デビュー前から麻耶雄嵩さんの大ファンだったという高里椎奈さん。今回は麻耶雄嵩さんの最新作『友達以上探偵未満』の刊行を記念して、お二人の夢の対談をお届けいたします。高里さんの熱い麻耶さん愛と、その愛の大きさに本気で照れている麻耶さんの姿をお楽しみください!
――お二人ともミステリ界で長く活躍されていらっしゃいますが、お会いするのは今日が初めてなんですよね。
麻耶雄嵩: 僕は普段、京都に引き籠もっているので、あまり他の作家さんにお目にかかる機会が多くはないんです。
高里椎奈: 私も人前に出ることはほとんどないので、今は物凄く緊張しています。今日は本当に麻耶さんファンとして来ているので、むしろ私が対談相手で良いのか、という申し訳なさしかなくて……。
麻耶: 高里さんのお名前は、以前から存じ上げていました。
高里: 光栄です! 私はデビュー前から麻耶さんの大ファンで、実はどこかの大学祭で開催された麻耶さんの講演会にも、友人と参加したことがあるんです。
麻耶: そうだったんですか。どこかな。都内ですか?
高里: はい。ミステリクラブの方が主催で麻耶さんにいろいろ質問をしよう、というような企画だったんですが、講演会のあとに麻耶さんのご厚意でサイン会が始まったんです。私、その日ご著書を持ってきていなかったのでサインをもらえなくて、ずっとその時のことが心残りで……。
麻耶: よろしければ、あとでサインさせていただきます(笑)。
高里: ありがとうございます!
――高里さんの麻耶さんの作品との初めての出会いというのは、どういうかたちだったんでしょうか。
高里: 最初に読んだのは、『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でした。友人に薦められたんですけれど、その時「メルカトル鮎いいよ、熱いよ」って言われただけだったんです。「メルカトル」というのがタイトルなのか、作者名なのか何も教えてくれなくて。ただ「メルカトルはいいぞ」しか言ってくれなかったんですよ。
麻耶: 凄いお友達ですね(笑)。
高里: なので、とりあえず本屋さんに行って文庫コーナーを回って背表紙を全部見たんです。けれど、探しても見つからなくて。もしかしたらノベルスなのかも、と思ってそのコーナーに行ったら背表紙に小さく「メルカトル鮎最後の事件」と書いてある作品を見つけて、「これだ!」と。
麻耶: そんなハードモードの条件の中で見つけていただいてありがとうございます(笑)。背表紙にメルカトル鮎って入れておいてよかったです。別に主役でもないですからね。
高里: 早速購入して読んでみたら、物凄く面白くって……それからは新刊が刊行されるたびに、必ず拝読しています。
――高里さんは麻耶さんの新刊は必ず購入されるということでしたが、最新作『友達以上探偵未満』はいかがでしたか?
高里: 私が麻耶さんの作品を読むたびに素晴らしいなと感じるのは、作中に全てが書いてあるところなんですね。麻耶さんの作品はいつも結末で「まさか」と思うようなことが起こるんですけれど、頭に戻ってもう一度読み返すときちんと全て伏線が書いてある。今回もひとつひとつの謎は勿論なんですけれど、最後の3話まで読みおえるとグルッととあることがひっくり返されるんですよね。その反転が本当に鮮やかで読んでいて気持ちよくて。私も自分が作品を書く時は麻耶さんのように忘れ物をしないように心掛けています。
麻耶: ありがとうございます。もともと1話目は違うもののために起こしたプロットだったので、きちんと1冊にまとまってよかったです。
高里: 「伊賀の里殺人事件」は、もともとテレビドラマの謎解き用のものだったんですよね。
麻耶: そうです。なので終わりまでの構想が最初からあったわけではないんです。ドラマの時は解答者で出演された綾辻行人さんに、危うく正解されそうになってハラハラしていました(笑)。
高里: 私もドラマを拝見していたんですが、謎は全く解けませんでした。
――本作はカバーイラストにも登場している二人の名探偵志望の女の子、伊賀ももと上野あおの“桃青コンビ”が主人公。彼女たちが絶妙なバランスで謎を解いていくのが魅力のひとつです。
高里: ももちゃんも、あおちゃんも、とっても可愛かったです。女子高生が等身大で、とても自然で素敵でした。特にももちゃんの比喩表現が女子高生らしさに溢れていて、お気に入りです。
麻耶: たとえば、どういうものですか?
