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特集

Vaundyにとっての、楽曲制作の魅力とは? 新アルバム『replica』発売記念インタビュー

取材・文:吉田可奈

『踊り子』『怪獣の花唄』など、いまZ世代を中心に絶大な支持を得ているVaundy。何度も聴きたくなる中毒性の高い彼の楽曲たちが、このたび全35曲入りのアルバム『replica』となって2023年11月15日にリリース。
今回はダ・ヴィンチ12月号(2023年11月6日発売)でのインタビューを記念して、誌面に掲載しきれなかったエピソードをカドブンに掲載!


Vaundyにとっての”音楽”とは


――Vaundyさんの楽曲は、言葉遊びがとても印象的です。小さなころからよく本を読まれていたのでしょうか。

Vaundy:いえ、実は本はあまり読んでいません。本って、読み始めると手と目が必要ですよね。僕、同時にいろいろな作業をこなすのが好きな性格で。となると、読書中はそれしかできないことにジレンマが生まれてしまうんです。ただ、最近出てきたAudibleなどは耳で物語を聴くことができるので、ほかの作業をしながら使えるしいいのかもしれないと感じています。


――もしかして、Vaundyさんはつねに効率を意識するタイプですか?

Vaundy:その通りです。僕は自分をメディア聖徳太子だと思っていて、エンタメを楽しむ脳と制作する脳があって、吸収をしながらアウトプットをするのが日常なんですよね。なので、つねに“効率”と口にしています。きっと、上司にしたらイヤなタイプです(笑)。


――たしかに、この楽曲の生産量に加え、他のアーティストへ数々の楽曲提供を行っているのを見ると、ものすごく効率を重視していることが想像できます。

Vaundy:自分に対する効率はあまりよくないんですけどね(笑)。それに、僕はアーティストというよりも、職業作家、クリエイターに近いと思っていて。僕はアーティストほどアイディアが湧いてくるタイプではないんです。アーティストって、僕の中では抽象画…油絵や写実的ではないことを指すと思っているんですよね。でも僕はそのタイプではなく、デザイナーだととらえていて。アーティストが持つ自由さと、職業作家が持つ「枠」を同時に持つからこそ、ポップスのミュージシャンとしてやっていけているんじゃないかと思ってます。


――だからこそ、ジャンルレスで、その時々の流行をとらえている楽曲を制作することができているんですね。

Vaundy:いえいえ、ただミーハーなだけです(笑)。例えば、ケンモチヒデフミさんや中田ヤスタカさんは、職業作家でありながらものすごい個性があるからこそ、聴いただけでその人の音楽だということがわかりますよね。でも、そういった天才タイプは少なく、職業作家は自分以外がいて初めて成立することが多いんです。僕は自分1人で楽曲制作を完結することができるけれど、その分知識とアーティストとしての個性が足りないなと感じています。だからこそ、過去の音楽をちゃんと理解した上で、自分というフィルターを通し、ポップスに昇華させることができるのが僕の強みだと思っています。


――さらに、時代の空気を読んでいることも強みですよね。

Vaundy:これは僕の持論ですが、ポップスって、四次元的でないと絶対にダメだと思うんです。縦・横・奥行きの広さに加えてポップスには“時間”が含まれてこそ、みんながいいと思うものになるんですよね。だからこそ、その“時代の流れを理解する”という知識と“個性”のバランスが取れたものを作っていかないといけないなと思っています。加えて、そこに自分が見てきたアニメや映像、音楽、母に言われたことや友達との日常、そういったものが混ざってVaundyの曲ができているんです。


――それがわかっているからこそ、Vaundyさんにはタイアップ曲の依頼が多いと思うのですが、ご自身も相手方の求めていることを汲み取るのが得意なのではないでしょうか。

Vaundy:きっと、僕ほど上手い人はいないと思います(笑)。“求められている言葉がここに来たら嬉しいだろうな”ということがわかる方だと思うんですよね。それに、自分には才能がないことがわかっているからこそ、そこを理解した上で、負けないものを作らなくちゃいけないと思っていて。この20~30年って、タイアップと音楽が強い結びつきとしてありましたよね。でもそのせいで、タイアップにアーティストが迎合するという、少しネガティブなイメージがついているんです。ただ、僕はそうではないと思っていて。


