作家、大藪春彦氏の業績を記念し、優れた物語世界の精神を継承する新進気鋭の作家及び作品に贈られる「第24回大藪春彦賞」の候補作が12月23日(木)に発表され、2021年8月30日(月)に刊行した伊吹亜門著『
大藪春彦賞の選考会は、2022年1月26日(水)に行われます。主催は、大藪春彦賞選考委員会。贈賞式は、2022年3月4日(金)開催予定。
なお、本書は、第12回ミステリーズ!新人賞受賞短編を含むデビュー作『刀と傘 明治京洛推理帖』(東京創元社)で、「ミステリが読みたい!2020年版」第1位と本格ミステリ大賞を獲得した令和ミステリ界のフロントランナー、伊吹氏の第三作目。昭和の満洲を舞台にした歴史本格ミステリです。
大藪春彦賞について
◆選考委員(五十音順、敬称略)
大沢在昌、黒川博行、東山彰良の三氏
◆候補作品(著者五十音順、敬称略)
伊吹亜門
『幻月と探偵』 KADOKAWA
2021年8月刊
https://www.kadokawa.co.jp/product/322103000632/
武内 涼
『阿修羅草紙』 新潮社
2020年12月刊
https://www.shinchosha.co.jp/book/350643/
辻堂ゆめ
『トリカゴ』 東京創元社
2021年9月刊
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028497
西尾 潤
『マルチの子』 徳間書店
2021年6月刊
https://www.tokuma.jp/book/b583955.html
◆賞
正賞:賞状並びに顕彰牌 副賞:300万円
※大藪春彦賞に関する情報は公式サイトより引用
https://www.tokuma.jp/company/c1515.html
『幻月と探偵』 読みどころ 3つのポイント
1.大戦前夜の満洲でしかありえない、驚愕の犯行動機
歴史と本格ミステリの融合を得意とする伊吹氏が、今回舞台として選んだのは満洲。日本とは異なる厳寒にして荒涼とした大地と、盧溝橋事件後の情勢などの条件が揃ったとき、世にも稀な犯罪が起きる――。
2.連続毒殺事件と脅迫状の謎
物語の中心は、元陸軍中将の屋敷で巻き起こる連続毒殺事件。晩餐会で盛られた猛毒、停電中の実験室での不審死、脅迫状に記された謎の言葉「三つの太陽を覚えているか」など、ミステリ好きのツボを突く要素が目白押し!
3.岸信介の企み
伊吹ミステリの特徴の一つである、実在の歴史的人物の事件への関与。今回登場するのは「昭和の妖怪」と呼ばれ、内閣総理大臣も務めた革新官僚・岸信介。物語は、私立探偵・月寒三四郎に岸が事件の調査を依頼するところから始まるが――。
▼【2021年ミステリ小説決定版】年末までに読んでおきたい、おすすめミステリ小説5選
https://kadobun.jp/feature/readings/entry-42404.html
昭和史と本格推理が融合した、怒濤のホワイダニット!
『幻月と探偵』について
あらすじ
ここは夢の楽土か、煉獄か――。
1938年、革新官僚・岸信介の秘書が急死した。秘書は元陸軍中将・小柳津義稙の孫娘の婚約者で、小柳津邸での晩餐会で毒を盛られた疑いがあった。岸に真相究明を依頼された私立探偵・月寒三四郎は調査に乗り出すが、初対面だった秘書と参加者たちの間に因縁は見つからない。さらに、義稙宛に古い銃弾と『三つの太陽を覚へてゐるか』と書かれた脅迫状が届いていたことが分かり……。次第に月寒は、満洲の闇に足を踏み入れる。
書誌情報
作品名:幻月と探偵
著者名:伊吹亜門
発売日:2021年8月30日(月)★電子書籍配信中
定 価:1,925円(本体1,750円+税)
頁 数:288頁
装 丁:坂野公一(welle design)
体 裁:四六判並製 単行本
ISBN:9784041115497
発 行:株式会社KADOKAWA
初 出:書き下ろし
著者プロフィール:伊吹亜門(いぶき あもん)
1991年愛知県生まれ。同志社大学卒。在学中は同志社ミステリ研究会に所属。2015年「監獄舎の殺人」で第12回ミステリーズ!新人賞を受賞。18年に同作を連作化した『刀と傘 明治京洛推理帖』でデビュー。19年、同書で第19回本格ミステリ大賞を受賞し、さらに「ミステリが読みたい!2020年版」国内篇で第1位を獲得する。21年、デビュー作の前日譚にして初の長編『雨と短銃』を刊行。