高里: 殺人事件現場で警察関係者がごった返している様子を、人気ラーメン店に喩えているところがあったり、あと、発見した遺体の髪について艶やかなことを表現するために「由緒あるお寺の毎日磨き込まれた廊下」と表現したりしている部分が特に印象に残っています。
麻耶: 1話目と3話目ですね。
高里: 女子高生の知識から出てくる言葉選びで、かつ残酷な無邪気さが伝わってくるのが素晴らしいな、と。麻耶さんの描かれる登場人物は世界との距離感が独特で、事件に対するキャラクターの距離の取り方が素晴らしいと考えているんです。ももとあおはまだ女子高生なので、殺人事件にたいして大人ほどリアルに凄惨さを感じていないのかなと感じました。先ほど挙げた比喩は、残酷な出来事に対する実感がないからこそ言える言葉ですよね。でも、そういった言葉選びが彼女たちの女子高生らしさに繋がっているのかもしれないと思います。
麻耶: 女子高生二人、というのは実はドラマ版のプロデューサーのアイデアなんですよ。もともとは兄二人と妹の3兄妹の予定だったんですが、女子高生二人が良いと言われて。折角女子高生二人にするのであれば、彼女たちは対になる存在として描きたいな、と考えて生まれたキャラクターです。書いている最中は、ありがちじゃないかなと悩んだりもしたんですが……。
高里: そんなことないです! 麻耶さんは以前、『夏と冬の奏鳴曲』でキュビズムの話を描いていらっしゃったと思うんですが、麻耶さんの書かれるキャラクターというのは面を替えるとガラッと印象が変わるところも面白いんです。今回もももちゃんもあおちゃんも、読み進めるごとに「こんな一面があったんだ……好きっ!」となりました。
――高里さんとしては、ももとあお、どちらのほうが好きですか?
高里: 難しい質問をしますね……。
(一同爆笑)
高里: 基本的な視点人物がももちゃんなので、前半部分はどうしても彼女のほうに感情移入しがちだったんです。けれど3話目で……細かく言うとネタバレになってしまうので言えないのですが、あおちゃんの本音が見えてくるシーンがあるんですよね。その時に、初めてタイトルの本当の意味が分かる構造になっていて。3話目を読み終えた時は、あおちゃんのことが愛おしく思えて、応援したくなりました。
麻耶: 書いている僕としてはどちらも同じくらいの熱量で挑んでいるので、どちらのほうが好き、ということはないんです。ただ、対になるように意識していたので、そういう感想を頂けるのは嬉しいですね。
高里: どちらのほうが書きやすいというのはありましたか?
麻耶: 最後以外はももの視点なので、あおのほうが書きやすかったですね。ももは物語の進行上、いろいろと動いてもらって情報を手に入れなければいけないので。あおは前半はツッコミ役なので、書きやすかったです。ただ、3話目であおにフォーカスをあてるタイミングになった時は、いろいろと肉づけをしなければいけなくて少し苦労しました。
高里: 普段はキャラクター設定を、カッチリと固めてから執筆されることが多いんですか?
