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特集

中村佑介×森見登美彦 初のスペシャル対談! アニメ『四畳半タイムマシンブルース』ここだけの話

写真・文:編集部

単行本『夜は短し歩けよ乙女』(2006年)で初めてコラボレーションして以来、誰もが認める強力タッグの中村佑介と森見登美彦。なんと、意外にもふたりの対談は今回が初めて。大阪で開催中(~9/25、11/9~東京へ巡回)の「中村佑介20周年展」のイベントに参加したふたりが新作アニメ『四畳半タイムマシンブルース』(9/30劇場公開)について繰り広げた貴重なトークを特別にお届けします!



中村佑介(以下、中村):最初に『四畳半タイムマシンブルース』の単行本カバーイラストの依頼が来たとき、『四畳半神話大系』の続編を今⁉ってびっくりしましたね。森見さん、続き書くんだーって。で、読んでみると、小説版の続編というよりは、アニメ版の続編というイメージで作ってるんじゃないかなと思ったんです。たとえば明石さんって『四畳半神話大系』の小説では、アニメほど印象が強くないというか、まあ話の大筋は変わらないんだけどそんなに何回も出てこないんですよね。

森見登美彦(以下、森見):そうですね。

中村:原作小説は小津と「私」の物語で、明石さんはあくまで脇役。なんとなく「私」が憧れてて、最後ラブストーリー風に帰結するために置かれた役割だったのが、アニメではもう少し存在感が大きくて物語に絡んでくる。

森見:自分でもつかみどころのないキャラを書いてしまったから、アニメで急に明石さんにビジュアルが与えられて、おっ、えらいかわいいじゃないかとびっくりしました。

中村:そのぶん『四畳半タイムマシンブルース』では、ちょっと小津がさみしそうで(笑)。

森見:そうそう、割を食ってるというか(笑)。



中村:『四畳半神話大系』は最初に映像化された作品として森見さんの名刺みたいになった。作家って、自分が意図してないところで名刺になったものの続編を書くのに抵抗があるというか、そこに乗っかってしまうと、その後の作家人生が自分の劣化コピーをずっと作っていくような作業になってしまうんじゃないかという恐れを抱えていると思ってるんです。だから今回「こんな続編の書き方があったか!」と驚いて。たぶんいま腐れ大学生を本気で書くのは恥ずかしさもありますよね。

森見:やっぱり魂は戻らないです。『四畳半神話大系』を書いたときはまだ自分が大学院生だったから、文章の行間に変なものがいっぱいこもってるんですよ。汚いものもいっぱい。

中村:鬱屈としたね。

森見:そういうのはもう出ないんだって諦めて、それとは違うものをやりゃいいんだって思って書きました。そもそもが、今までさんざんお世話になってきた上田誠さんの舞台を小説にしよう、というところから始まっているので。『四畳半神話大系』の続編を書いてほしいという依頼だったら、たぶんやってない。

中村:そうですよね。



森見:上田さんの『サマータイムマシン・ブルース』は、ヨーロッパ企画にいる劇団員の人たちがキャラクターを成立させてるから、非常に魅力的な舞台になってるんだと考えたら、こちらも同じぐらい強いキャラを持ってこないと対抗できない。そうなると一番使いやすいのは、『四畳半神話大系』のキャラたちだったんです。

中村:お聞きしたかったのが、森見さんの中では、『四畳半神話大系』と『四畳半タイムマシンブルース』の二つの物語の時系列は、どっちが前でどっちが後なんですか? それとも『四畳半神話大系』の中みたいにそれぞれがパラレル世界になってる?

森見:パラレルですね。『四畳半神話大系』は四つの並行世界だったけど、そこにたまたま番外編として五つ目の並行世界が出てきたっていう。そもそもが並行世界の話だからいくらでも言い訳できる。だから、雰囲気は全然変わってしまっているけれども、設定としては、もう一つの並行世界。

中村:続編だけど話の続きではないと。で、今回のアニメ。試写で見させていただいたんですけれども、いや、これがね、とんでもないですよ。原案が上田さん、小説が森見さんという原作に、(アニメ『四畳半神話大系』の)湯浅(政明)監督、(アニメ『四畳半タイムマシンブルース』の)夏目(真吾)監督と、誰の作品かわからないくらいごちゃ混ぜなんだけど、それがまるで四畳半キャラたちの関係性のようで、かつアニメーションとしてめちゃくちゃ面白くまとまっている。

