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特集

児童文学のノーベル賞! 角野栄子さんの「国際アンデルセン賞」授与式&アテネ滞在レポート

『魔女の宅急便』をはじめ200作以上もの作品を生み出してこられた児童文学作家・角野栄子さんは、今年3月、子どもの本に長年貢献してきた作家の業績に対して2年ごとに贈られ“小さなノーベル賞“といわれる「国際アンデルセン賞・作家賞」を受賞されました。
カドブンではギリシャ・アテネで開催された授与式の模様や滞在中の様子を写真と共にお届けします。

IBBY(国際児童図書評議会) 世界大会

8月30日(木)~9月1日(土)までギリシャ・アテネで開催されたIBBY(国際児童図書評議会) 世界大会に参加してきました。
(角野さんが登壇される国際アンデルセン賞の授与式も会期中に行われました。)

8月30日開会式にて

IBBY世界大会は、1953年以降、2年ごとに違う国で開催されています。
児童文学の紹介と普及、また読書推進活動に携わっている人たちが世界中から集まり、
研究発表会、講演会や展示、オープンフォーラムやオナーリスト賞の授与式などが行われます。
※4年前に同賞を受賞された上橋菜穂子さん(「守り人」シリーズ、『鹿の王』)の授与式は、メキシコで行われました。

第36回目の今年は、MEGARON ATHENS INTERNATIONAL CONFERENCE ENTRE(http://www.maicc.gr/en/)という大きな国際会議場で開催されました。

会場を入って正面には『魔女の宅急便』『トンネルの森 1945』をはじめとする角野作品(日本語版や翻訳版)や資料が展示されていました。来場者は写真を撮ったり本をめくったりと大人気でした。

他にも世界各国から届いた本の展示や販売ブースがあったり、各会議室では大会出席者による研究発表などが行われたり、会場は常に人で溢れとても賑わっていました。

受賞者の写真が掲載されたパネルの前で

国際アンデルセン賞作家賞(1966年〜)。角野さんは日本人で三人目の受賞者です。
★2018年 角野栄子さん
★2014年 上橋菜穂子さん
★1994年 まど・みちおさん(詩人/「ぞうさん」「一年生になったら」など)
※画家賞は、1980年に赤羽末吉さん、1984年に安野光雄さんが受賞されています。

会期中、角野さんにはテレビや新聞、WEBなど様々なメディアから取材のオファーが入るなど、会場を歩く度にたくさんの人に声をかけられていました。

国際アンデルセン賞授与式

8月31日。国際アンデルセン賞授与式は、GREEK NATIONAL OPERA(http://www.nationalopera.gr/en/about-us/new-building/)というギリシャ国立オペラ座で行われました。

白いロングのワンピースにイチゴ色のアクセサリーに身を包んだ角野さんが登場するとあっという間に人だかりができ、祝福の言葉で溢れていました。

ブッフェスタイルの食事をとりながら、ゆったりとした雰囲気の中で会は進みます。
画家賞(ロシアのイーゴリ・オレイニコフさんが受賞)に続き、いよいよ作家賞の発表です。
角野さんの名前が呼ばれると会場からは割れんばかりの拍手が起こり、賞状とメダルの授与式が行われました。

角野さんとIBBY会長のワリー・デ・ドンケルさん

角野さんは日本語でスピーチされましたが、スクリーンに英語と日本語でお話の内容が映し出されるという演出がなされました。

5歳のころ亡くなられたお母さまのことやたくさんお話を聞かせてくれたお父さまのこと、デビュー作『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』を執筆してはじめて知った「読んでくれる人がいる」という喜び、昔話の冒頭に出てくる思い出の「オノマトペ」(『桃太郎』に出てくる「どんぶらこっこーう すっこっこーう」といった擬声語)のこと、幼いころ戦争という厳しい日常の中で慰められ助けられた物語への思い、生まれた想像力のことなど、心のこもったとても素敵なスピーチに皆さん静かに聴き入っていました。

角野さんのスピーチを少しお届けします。

「私は、こう考えています。物語は、私が書いたものであっても、読んだ瞬間から、読んだ人の物語になっていく。読んだ人一人一人の物語になって生き続ける。そこが物語の素晴らしいところだと思います。そして、その時、感銘を受けた言葉、その時の空気、その時の気持ち、想像力などが、一緒になって、その人のからだのなかに重なるように入っていき、それが、その人の言葉の辞書になっていく。その辞書から、人が与えられた大きな力――想像力が生まれ、そして創造する力のもとになっていくと思っています。それはその人の世界を広げ、つらいときも励まし助けてくれるでしょう。」

「ルイジンニョが言ったように、同じ鼓動を持つ人間同士です。今は難しい時代であるけれども、地域を越えて、物語には大きな力があると信じています。そう信じて、これからも書き続けて参ります。世界中の皆様、これからも私の物語を読んでください。再度、「ありがとう」と申し上げて、私の話を終わらせていただきます。エフハリスト(ありがとう)。」

※角野さんのスピーチ全文 ⇒ JBBY(一般社団法人 日本国際児童図書評議会)公式サイト
http://jbby.org/news/index02.html#post-893


9月1日。授与式の翌日は、ラウンドテーブル(トークセッション)があり、日本、ギリシャ、ロシア、アメリカの国際アンデルセン賞受賞者や候補者らとともに登壇されました。

アテネに住む子供たちとの触れ合い

9月2日夜。アテネ在留の日本人会の皆さんによる「角野さんを囲む会」が開かれました。
子供たちは初めはちょっと緊張していましたが、角野さんの言葉に熱心に耳を傾けていました。
会の最後には角野さんが絵本の読み聞かせをし、とても素敵な会でした。
(写真の右上に見えるのが、パルテノン神殿があるアクロポリスの丘です。)

 
 
 

おまけ

 
アテネでの食事はどれも美味しかったです。しかし、量がとても多かったため、皆さん(JBBYのスタッフさんや角野さんの担当編集者さんたち)とシェアして食べました。

 

合間にリサーチを兼ねてビザンティン美術館へ。
日本と比べて、アテネはとても日差しが強く、あっという間に日焼けしてしまいました。
夏は、帽子やサングラス、薄手のカーデガンや日焼け止めは必須アイテムです。

ギリシャと言えばエーゲ海!せっかくだからとビーチへ繰り出しました。
さて、角野さんの脚はどれでしょう。ヒントは、洋服の色です。


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