累計500万部突破の「タクミくん」シリーズに連なる、大人になったギイとタクミの物語・第2弾として、今月、角川文庫より『崎義一の優雅なる生活 エリカの咲く庭』が刊行されました。作者のごとうしのぶさんに、本作への思いをうかがいます!
画像
――「崎義一の優雅なる生活」シリーズは、学園恋愛小説の名作「タクミくん」シリーズに連なる、“二十九歳になったギイとタクミの物語”で、単行本で刊行された当時も大きな話題となりました。このシリーズが生まれたきっかけは何だったのでしょうか。
ごとう:角川ルビー文庫で展開していた「タクミくん」シリーズは、高校生時代の彼らの物語です。書きたかったものを全部出し切れたと感じたので、ひとまずけじめとさせていただきました。最終話の『Station』はタイトルもストーリーの大筋も、彼らが生まれたときからラストとして用意していたものです。高校生時代の物語としてはそれが用意されていたラストでしたが、高校を卒業し、進学し、社会人となった彼らの物語まで終わったわけではなく……。そんなおりに、単行本での執筆はいかがですか? と提案していただきました。単行本の刊行ペースは不定期なので、納得ゆくまで大人な彼らの物語と向き合えるという利点があります。高校生時代とはまた別の、大学生や社会人になっても彼らなりの輝きを失わない、制服を脱いでも尚、彼ららしい人生を描けたらとの願いを込めて、現在「崎義一」のシリーズを書かせていただいております。
――今回、シリーズ単行本の文庫化にあたり、角川文庫と角川ルビー文庫、2つのレーベルから刊行されていますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
ごとう:角川文庫版は、大人な彼らの雰囲気を醸し出すべく装丁を全体的に大人っぽく、そして、巻末に書き下ろしの短編が特典として収録されています。
ルビー文庫版は、長く「タクミくん」シリーズを愛してくださっている方のためにおおや和美先生のイラストにて、カバーや口絵や挿絵で世界観を盛り上げていただきました。おおや先生のイラストがルビーでの特典ということですね。
それから、これは作品の内容とは直接関係ないんですが『エリカの咲く庭』は、角川文庫版(4月25日発売)は私にとって記念すべき平成最後の刊行で、ルビー文庫版(5月1日発売)は記念すべき令和最初の刊行なのです。同タイトルでレーベル違いの本が、元号をまたいで連続刊行されるとか、狙ってもそうそうなるものではありません。私の人生でこのような巡り合わせは二度と起きないでしょう。気づいたときは鳥肌が立ちました!
――二十九歳になったギイとタクミを描くうえで、楽しかったり面白かったりした部分はどこですか? また逆に、悩んだり苦しかったりした部分はありますか?
ごとう:大きく変わったのは、文章が託生の一人称から三人称になったことです。メインは崎義一なので、託生の一人称で展開するのはおかしいですしね。長く一人称で構成されていた物語が突然三人称となり、この「崎義一」のシリーズを書き始めたばかりの頃は悩んだり、うまく表現できているか不安もありました。しかし、一人称のときは託生が知らない情報は文章中に書けないという縛りがあったのですが、今はそれがないので、結果、自由度が上がりました。二十九歳と聞くと、正直、「若いなあ!」と(もちろん高校生に比べたら、そうとう年上なんですが)感じてしまいます。高校生のキラキラとした時代も楽しいですけど、三十手前の、社会の壁にぶつかって玉砕したり、仕事をすることの楽しさや厳しさや辛さや充実感とか、責任を伴う道を歩むことの醍醐味を物語に込められるのは、感慨があります。ああ、一人前になっていくなあ、と。登場人物ながらわが子を見守るような心持ちです。
――シリーズ第1巻『BLUE ROSE』と、第2巻『エリカの咲く庭』、それぞれの読みどころや注目ポイントがありましたら教えてください。

書籍

『崎義一の優雅なる生活 エリカの咲く庭』

ごとう しのぶ

定価 648円(本体600円+税)

発売日:2019年04月24日

ネット書店で購入する

    書籍

    『崎義一の優雅なる生活 BLUE ROSE』

    ごとう しのぶ

    定価 691円(本体640円+税)

    発売日:2019年03月23日

    ネット書店で購入する