「萌え公債」は実現しない?
田中:僕ね、国債をみんなに買ってもらう方法を考えたんですよ。それが「萌え国債」。有名な絵師さんのイラストが入ってるんですよ。お米がそれで売ってるでしょう? 国債でやってもいいんじゃないか。
井上:日本は国債が売れないわけじゃないんです。逆に、発行しないもんだから、買いたくても買えないんです。
田中:県とか自治体でやれないんでしたっけ? ありますよね。公債をやればいいんですよ。「萌え公債」。
井上:地方がお金儲けをすると、国が「じゃあ、地方交付税交付金は要らないよね」って言うらしいです。
田中:銀行が金を貸してくれないからベンチャー企業にお金が集まらないって言ってたじゃないですか。あれも、どこかの県だけはベンチャーにバンバン貸しますよ、と何年かやってみればいいんじゃないですか。
井上:それ、いいと思うんですけど。いくつか問題があって、いま、銀行はお金を貸さなくていいんです。
田中:貸さなくても困らない?
井上:貸したくないの。なぜかというと、金利が低いから。それに銀行預金って銀行にとっての借金なので今はなるべく減らしたい。これから不景気になるから。
だから、何がマズいかっていうと、ようは……これ、何回言ったり、描いたりしてるんだろう。毎回結論は同じで、「日本銀行が日本円をたくさん発行しないから悪い」──という結論に戻ってきちゃう。だから、みんな、知りたくなるわけですよ。どうしてしないの?
田中:香川県は「1うどん」とか別のお金をつくってバンバン発行すればいいんじゃないですかね。香川が上手くいったら次は四国で、と広げていけば。
井上:そうなんですけどね。でも、そうはならないんですよ。田中先生のアイディアはすばらしい。経済特区ってありますよね。でも、そんなことをする必要はないって政府が考えてるんです。消費税を上げないだけで景気対策になるのに、あんな難しい軽減税率までつくってなんで上げるのか。景気なんてどうでもいいと思ってるからですよ。日本経済を縮小させたがっているんだから──ってオカルトになっちゃう(笑)。
景気対策よりも、いまの日本の借金を減らすことのほうが重要だ、というのがいまの日本の政治なんですよ。
借金を減らすってことは、世の中に流通しているお金を減らすことになるんですよ。そんなことをしたら国の経済が倒れますよ、と言っても、そんなことはどうでもいい。
田中:いままで倒れてないから大丈夫だろう、ということですか。
井上:そんなことすら考えてない。じゃあ、なんでそうなるのか。官僚たちが景気なんかどうでもいいと思っているとしか思えない。そんなことよりも、消費税を上げて、自分たちの政治力を強めることしか考えてない。
太平洋戦争のときも、海軍が最終的に開戦に賛成したのは、予算が増えるからって話があるじゃないですか。
田中:得てしてそういうことってありますよね。
井上:それって、開戦したらどうなるかとか関係ないじゃないですか。その瞬間の自分たちのことだけじゃないですか。大局を見ていない。
田中:昔からそうですよね、日本人。
井上:なんでこうなんですかね。
〈後編へつづく〉 ※10/16(水)公開
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