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特集

北海道で謎の爆売れ!? 発売から74年、三島由紀夫『夏子の冒険』が今売れる理由とは?

「三島由紀夫の本」と聞くと、皆さんはどんな作品をイメージしますか?
『金閣寺』や『豊饒の海』など有名な作品がたくさんありますが、今年に入ってにわかに話題になった作品があります。その名も『夏子の冒険』。

実はいま、この『夏子の冒険』が北海道で爆売れ中なんです。
パネルとオリジナル帯も作られ、今年から北海道内の書店約100店舗で『夏子の冒険』が大展開されています。


紀伊國屋書店厚別店(左)、三省堂書店札幌店(右)店内の様子


発売から74年も経った今、なぜこの作品が売れているのでしょうか……?

北海道で謎の爆売れ 三島由紀夫『夏子の冒険』が今売れる理由

そもそも『夏子の冒険』ってどんなお話?



昭和26年(1951年)に発売された『夏子の冒険』は、無邪気で破天荒、さらに猪突猛進な行動力を持つ美人のお嬢様・夏子が主人公。
裕福な家で奔放に育った夏子は、自分に群らがる男たちに興味が持てず、神に仕えた方がいい、と函館の修道院入りを決めることに。ところが函館へ向かう途中、情熱的な瞳の一人の青年と巡り会い――。
男たちに絶望した夏子の前に、理想の男が現れた! 彼こそ運命の男なのか?という長編ロマンス作品で、しかも、青春冒険劇かつ、ラブコメあり、アイヌあり、ヒグマありの北海道要素も盛りだくさんな一冊。
学生時代の授業などで三島作品に触れてきた読者のみなさんにとっては、かなり意外性のある小説ではないでしょうか。

いま『夏子の冒険』が売れている理由

・北海道要素満載のご当地小説
『夏子の冒険』には、札幌、蘭越、千歳、白老、函館といった北海道各地が登場。文豪・三島由紀夫の目を通して描かれた昭和ロマンあふれる北海道の描写はとても貴重で、北海道をテーマとした「ご当地小説」としても面白い作品になっています。
・今までの“三島作品”のイメージが変わるラブコメ作品
お固いイメージを持たれている三島由紀夫が書いたとは思えないコメディタッチの本作。現代の私たちが読んでも楽しむことができる主人公の破天荒さや物語の展開の面白さに衝撃を受けた人々が集まり、今年になってから北海道各地の書店で『夏子の冒険』が店頭に並ぶようになりました。

店頭に設置されたパネルには、『夏子の冒険』に魅了された担当者の言葉が。

私もこの作品に出合うまでは“三島は難解”というイメージがあり避けていました。
しかし、この作品によって三島由紀夫という文豪のイメージが大きく変わると同時に、彼の才能の凄まじさに強い衝撃を受けました。
まさか三島由紀夫の作品で笑う日が来ようとは……と、当時は思ったほどです。

コーチャンフォー釧路店 店内の様子


発売から74年。三島由紀夫生誕100年にあたる2025年に、本を愛する者たちの心を動かした本作。
『夏子の冒険』は北海道中を駆け巡り、今年、このまま日本全土にも広まっていくこと間違いなし!

関連記事

・角川文庫の三島作品一覧
https://note.com/kadobun_note/n/n6a3112f8ecfa
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