麻耶: 固めすぎるとうまく動いてくれなくなってしまうこともあるので、ある程度の傾向は決めていますが、ガチガチには固めていません。書いていくうちに事件に沿って固めていく、ということのほうが多いですね。連作短編でキチッとオチをつける場合は、それこそラストに向かってキャラクターを作り込まなければ、と思うことはありますけど、今回はそこまでではなかったですね。
高里: それであのラストに繋げていくことができるのは、本当に麻耶さん凄い……という感想しか出てきません。3話目で「本当は多くの名探偵がトランキライザーとしてワトソン役を必要としているのかもしれない」という一文があるんですが、それを読んだ瞬間に過去に読んできた探偵ものがわーっと頭をよぎっていったんです。確かにそうだな、と。ただ麻耶さんの素晴らしいところはトランキライザーにとどまらず、新たな関係性をももとあおに与えてしまうところ。探偵ものの場合「ホームズ」と「ワトソン」というのはある種の記号だと思うんですけれど、本作は探偵ものの中でも全く新しい形になるのではないかなと思いました。
麻耶: 自分としては少し強引かな、とも思って書いていたんですが、そう言っていただけて少し安心しました。
――ワトソン役をももの兄にしたというのは意図的なものだったのでしょうか。
麻耶: 無条件で信用できるワトソンというのは、やはり主人公どちらかの兄弟かなと。女子高生に捜査情報を漏らす若い刑事って、肉親じゃないとどこか下心がちらつきますし。あおではなくももにしたのは、単純にもものほうが兄に素直におねだりできそうなキャラクターだったので。
高里: 空さん(ももの兄)も、なんだかんだ妹が大好きですもんね。登場シーンからももちゃん大好きという空気が伝わってきて、本当に愛おしいです。麻耶さんはあまり細かいキャラクター設定は決めずに書いているとおっしゃっていましたけれど、ももちゃんの「解ったり!」という決め台詞も最初から決めていらっしゃったわけではないんですか?
麻耶: 最初から、というよりはドラマ版からの影響が大きいかもしれません。ドラマ版では逆に、あおにあたる役の子がひらめくと「パッキーン!」って言うんですよ。それはドラマの方が決めてくださったんですが、見ていて決め台詞があったほうが面白いなぁと。
高里: そうだったんですね。それにしても「パッキーン!」は斬新ですね。
麻耶: テレビの人って、そういうキャッチーなのが上手いですよね。実は雑誌掲載中の決め台詞は、違うものなんです。たしか「ユリーカ!」と。
高里: いまのものと全然違いますね!
麻耶: そうなんです。なんか違うなぁ、固いなぁと思いながら書いていたんです。「ユリーカ!」だとちょっとインテリ臭くなるじゃないですか。もものキャラにあわない。もう少し腰砕けなほうがいいかな、と色々と考えて「解ったり!」に辿りつきました。
高里: 私、あおがこの決め台詞に対して「とりあえずそのままにしておこう」と思う部分がとても好きで。あおは、ももの「解ったり!」は気に入ってないんだなぁって……(笑)。
(一同爆笑)
高里: そういう心の声の部分でも、あおちゃんがももちゃんのことを好きだというのが伝わってきて。一冊を通してキャラクター同士の「好き」が伝わってくるので、読みおえたときは私も「本当にみんなが大好き……」という気持ちになりました。
――先ほど、高里さんからタイトルのお話が出ましたが、最初にタイトルを見た時はどういう印象をうけられましたか?
高里: 麻耶さんはどういう物語を書かれるのかな、楽しみだなというのが最初の印象ですね。いろいろと自分自身でも方向性を考えてみたんですけれど、読んでみると自分では絶対に思いつけない物語でした。
麻耶: 実はこのタイトルでいこうと一旦決まったあとに、担当編集者からはタイトルを変えようという意見も出ていたんですよ。100個くらい代案を考えてくださったんでしたっけ?
担当編集者:そうです。最後は迷走して『鹿撃ち帽』とかも一瞬考えました。麻耶さんにお見せする前になかったことにしたんですけれど……。
麻耶: ホームズだからですか?(笑)まあ、紆余曲折をへて、最終的にはこのままで行きましょうというかたちで落ち着きました。
高里: 「以上」と「未満」という単語の間に、この「友達」と「探偵」と入れてくるところが、麻耶さんのセンス! と驚きました。読みおえると、これ以上のタイトルはないと思える素敵なタイトルだと思います。タイトルはいつもすんなりと決められるほうですか?
