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レビュー

結論は出すな、体験しろ、自分の頭で考えろ。「水曜どうでしょう」ディレクター陣を励ました言葉たち 『ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言。』

書評家・作家・専門家が《今月の新刊》をご紹介!
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 そういえば、高校生の頃、ぼくも寺山修司さんの『ポケットに名言を』という文庫本を鞄に忍ばせ持ち歩いていました。そうそう角川文庫でした。「地下水道をいま通りゆく暗き水のなかにまぎれて叫ぶ種子あり」(歌集『血と麦』より)、「もし世界の終りが明日だとしても私は今日林檎の種子たねをまくだろう」。10代のぼくの心に響いた名言を今もこうして思い出すのです。おそらく、あれからもおりにふれ、幾度も思い出しては心の中で唱えてきたんでしょうね。若いときほど理想が必要な気がします。信じたいこと、信じられなくなったこと、それでもやっぱり信じたかったこと、そんなぐるぐるする思いが生きていれば必ずあります。それでも辿り着きたい未来はきっとある、そう言葉は励ましてくれる。理想を忘れるな、そんな言葉に励まされ、人は人生を辿る。そんなふうにも思えるのです。なのに「人類が最後にかかる、一番重い病気は「希望」という名の病気である」とも名言は言うのです。だがその先だってまだあるんだと、なおも名言は深く導いてくれる、時代を超えて。だから結論は出すな、体験しろ、自分の頭で考えろ、と言葉は教えてくれる。


書影

『ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言。』言葉:鈴木 敏夫/選者:木村 俊介/写真:Kanyada


 鈴木敏夫さんはスタジオジブリで宮崎駿、高畑勲という二大巨匠を支え一時代を築いてきた大物です。彼らによって生み出された作品に、私は幾度励まされたことでしょう。その大物の鈴木さんが体験したことから辿り着いた貴重な言葉がこの本の中には沢山あって、なのに、こんなぼくだって「本当にそうですよね」と頷ける言葉が中にはあったりするから、あぁそれだったらオレもまんざら間違った人生ではなかったかなぁと、また励まされて襟を正す。そこだけを切り出された言葉は前後の文脈を失っているから、でも、前後の文脈を失った言葉だから、読んだその人の文脈にカチリと繋がってしまう。世界は、おまえの思うようになどならないけど、それでもおまえの人生はおまえが信じるところからしか始まらないんだよ。なんかそんなふうに鈴木さんに励まされた気がしました。

『ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言。』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322003000367/

評者 嬉野 雅道
(うれしの まさみち)1959年生まれ。佐賀県出身。「水曜どうでしょう」(北海道テレビ)のカメラ担当ディレクター。愛称は「うれしー」。ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、文化庁芸術祭賞優秀賞など多くの賞を受賞したドラマ「ミエルヒ」では企画を担当し、福屋渉氏とともにプロデューサーも務めた。番組ゆかりの土地を歩いた旅をまとめた単行本『水曜日のおじさんたち』(共著、KADOKAWA)も発売中!


『水曜日のおじさんたち』
書誌情報■https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000365/


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