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レビュー

『ダ・ヴィンチ・コード』以上に大胆で、面白い――人類が有史以来抱え続けた謎に挑む最高傑作『オリジン』

【カドブンレビュー】

カドブンを訪れて下さっている皆さん、こんにちは!
今回ご紹介するのは、謎解き、史跡や美術も盛りだくさんの冒険小説、ラングドン教授シリーズの第五弾、ダン・ブラウン著、『オリジン』となります!
いやいや。好きなシリーズなので嬉しい限りですよ。
天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』でご存じの方も多いと思いますが、このシリーズは科学と宗教が大きなテーマとして根底に流れていまして、今までもキリストの聖杯、フリーメイソン、反物質、人口爆発なんていう大きなテーマを取り扱ってきています。
でも、今回のテーマは今までで一番スケールが大きいかもしれません。
人類が有史以来抱え続けている、人間を人間たらしめる根源的な問いが今作品のテーマとなっているからです。
そのテーマとは──。

「人類はどこから来たのか、そしてどこへ行くのか」

まさに人類の起源(オリジン)と今後の在り方がこの作品のテーマです。

舞台はスペイン。
主人公はハーヴァード大学で宗教象徴学を教えるラングドン教授。
物語はラングドンの教え子、無神論者にして天才的なコンピューター科学者のエドモンド・カーシュが、インターネットで研究成果の発表を行うところから始まります。
カーシュが研究分野であるゲーム理論やAIを駆使し、宗教を崩壊させ人間の価値観を根底から覆す、衝撃的な研究結果を発表しようとしたその時、カーシュは口封じのため暗殺され、研究結果は分からずじまいになってしまう。
なんとか教え子の発表しようとしていた研究を公表したい、そう思ったラングドンは、今作品の舞台であるスペインを(例によって)相棒役の美女と共に奔走し、世界中が――そしてもちろん我々読者が――息を呑んで見守る中、スペイン王室をも巻き込んだ冒険と謎解きに身を投じるのです。
ラングドンは真実に辿り着けるのか?!
そしてカーシュの発表しようとしていた研究結果とは?!
と、本書はそんな風にどんどん読めちゃう冒険小説なんですが、その一方でもっとアカデミックな一面も兼ね備えています。

「人類は急いで別の惑星に移住することを考え、実行しなければならない。地球は生物が生存するには、あまりにも危険が大きくなりすぎた」

そんな未来予測を残して、希代の物理学者ホーキング博士が亡くなったのは記憶に新しいところですが、我々人類は、環境問題はもちろん、増え続ける人口、枯渇していく資源、広がりつづける経済格差、終わらない宗教や民族間の紛争などなど様々な問題を抱えています。心に平安をもたらすはずの宗教も、もはや人間の能力を遥かに凌駕するテクノロジーも、これらの問題に解決策を与えてはくれていません。
おそらく現代社会に生きていて、人類の未来に不安を感じていない人なんていないんじゃないでしょうか。
カーシュの(つまりは作者の)提示する未来が科学的に正しいのかどうかは分かりませんけど、読者に「刺激を与え、大いに興味を沸き立て、考える材料をたくさん与えてくれる」ことだけは間違いありません。
ただのエンターテインメントにとどまらず、まだ見ぬ未来の曲がり角の先を見せてくれるのが、この作品の最大の魅力でしょう。
願わくばよりよい未来が訪れんことを。
そんなことを思ってしまう一冊でした。

最後にですが、今作品にも、このシリーズのもう一つの魅力である、有名な史跡や美術館、観光名所、そして美術品なんかが山ほど登場します。
サグラダ・ファミリアはもちろんのこと、ビルバオのグッゲンハイム美術館、モンセラット修道院、ガウディの設計したアパート「カサ・ミラ」なんかも出てきます。
実はこの本を読み終わってから、次の旅行はスペインもいいなあ、グッゲンハイム美術館はいつか絶対行きたいなあ、なんて思っています。
旅好きの人は注意が必要かもしれませんよ(笑)。
上下巻で655頁となかなか読み応えのある作品ですが、美女との冒険、人類の起源、そしてスペイン観光と非常に幅広く楽しめる一冊です。
皆さんもページをめくって冒険の旅に出発してみてはいかがでしょうか!


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