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特集

またまたベストセラー御礼『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』対談!! 大樹連司(作家)×白土晴一(設定協力)

 前作『GODZILLA 怪獣惑星』に続き大ヒット中のアニメーション映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』――その前日譚である角川文庫の『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』今回も売らせていただいてます売れてます! ありがとうございます!……というわけで、またまたやりますよ舞台裏対談。
 すでに次の企画で超絶多忙な著者の大樹連司(ニトロプラス)氏と、前作より小説のバックボーンを支えてきた設定協力の白土晴一氏を起き抜けに拘束し、ニトロプラスさんの会議室に押し込めてとことん語り尽くしていただきました!

>>【試し読み】『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』
>>【試し読み】『GODZILLA 怪獣黙示録』

打合せはほとんどSF大喜利!?

――白土さんは設定考証の肩書でさまざまな作品に参加しています。「設定協力」とクレジットされている小説『GODZILLA』にはどんな経緯で関わることになったのでしょうか。

白土: 大樹さんとは既に面識があり、「『GODZILLA』の小説を『WORLD WAR Z』のようなオーラルヒストリーの形式で書くことになった」と聞いたのが最初ですね。それで週1回、大樹さんと、虚淵(玄)さんと僕とでブレーンストーミングというか打ち合わせをすることになりました。

大樹: 設定考証と言うと、作家に対して「こんなことは科学的にはありえませんよ」と指摘する役割のように思われている方も多いかもしれませんが、実際には正反対で(笑)。「南極に巨大ロケットつくって地球を動かすんだ」とかホラをふくのは簡単なんですけど、それを読者に信じてもらうのは難しい。今回白土さんには、こちらの、これがやりたい、あれを出したいという無責任な思いつきを、なんとか科学的にありえそうな形に「でっちあげ」る、ということをずっとやって頂きました。しかも、場合によっては、「これをやるなら、こっちのルートのほうが、お話がもっと膨らむんじゃないですか」と提案もしてくれたりするんです。

――打ち合わせはどんな感じのものだったんでしょうか。

大樹: SFファンがよくやる大喜利みたいなものです。

白土: (笑)。

大樹: もし自分が怪獣映画を撮るってなったら、どういうシチュエーションが燃えるか、みたいな話をするところがスタートですね。

白土: 大樹さんが監督だとすると、虚淵さんがエグゼクティブプロデューサーで、僕が助監督(笑)。大樹さんがやりたいことを言うと、虚淵さんが「もっとおもしろくならないかな」とジャッジをして、僕がその参考になりそうなアイデアを出していくという感じでしょうか。そこで「このアイデアとこのアイデアを組み合わせたら、いけるんじゃない?」みたいな提案をするわけです。

絶対使えない面白アイデアを出す虚淵玄(ニトロプラス)、じゃあどうしようかと頭を捻る白土晴一

大樹: 虚淵も、絶対使えないようなアイデアとかをポンポン出してましたからね。虚淵が言ったアイデアで一番インパクトあったのは、シベリアの地中からガイガン(『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』などに登場)が出てくるというヤツでした。旧ソ連の科学者によって、労働者のための怪獣として改造された生物兵器ガイガン。共産圏の怪獣なので、手がハンマーと鎌になっているという(笑)。言われれば、目も確かに赤いし(笑)。

白土: 言ってましたね(笑)。冷戦下、スターリニズムのもとに生み出された怪獣だと。

大樹: ただ、面白いんだけど、面白すぎて出オチになってしまうという……大変盛り上がったのですが、いろいろ考えてやっぱりナシだということに……(笑)。

――『プロジェクト・メカゴジラ』にはガイガンも登場しますが、ゴジラと戦い誘導する役割ですね。

大樹: そうです。そもそもですね、『プロジェクト・メカゴジラ』には、前作『怪獣黙示録』で調子に乗って怪獣を出し過ぎたせいで、世界観的に問題なさそうな怪獣はあらかた出演させてしまった……という大問題がありました。後先考えずに、思いついたアイデアを全部、前作で使ってしまっていたんですね……。『プロジェクト・メカゴジラ』を始めるにあたって、「あと、出てない怪獣って何が残ってたっけ?」となってしまって。

