奇跡は起きるのか?
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