麻耶: いや、タイトルはいつも一番最後ですね。
高里: それはどういうふうに決められるんですか? 作中から単語を拾ってきてとか、全体を見てとかいろいろとあると思うんですけれど……。
麻耶: 僕は全て出来上がってから考える、ということが多いですね。書き終えて「さて、タイトルは何にしようか」と考えはじめます。
高里: 意外でした。いつもタイトルと作品がキチッとはまっていらっしゃるので、てっきりタイトルから決められているのかと思っていました。
麻耶: 今までタイトルから入った作品は……『螢』くらいだと思います。だいたい書きはじめるときは「(仮)」とかのことが多いですよ。なので、年末に刊行される「本格ベストテン」などに出版予告を載せていただくんですけど、だいたいタイトルは(仮)がついています。
高里: 確かにそうだったかもしれません!(笑)
麻耶: あれ、本当に決まっていないんです(笑)。タイトルが一番困るところで。苦手なので、いつも後回しにしちゃいます。
高里: 私は麻耶さんのタイトルの中では『あいにくの雨で』が、響きが美しくて好きなんです。私には絶対に思いつけないし、けれど作品にはピッタリのタイトルで。いまだに雨が降るたびに、この作品を思い出しています。
麻耶: 実はあれ、最後の最後に編集者がつけてくれたタイトルなんですよ。自力では無理だったと思います。ちなみに高里さんは、いつもどういうふうにタイトルを決められることが多いんですか?
高里: 私も基本的には最後に決めています。
麻耶: あ、そうなんですか! 高里さんの作品はしなやかなタイトルが多いので、決められてから執筆されていると思っていました。
高里: 私も得意なほうではないので、後回しにしてしまうことが多いんです。
――今回はももの「解ったり!」という宣言のあとの、犯人当ても読みどころのひとつです。麻耶さんは、普段はトリックを考えてから物語を構成されることが多いですか?
麻耶: そうですね、トリックやロジックに時間をとられてしまうことが多いです。ギリギリまで考えるので、ついほかの要素が後回しになってしまうんです。そのせいで締め切りとか……いつもすみません(笑)。
高里: トリックはどういう風に考えられることが多いんですか。ふと、閃かれることが多いですか?
麻耶: 閃くというか、ふっと降りてくるというか。散歩中とかに思いつくことが多いです。なので家の中でもしょっちゅううろうろ歩いています。じっとしているよりは動いているほうが、途中から頭がからっぽになるので何か出てくることが多いですね。
高里: そうなんですね。私は「うちの執事」のシリーズについては、童話をモチーフにしているんですけれど、トリックを先に決める場合と童話から考える場合と話によって異なります。でも、これからは詰まった時は私もお散歩しようと思います。
麻耶: 人それぞれだから、そこは真似しなくていいと思いますよ(笑)。
高里: いえ、参考にさせてください(笑)。麻耶さんはトリックのストックは、たくさんおありなんですか?
麻耶: ストックははるか昔に尽きています。なので、いつも苦労してます。「貴族探偵」シリーズなどはキャラクター設定ありきで謎を考えなければいけない部分もありますが、個性的なキャラクターがいたとしても結局はトリックから積み上げていくほうが自分としてはうまくいくみたいで。今回も最終話以外はキャラクター性はあまり考慮せずに、深く掘り下げるのは最後にしよう、というかたちでトリックから考えていきました。
――高里さんが執筆されている「うちの執事」シリーズも、古くから続く名家の若き当主と新米執事のペアが上流階級ならではの謎に挑む物語ですね。
麻耶: ご本を拝読したんですが、高里さんの物語は当主の花穎と執事の衣更月、どちらがホームズでどちらがワトソンという棲み分けをあえてされていないように感じました。当主も執事もどちらも謎を解決することがありますよね。
高里: 読んでくださったんですね。恐縮です、ありがとうございます! 私自身も執筆しながら「今回は誰が探偵役かな」と思いながら書いているので、役割はふわっとしているかもしれません。
麻耶: 中の設定として、当主と執事、どちらのほうが探偵的な能力が上というのはあるんですか?