白土: 主だった怪獣は『怪獣黙示録』に出してしまっているんですよね。だから未登場となるとガイガンみたいに、扱いをちょっと考えなくてはならない怪獣が中心になっていて。

大樹: 『サンダ対ガイラ』のサンダとガイラも出すことができないか考えましたよね。

白土: 考えましたねー。でもサンダとガイラも、登場させるとなると発端となったフランケンシュタインから考えていかなきゃいけないので、これも難しいなと。

大樹: もともと年表に、3年ぐらいゴジラが活動を休止していた時期(2039年~2042年)があるんです。そこの間に何かと密かに戦っていたらどうだろうというアイデアがあって、その候補にガイガンが挙がりかけたんですが……ガイガンがそこまで強くてもいいのかなぁという気持ちもあり。

白土: ガイガンはあの外観からして“中二病”の夢みたいな怪獣ですからね。

大樹: で、ガイガンとは別に一方で、試作メカゴジラを出したらどうか、というアイデアもあったんです。というのも、オーラルヒストリーという体裁上、極秘開発されているメカゴジラのことについてはなかなか小説中では触れづらくなるだろうという予想があったからです。だからその前に「試作3式機龍」(3式機龍は『ゴジラ』ミレニアムシリーズに登場したメカゴジラの名称)みたいな形で、試作メカゴジラを登場させようと。でも、これはこれであまりはまる感じがしなくて。

白土: それが「ガイガンだったらはまるんじゃない?」となったんだよね。

――作中の、メカゴジラという噂があるが実際はガイガンが戦っていた、という展開はそこから生まれたんですね。

大樹: ガイガンはサイボーグ怪獣ですから、やられてやられてどんどんメカ部分が増えていって、最後にメカゴジラそのものになるというアイデアならいけるんじゃないかと。

悩みの果てに大樹連司は思いつく。「そうだ、妖星ゴラスがあるじゃないか!」
 
――いろんなアイデアを出して、はまったものが小説に採用されているんですね。ボツになったアイデアというのもたくさんあったんでしょうか。

大樹: ありますね。そもそも、最初に今よりも語り手の人数が少なくて、3人から4人の語り手による、連作短篇形式を考えていたんです。それで最初のひとりめを60枚くらいで書いたのですが、虚淵に「臨場感が足りない」と言われましてボツになってます(笑)。当初のアイデアだと、「プロジェクト・メカゴジラ」のタイトルに合わせて、『プロジェクトX』みたいな方向性でメカゴジラ開発に関わった科学者の語り、という内容もありました。これもある程度は書いてみたんですが、話題の性質上、どうしても小説というより、設定資料集の文字資料みたいになってしまうんです。それならばいっそ、メカゴジラの詳細も知らないままで戦っていた子供たちの様子を描いたほうが、小説としてはいいだろうと思ったんです。

白土: 最初の60枚がボツになったころは、大樹さんからのメールも「悩んでます」みたいな内容が多かったですね。

大樹: やっぱり、「ゴジラが3年も活動停止する必要のある存在」が一番のネックだったんですよ。一体、誰と戦ったのか……ゴジラに勝ったり引き分けたりした怪獣というのは少なく、勝率ならおそらくトップの怪獣はこの時点では出せない……いや、でもその相方の方なら出せるんじゃないか……。でもなぜ相方だけ先に出てくるんだ? あいつは巨大隕石でも来ないと出てこないぞ……とまで考えて、不意に『妖星ゴラス』というタイトルが閃いてですね。

――『プロジェクト・メカゴジラ』の冒頭でゴラスが出てきた時には驚きましたが、そういう経緯があったんですね。

白土: ほとんど三題噺(笑)。僕が困ったのは、オペレーション・グレートウォールのクライマックスにある、ヒマラヤが崩されてゴジラが埋められているという瀬下監督のアイデアですね。

大樹: あそこは大変でしたよね。最初は年表に「ヒマラヤ山脈の一部を熱線攻撃により融解」って書いてあるので、そのまま、ゴジラがヒマラヤにむかって熱線を撃つシーン書いていったら、虚淵に当たり前すぎるといわれまして(笑)。本編(『GODZILLA 決戦機動増殖都市』)のほうで、マイクロウェーブを使った新しい必殺技を見せるから、それを使ったらどうだろうという無茶ぶり……じゃなくて提案があって、いろいろ考えました。