――たしかに、そのジレンマはアーティストの方々が多く話していますね。

Vaundy:僕は、作品と一緒に曲を聴いたときに、その作品の魅力が最大限に出力される曲を作るのが大事だと考えています。なので、それを踏まえた上でVaundyとの共通点を見つけ、その重なった部分の曲を作ればいいんです。そうすれば、Vaundyだけを知っていて、タイアップ作品を知らなかった人でも聴いて楽しめるし、その逆も然り。たとえば、多くの人にドーナツを描いてもらうとします。すると、99%の人が真ん中に穴が開いたドーナツを描きますよね。その周りが黒かろうが、デコレーションがしてあろうが、その真ん中の穴だけは共通になるんです。その穴の部分を、うまく曲にして作るのがタイアップの仕事だと思っていて。それだけ守っていれば、ほかに面白いことをしても、ちゃんとポップスの曲単体としてうまく成立するんじゃないかと思っています。


――たしかに、Vaundyさんの楽曲はものすごく個性的なのに、キャッチーですよね。

Vaundy:ありがとうございます。そういった、みんなが理解できる1個を組み込ませるだけで、どんな歌詞をいれても、いい感じに聴こえるんですよ。


パワーあふれる楽曲が詰め込まれた新アルバム『replica』


――それで言うと、今回の2枚組のアルバム『replica』のDISC1は、本当に遊び心たっぷりの曲が詰まっていますよね。

Vaundy:遊び心の方が多めですね。それに、今作は2枚で全35曲なので、ハッキリ言って長いです!(笑) どの曲もシングル扱いで作っているので、パワーがある曲ばかりですし、その中でDISC2は、これまでリリースした順番に楽曲が収録されているので、僕の進化を楽しんでもらえると思います。


――今後はさらに曲が変化していきそうですね。

Vaundy:ジャンルに関しては、変わっていくという表現よりも、変えているという表現が正しいと思っていて。その時々に好きなものを反映するのはもちろん、曲すべてに別のルーツがあるので、別人格が書いているイメージなんです。それに、歌が上手くなると使えるメロディも増えるんですよね。


――となると、過去の曲をライブでパフォーマンスすることがより楽しくなっていくのではないでしょうか。

Vaundy:聴いているみなさんは面白いかもしれないですが、僕は……申し訳ないですが大変で(笑)。過去の楽曲を忠実に再現しようとすると、僕自身が成長しないんです。だからこそ、ライブでは崩しすぎず、少しずつ変化させているんです。かなり小さく変化させているので、気づかない程度なんですが、それが僕にとってはすごく大事なことなんです。


――今後はアリーナツアーが始まりますが、楽しみにしていることはどんなことですか?

Vaundy:ライブは、お客さんに見せる発表会だと思っているので、いつも緊迫した状態でやっているんです。なので、純粋に“楽しい”という感情だけではないんですが、でもそれを逆手に取って考えると、僕が命を使ってライブをするからこそ、みんなが楽しめる時間がつくれると思っているので、みなさんが満足してくれたら、それが成功だと思っています。

さまざまな作品とのコラボレーションや楽曲提供など、多くの人々と関わりながら、自身にとっての“ポップスの軸”を大切にしているVaundy 。11月15日に発売される新アルバム『replica』には、これまでの約3年半を詰め込んだ全35曲が収録されている。
令和のヒットメーカーが生み出した珠玉の楽曲たちを、ぜひパッケージとして手元に置いて楽しんでみてほしい。

また、Vaundyのインタビューは雑誌ダ・ヴィンチ12月号(2023年11月6日発売)にも掲載中。こちらもぜひチェックを!

『replica』


『replica』
Vaundy 11月15日発売
SDR/ソニー・ミュージックレーベルズ
完全生産限定盤(2CD) 4200円(税込)
通常版(2CD) 4000円(税込)
3年半ぶりとなるオリジナルアルバム。DISC1には、Adoに楽曲提供した『逆光』のセルフカバーのほかに、新曲を含めた全15曲を収録。彼の遊び心が溢れる楽曲が並ぶ。DISC2には『踊り子』『花占い』、『SPY×FAMILY』Season 2のエンディング主題歌『トドメの一撃 feat. Cory Wong』など、「成長の過程を詰めた」と話すヒットナンバーを20曲収録した豪華版。


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