さまざまな国籍の人間で構成されるフランス外人部隊。この軍隊に6年半在隊し、アフガニスタン戦争も経験した日本人がいる。今回、謎につつまれるフランス外人部隊の実体、そして同僚たちの素顔を含む日常を綴った『フランス外人部隊 その実体と兵士たちの横顔』が角川新書から刊行された。本書刊行記念として著者の野田力氏にインタビューを実施。
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──今回の『フランス外人部隊』は野田さんにとって初めての著作です。本を書くことで読んだ方に伝えたかったことはどんなことでしょうか?

野田:いろいろと伝えたいことはあったんですけど、一番伝えたいと思ったのは「戦争に行く一人の男の気持ち」でしたねぇ。自衛隊にたくさん友達がいるんですけど、戦場での死生観とか、何を思って戦場に行ったらよいかについて何度か聞かれたことがありました。
 いま日本の周りの国際情勢も穏やかじゃないんで、自衛隊の方々も戦わざるを得ない状況を意識しているのかもしれません。そんな方々に「自分はこういう気持ちで戦争に行った」という一つの事例を示したいと思いました。
 もちろん僕と同じ気持ちで戦うべきだと言っているわけじゃないです。今の時代にも戦場を経験した日本人は結構いるんですけど、人それぞれ気持ちは違ってたでしょうし、正解はないと思います。将来、自衛官が戦争に行くことになったとき、この本が、その自衛官の方々が気持ちの整理をする手助けになったらいいなと思います。

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──フランス外人部隊に関して、入隊する前のイメージと内側から見た姿とで一番大きなギャップを感じたのはどういったことですか?

野田:思ってたより戦闘技術の訓練をしないというところです。入ってみたら、雑用がやたら多かったですし、訓練をするにしても、技術を身につけることよりも、シゴキとか行軍とか、忍耐と体力だけが必要なことが多くて、細かい技術は学べませんでした。残念ではありますけども、いま思えば別にそれでも良かったのかなぁとも思います。最低限の技術と「前進する気概」があれば、それなりに物事は運ぶんじゃないかと思うんで。大切なのは、戦地まで行くことができて、それなりの働きをすることだろうと思います。「完璧」が理想ですけど難しいです。特殊部隊なら技術訓練もしっかりやると思うんですけど、我々はそこまでではないんで……。それでも、我々もまあまあな活躍はしたと思います。

──フランス外人部隊にはいろんな国籍の人間が集まります。今も印象深い同僚はどういった人ですか?

野田:いろんな人がいましたねぇ……。いま聞かれて頭に思い浮かんだのはチリ人の‘E’です。面白い奴でした。大阪名物パチパチパンチを僕が教えたんですけど、よく一緒にいろんなところでパチパチしました。アフリカやアフガニスタンでもやりました。アフリカのちびっ子たちは爆笑してくれましたよ。
 イギリス人の’L’も仲良かったです。物知りで謙虚で穏やかで、本当にいい奴でしたねぇ。去年、彼、体験本を出しましたよ。「My Camp」っていう自費出版らしい本なんですけど、結構ダークなことが書いてあるんですよぉ。ブラック過ぎて僕の口からは言えません。ただ、僕のことが本の中で「とても落ち着いた思慮深い日本人」「お気に入りの伍長」というふうに書かれていたんで良かったです。
 他にも挙げていったらキリがないんですが、最後にキモノ君ですね。面白い名前を外人部隊からもらった日本人の後輩で、同じ中隊でした。すごく常識を身につけている人で、僕は彼から常識を学んだようなものです。今も年に3回くらい会ってます。
 本当にいろんな人がいて、究極の異文化交流みたいでした。夢だったんじゃないかと思うくらい不思議な集団でしたねぇ。

書籍

『フランス外人部隊 その実体と兵士たちの横顔』

野田 力

定価 907円(本体840円+税)

発売日:2018年09月08日

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