KADOKAWA Group
menu
menu

特集

デビュー20周年、ヒット作を生み出し続ける秘密とは? 榎田ユウリオンライントークイベントレポート

構成・文 編集部

榎田ユウリさん作家デビュー20周年記念! 初のオンライントークイベント開催

巧みなストーリーテリングと魅力的なキャラクター描写で、数々のヒットシリーズを生み出してきた榎田ユウリさん。作家デビュー20周年を記念し、初のオンライントークイベントを5月21日(金)に開催しました。
トークの内容は、20年間に刊行された作品の振り返り、榎田さん撮影のお写真をご紹介しながらの創作秘話、参加者からの質問に答えるコーナーなど盛り沢山。当日はたくさんのファンの方にご参加いただき、チャットを通してリアルタイムで熱烈なコメントをいただくなど、大盛況のイベントとなりました。そんなイベント当日の模様をレポートします!

※今回のイベントは『武士とジェントルマン』をはじめとする新刊についても、読了者を対象としてネタバレ有りの内容で行いましたが、本記事ではネタバレにかかわる内容は割愛しております。


中村明日美子さん、岩本薫さんより素敵なお花をいただきました。


榎田ユウリの20年

 イベントは榎田さんの20年の歩みを振り返るコーナーから始まりました。トークのお相手をつとめる担当編集者が、年表に沿って刊行順に作品を紹介しながら20年を振り返っていきました。
 榎田さんは「小説June」に投稿した短編「夏の塩」の書籍化で、2000年7月にデビュー。これが多くの読者に愛される「魚住くん」シリーズのはじまりとなりました。「榎田尤利」名義で、デビュー直後から続々とBL作品を刊行。2007年の『宮廷神官物語』から「榎田ユウリ」としても執筆を始め、「宮廷神官物語」、「交渉人」、「妖琦庵夜話」などヒットシリーズが次々誕生します。この頃は体力的にかなりきつかったそう。「当時は働き方改革という言葉もなかったから……」という榎田さん。
 2013年には「カブキブ!」シリーズがスタート。「好きなものしか書けない」とのことで、歌舞伎ももともとお好きな榎田さんですが、作品を書くにあたっては資料集めや下調べにかなり労力を要したそうです。2013年には早くも、100冊記念特別版『交渉人は休めない』を刊行。「もっと書いていらっしゃる方はいる」と仰りながらも、「自分としては、これがめいっぱいでした……」と振り返る榎田さんでした。
 その後、角川文庫での「魚住くん」シリーズ刊行、「死神」シリーズの開始、角川文庫での「宮廷神官物語」シリーズ刊行など、榎田ユウリさんの読者層はさらに広がっていきます。「宮廷神官物語」はビーンズ文庫、角川文庫どちらで読みましたか? という問いかけに対し、それぞれに多くの方が手を挙げてくださいました。「両方持っています!」というコメントも、ありがたいことにたくさんいただきました。
そして2021年3・4月、『この春、とうに死んでるあなたを探して』、『宮廷神官物語 十二』、『武士とジェントルマン』、『死神と弟子とかなり残念な小説家。』と4冊連続刊行。「春の榎田まつり」開催中です! 2カ月で4冊の刊行は「ナメてました……(笑)」と榎田さん。ゲラの確認などで相当、お忙しかったようです。
 ファンにも驚きをもって受け止められた奇跡の新作『宮廷神官物語 十二』については、もともと執筆の予定はなかったそうですが、角川文庫での再刊行にあたりシリーズを読み直すなかで、自然と続きを書きたい気持ちになり「書いちゃった」とのこと。ここでは会場で見守っていた編集者たちからも思わず拍手が! 非常に人気のあるシリーズだからこそ、読者をがっかりさせてはいけないというプレッシャーもあったそうで、「大丈夫でしたか?」と問いかける榎田さんに対し、チャットには「嬉しかったです!」「最高でした!!」など喜びのコメントが溢れていました。

榎田さん撮影写真で振り返る創作秘話

 今回のイベントでは、榎田さんから秘蔵写真をたくさんご提供いただきました! 新刊『武士とジェントルマン』の執筆にあたってはロンドン取材にも行かれていて、まずはそのお写真のご紹介から。アンソニーの実家のモデルとなったホテルが超豪華です! 




 取材時に榎田さんが泊まったホテル。アンソニーの実家のイメージです(!)。かつて貴族の邸宅だったお屋敷を改修してホテルにしているそう。
 続いて「宮廷神官物語」のための韓国取材。登場人物の暮らしや服装など、資料館や図書館、書店さんで情報収集を重ねるそうです。お食事の写真もありました。作中に登場する食べ物が美味しそうなのも、榎田さんの作品の魅力の一つですね。
 さらに、ファンには嬉しい貴重画像! 榎田さんの創作の様子がわかる設定資料も見せていただきました。編集担当も普段は見ることがない、プロットになる前の設定資料もご紹介。紙に付箋がびっしりと貼られていました。資料本がたくさん並んだ書棚のお写真、作品内の年表や間取り図の画像などなど、榎田さんの創作スタイルを垣間見ることができる貴重な資料でした。

参加者からの質問コーナー

 イベント開催に先立ち、参加者の皆さんから榎田さんへの質問を募っていました。非常に多くの質問をお寄せいただいたので、ほんの一部となってしまいましたが、榎田さんにその場でお答えいただきました。作家を志したきっかけから、キャラクターとストーリーはどちらが先に生まれるのか、登場人物の名前の決め方、スランプはあるのか、今後書きたいものは、などたくさん答えていただきました。あのシリーズの続きは(……!)、という新情報もちらり。続報を楽しみにお待ちください。

あっという間の1時間半

 榎田さんからのプレゼント企画などもあり、楽しい時間はあっという間に流れて終了のお時間に。盛り沢山の1時間半でした。最後は榎田さんから読者の方々への感謝の言葉で、イベントの締めくくりとなりました。参加者それぞれに、画面越しに笑顔で手を振る榎田さんでした。
 ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

イベント当日の資料も一部掲載! 榎田ユウリ20周年特設サイトはこちら
https://kadobun.jp/special/yuurieda20th/


関連書籍

MAGAZINES

小説 野性時代

最新号
2025年3月号

2月25日 発売

ダ・ヴィンチ

最新号
2025年3月号

2月6日 発売

怪と幽

最新号
Vol.018

12月10日 発売

ランキング

書籍週間ランキング

1

気になってる人が男じゃなかった VOL.3

著者 新井すみこ

2

はじまりと おわりと はじまりと ―まだ見ぬままになった弟子へ―

著者 川西賢志郎

3

今日もネコ様の圧が強い

著者 うぐいす歌子

4

地雷グリコ

著者 青崎有吾

5

ただ君に幸あらんことを

著者 ニシダ

6

雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

著者 東畑開人

2025年2月17日 - 2025年2月23日 紀伊國屋書店調べ

もっとみる

アクセスランキング

TOP