白土: 巨大なトレンチを作るために戦術核2000発を使うというアイデアはあったんですけど。それぐらいじゃあヒマラヤ山脈の地形って変わらないんですよね。それでしばし長考せざるを得なかったんですけれど、「ビルサルドを使えばいいんだ」と。彼らは科学第一主義だし、ブラックホール近くの母星で暮らしていたから、環境を変えてしまうにも抵抗感はないだろう。それでナノメタルを使ってプレートのレベルから変えてしまおうと。

大樹: 白土さんからは、ナノメタルによるプレート操作について、A4で5枚ぐらいのしっかりしたレポートをもらいましたよね。僕としては、そういう形でゴジラが埋められたとするなら、再登場する時に、『ゴジラVSビオランテ』でゴジラが三原山火口から登場するシーンを、もっと大きなスケールで描けるな、やったぁ、とかしか考えてませんでしたけど(笑)。

――小説の最後の舞台は東京です。

大樹: 日本の『ゴジラ』シリーズは基本、東京へのゴジラ上陸が始まりになっているわけですが、今作の場合は、逆に、最後に東京にゴジラが現れる、ということにすればうまくオチるのではないかと。

――ゴジラの上陸地点が芝浦で、1954年の『ゴジラ』へのオマージュだなと思いました。

白土: 僕も、海上保安庁の巡視船「しきね」が出てきた時点で、「そうだよね!」となりました(笑)。

大樹: そうですね。そういうことが書きたくてこの小説を書いているので(笑)。オキシジェン・デストロイヤーなんかもですね、出すとゴジラを倒せてしまうので、出せない。しかし、ゴジラの小説である以上、やっぱりオキシジェン・デストロイヤーって書きたい。それでああいう形となりました。

いつか、GODZILLAと宮沢賢治が出会う日まで(?)

――小説『GODZILLA』は、本作で一区切りがついていますが、3作目というのはありえるのでしょうか?

大樹: うーん、それは売れ行きと関係者の皆さん次第なんですが、『GODZILLA』の前日譚としてはこれで完結した内容になっていますし、オーラルヒストリー形式は難しいですね……。あとはもう本当に怪獣が……。ガス人間(『ガス人間第1号』)とかマタンゴ(『マタンゴ』)とかかなぁ。電送人間(『電送人間』)はさすがに無理か……。

白土: いや、電送人間ならできますよ。太陽風の影響で人間が電送状態になって、その電送人間が見た『アフターマン』(人類滅亡後の地球を支配する動物世界を想像した書籍)みたいな小説ならいけるんじゃない?

大樹: それだ。月に人類の歴史を電子情報として保存するための施設があって、そこに残っていた地球最後の人類の生き残りが、事故によって電送人間になってしまう。その電送人間が、地球を取り囲む地磁気と一体化して、アラトラム号の地球脱出後から本編開始までの2万年間、地球の変化を見守っていた……、とかそういう話はどうでしょう。

白土: おお、電送的な客観性! って、何を言っているかわからないですが(笑)。

大樹: 宮沢賢治の言う「わたくしといふ現象は假定された有機交流電燈のひとつの青い照明です」(『春と修羅 序』)ですよ! ……って、打ち合わせでは、ずっとこんな与太話ばっかりをしていたんです(笑)。

――今のやりとりで、打ち合わせのノリがよくわかりました。

大樹: そして、こういう与太話のうち、使えるアイデアだけが白土さんの助けによって真実味を獲得して、『怪獣黙示録』と『プロジェクト・メカゴジラ』の中に残っている、というわけなんです。怪獣映画というのはやはり、ビジュアルあってこそのものなのですが、小説『GODZILLA』を手に取られた方が、絵のないところで、各怪獣の勇姿や戦場の風景を想像して読んでいただけたのならうれしいです。

(司会・構成:藤津亮太)

>>アニメーション映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』OFFICIAL SITE
 
 
 


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