高里: 得意分野が二人とも違いすぎて、解ける事件が違うというふうに考えながら書いていますね。
麻耶: なるほど。
高里: 私が書いている当主の男の子は色彩の感知能力が高い、という設定があるので、絵画であったり目の力を使うものに関しては彼のほうが優れているんです。ただ、世間一般の常識に関わることだとかは、執事の方が詳しい。今はそういう得意ジャンルの棲み分けになっているので協力して謎を解く、という空気感は薄いかもしれません。最終的には、桃青コンビのように花穎と衣更月のバランスが整うといいんですけれど……(苦笑)。
麻耶: まだ、ちょっとドロドロというかイガイガしていますよね(笑)。
高里: 当主と執事で、ぴったりなウェイトを探している最中です。ですが、麻耶さんが描かれたももとあおのように、ぴったりなハーフハーフでの二人探偵、というのはなかなか見ないですよね。
麻耶: 探偵だと役割分担が難しいです。今回はホームズ役を二人にするにあたって、閃きをもも、論理をあおというふうに分けたんですが、ももが閃きで踏み込みすぎてしまうと、彼女一人で解決できてしまうんですよ。あおがただの解説役になってしまう。なので、どこまでももに閃かせればよいかというバランスには気を遣いました。
高里: たしかに、どちらが欠けても駄目だというバランスを保つのは難しそうですね。
麻耶: フィジカルなヒーローであれば、力が強いとかスピードが速いとか、パラメーター的に振り分けやすいです。『サイボーグ009』みたいに。でも頭脳労働だと、能力を分離するとしてもどこで線引きすればいいのか難しくて。うまく分けられたとしても、今度は力の合わせどころに悩みますし。
高里: 確かにそうですね。
麻耶: いっそ謎のジャンルごとに分けようかとも当初は考えたんですが。
高里: 僕は密室、僕はアリバイ、僕は暗号、みたいなことですね。それも面白そうですけど……。
麻耶: 各ジャンルに特化した探偵という存在が、自分の中でリアリティを持てなかったんです。探偵とは孤高の存在であって、ゆえにオールラウンダーでないとという理想もあって。あと、事件によっては各能力の境界線が曖昧になってしまいそうだなと。それにもともと二人を探偵にすると決めた時から、互いに補いあいながら謎を解き、どちらかが欠けても駄目、という構造にしたかったんです。ジャンル別だと、密室殺人なら密室担当しか活躍しませんから、これは違うなと。職能集団の話を書きたいわけではなかったので。
高里: 能力の分け方は、最初から考えていらっしゃったんですか。
麻耶: 実は一番最初は、『どろろ』みたいなものを考えていたんです。ドラマ版の話が来る前のことですが。ひとつ事件を解決するごとに、喪った探偵能力を取り戻していく。アリバイの事件を解決するとアリバイの能力が増える、というふうに。そして最終的に完璧な名探偵が復活する。
高里: ものすごく面白そうですね。私はゲームをよくプレイするので、そういう設定は惹かれます……!
麻耶: でもこれも冷静に考えると、どういう世界のどういうシステムなの?っていうことになるんです。やりすぎるとファンタジーになってしまうので、諦めました。
――さて、最後の質問です。麻耶さんファンの高里さんから見て、今回の『友達以上探偵未満』は麻耶作品の中で何位くらいですか?
麻耶: 著者の前で、鬼みたいなこと聞きますね(笑)。
高里: えええええ、難しいです……。私が一番読み返す作品は『メルカトルと美袋のための殺人』なんですけれど、理由は自分でも説明ができないんですよね。メルカトルが好きというのもあるんですけれど……ただ、その時の気分によっても選ぶ作品は変わってくると思うので……。順位はつけられないです! でも、そうですね。普段本を読まない方に麻耶さんの作品を薦める時とかに、今までは『神様ゲーム』を挙げていたんですが、今度からは『友達以上探偵未満』も薦めていきたいです。
――ありがとうございます。そして、無理やり言わせた形で本当にすみません……。
高里: いえいえ(笑)。本当に今回の作品もとても楽しく拝読させていただき、3話まで読んで、ももちゃんも、あおちゃんのことも、二人の関係性が大好きになりました。これからもこの二人の成長を見つめていきたいです。けれど、二人の関係性的に成長させるのは難しそうですね。
麻耶: 今がベスト・バランスなので、逆に言うと成長が別れに繋がりかねないですからね。うまく補いあいながら次のステージへ成長する、ということが書けたら面白いなと考えています。
――是非、麻耶さん続編もお願いいたします! 今日はお二人とも本当にありがとうございました。