森見:さっき言った通り、原作の『四畳半タイムマシンブルース』が、『四畳半神話大系』とはちょっと違うんですよね。二次的な創作というか。

中村:サービスですよね。

森見:そう。かつての『四畳半神話大系』は非常にねっとりしたものなんだけれども、そのキャラクターを使ってちょっと遊んでみようというのが『四畳半タイムマシンブルース』なので、小説自体の雰囲気がまず違う。今回のアニメも、アニメ『四畳半神話大系』とはまた別に、その枠に囚われないでやりましょうっていう感じになってると思います。全然違うものというわけじゃないんだけど、やっぱり新しいものになってます。

中村:僕は今回できるだけキャラクターデザインについて、ちゃんと言うようにしました。『四畳半神話大系』のときよりもみんな現代的に、たとえば明石さんの髪型は同じボブでも2010年代のボブとは違うとか、今の人のハーフパンツは丈が違うとか、細かいところを監督としっかり打ち合わせして。服の縫い目なんて、僕は描いてるけどアニメではなかなか再現されないのはわかってるんです。でも言うだけ言ってみたら、今回ほぼ再現して下さっていて。アニメーターの皆さんゴメンナサイ!って思いました。たぶんアニメにおいてこの先、僕の絵をここまで最大限に理解して活かしてくれる作品には二度と出会えないと思いました。もう今後アニメの仕事には関わらなくていい。

森見:そんなこと言っていいんですか(笑)。

中村:いや、もちろん来たら嬉しいしやると思うけど、それくらい『四畳半タイムマシンブルース』は僕にとって理想的なアニメ作品でした。

原作情報



『四畳半タイムマシンブルース』(角川文庫)
著:森見登美彦
原案:上田 誠
カバーイラスト:中村佑介
定価: 704円(本体640円+税)
原作公式サイト:https://kadobun.jp/special/yojohan-timemachine/

アニメ情報



『四畳半タイムマシンブルース』
◎劇場版
9月30日(金)より3週間限定全国ロードショー
配給:KADOKAWA/アスミック・エース  
◎ディズニープラス
9月14日(水)より独占先行配信(配信限定エピソード含む全6話順次配信)

【CAST】
浅沼晋太郎 坂本真綾 吉野裕行 中井和哉 諏訪部順一 甲斐田裕子
佐藤せつじ 本多力(ヨーロッパ企画)
【STAFF】
原作:森見登美彦・著、上田誠・原案『四畳半タイムマシンブルース』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:夏目真悟
脚本 :上田誠(ヨーロッパ企画)
キャラクター原案:中村佑介
主題歌:ASIAN KUNG-FU GENERATION 「出町柳パラレルユニバース」(Ki/oon Music)
アニメーション制作:サイエンスSARU
製作:「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会

公式サイト:https://yojohan-timemachine.asmik-ace.co.jp 
©2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会

展覧会情報

「中村佑介20周年展」 20th Anniversary Yusuke Nakamura Exhibition
◆大阪会場
開催期間:2022年7月23日(土)~9月25日(日)
開館時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(8月15日、9月19日は開館)
会場:大阪芸術大学スカイキャンパス/あべのハルカス24階 ※17階で乗り換え
住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
入場料(いずれも税込):
・[通常]一般 1,000円、大学・専門学校生 800円、中高生 600円
・[グッズ付]一般 1,300円、大学生 1,100円、中高生 900円
※小学生以下入場無料(単独入場不可)
※大学・専門学校生、中高生料金で入場の際には学生証または生徒手帳の提示が必要
※本券の変更・払戻・再発行・転売不可
プレイガイド:イープラス(電子チケット含む)、ローソンチケット(電子チケット含む)、セブンチケット、楽天チケット
※2022年6月25日(土)10:00~9月25日(日)15:00まで販売

◆東京会場
開催期間:2022年11月9日(水)~2023年1月9日(月・祝)
開館時間:11:00~19:00(入場は18:30まで) ※金曜日のみ11:00~20:00
休館日:月曜日(12月26日、1月2日、9日は開館)
会場:Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)/東京ドームシティ
住所:東京都文京区後楽1-3-61
入場料(いずれも税込、前売・当日一律):
・[通常] 一般 1,200円、学生 900円
・[グッズ付] 一般 1,500円、学生 1,200円
※小学生以下は入場無料(単独入場不可)
※学生料金で入場の際には学生証または生徒手帳の提示が必要
※再入場不可
※チケット発売は2022年10月12日(水)10:00~(予定)

公式サイト:https://www.yn-ex.com/


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