年間約200点の小説作品を刊行する角川文庫。新刊はもちろん自信を持っておすすめしたい作品ばかり! でも、過去に刊行されたものの中にも、魅力的な作品がたくさんあります。
そこで始動したのが「角川文庫仕掛け販売プロジェクト」。営業メンバーが本気で「おもしろい!」「推したい!」と思う作品を持ち寄り、「この魅力をもっと多くの読者に伝えるには、一体どうすればよいのだろう?」と試行錯誤するプロジェクトです。
今回はそんな「角川文庫仕掛け販売プロジェクト」の裏側を大公開! 2023年5月末より展開中の3作品もご紹介します。
角川文庫仕掛け販売プロジェクトの裏側に迫る!
角川文庫流! 「仕掛け販売」の心得
――そもそも「仕掛け販売」って何ですか?
営業担当:「仕掛け販売」とは、書店店頭でひとつの作品をピックアップして展開する販売方法です。
目立つ展開で多くの読者にアピールすることができる分、通常よりも多くのスペースが必要になります。書店の売り場は有限なので、私たち営業担当の「売りたい」という気持ちだけでは成立しません。書店員さんに提案し、「おもしろそうだからやってみよう!」と思っていただけて初めて展開が実現します。
――「仕掛け販売」を提案する中で工夫していることはありますか?
営業担当:はい。ひとつは「ご提案する作品をひとつに絞らないこと」です。お店によって得意なジャンルやお客様の傾向が異なるので、タイプの異なる2~3作品をご提案し、その書店に合った作品を選んでいただけるようにしています。
もうひとつは「見せ方を変えること」です。過去にヒットした作品を仕掛け直す場合も、可能性を秘めた作品を一から仕掛ける場合も、常に「これまで以上に多くの読者に気づいてもらうためにはどうすればよいか」を考えるようにしています。
たとえば、本来のカバーを覆い隠すサイズの「超幅広オビ」をかけてみたり、店頭装飾用の「POP」を手書きで作成してみたり。新しいオビやPOPは書店員さんに「やってみよう!」と思っていただくきっかけにもなるので、プロジェクトメンバー全員でアイデアを持ち寄り、時間をかけて作成しています。
――プロジェクトを進める中で「楽しい!」と感じる瞬間を教えてください。
営業担当:仕掛作品を選び、売り方を考える時間ですね。
角川文庫は国内小説だけでも総点数4,000点以上。思い入れのある作品もあれば、読者として出会ったことのない作品も存在します。選書をするとき、メンバーそれぞれが挙げた候補作品を読んで意見を出し合うのですが、思いがけず自分に「刺さる」本に出会うこともあり……。まず私たち自身が読んで、おもしろい本に出会う。その瞬間がとても楽しいです。
また、オビやPOPを作成する際、どんな見せ方がよいか各々の感想を交えて話し合うのですが、全員の意見が一致した時の盛り上がりは最高です!
仕掛け販売タイトルをご紹介!
2023年5月末より展開中の3作品について、営業担当のコメントと共にご紹介します。
藤崎翔『神様の裏の顔』(角川文庫刊)
神様のような清廉な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙した――と思いきや、年齢も職業も多様な参列者たちが彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者であった疑惑が持ち上がり……。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
<営業担当より>
30万部突破のベストセラー・どんでん返し界の王様級作品と言っても過言ではない『神様の裏の顔』。
KADOKAWAに入社し、文庫の販売企画になった時から、この名作については各所から聞いていました。
「いつか自分も仕掛けてみたい!」そんな願いが叶い、今回ついに担当させてもらえることになりました!
発売当時の仕掛けでは「めくれるパネル」が好評だったのですが、コロナ禍を経て「めくる」というアクションのハードルが上がったように感じるという意見があり、今回はアプローチを変えることにしました。
本作に登場する7つの事件を紹介したPOPや、白熱する推理模様を表現したパネルをデザイン。
今回の仕掛け販売にあたり読んでくれた書店営業からの「登場人物さえも、騙されるどんでん返しだ……!」という感想をもとに、100人中99人が騙されるキャッチの帯を制作しました!
ぜひ、多くの読者が騙されるこのどんでん返しに、挑戦してみてください!
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321604000139/
恒川光太郎『滅びの園』(角川文庫刊)
ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。
それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。
少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。
だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。
世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
<営業担当より>
「こんなに面白い作品を今まで読んでいなかったなんて……!」の声が多数上がった一作。
普段SFを読まない営業メンバーからも「仕掛け販売を通して、SF初心者含めより多くの人に読んで欲しい!」と太鼓判をいただきました。熱い推薦コメントが入った帯は必見です!
そして、あらすじを読んだだけでも強烈な印象を残すワード「プーニー」。そのインパクトを最大限活用したパネルにもご注目ください。
(実は帯の背景にも「プーニー」というワードをたくさん敷き詰めています!ぜひ店頭で確かめてみてくださいね!)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322012000508/
著者特設サイト:https://kadobun.jp/special/tsunekawa-kotaro/
安藤祐介『六畳間のピアノマン』(角川文庫刊)
ブラック企業の同期三人組。早朝から深夜まで働き会社に泊まり込む毎日。疲弊しきった三人はある日深夜の居酒屋に行く。一杯のビールで人間らしく笑いあった三人だが、極悪上司の壮絶な追い込みにあい――。
(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
<営業担当より>
この作品を読んだ営業メンバーの「自分を見つめ直すきっかけになりました」という感想が印象に残っています。
頑張り過ぎなくて良い、時には逃げることも必要だ……。そんなメッセージを感じる本作を、ついつい頑張ってしまう、無理をしてしまう人に読んで欲しいなという思いのもと、仕掛け販売タイトルに選びました。
キャッチコピーだけでなく色合いも皆で相談しながら、青い背景&黄色文字の帯に決定! 温かみを残しつつ、黄色い書影に映えるような色の組み合わせです。パネルの方も同じく温かみを意識し、手書きデザインにしました。
書籍詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000089/
※オビや拡材(パネル・POP)の展開状況は書店により異なります。