昭和に活躍した作家・小松左京の傑作SF小説を、令和の時代に読む意味とは
2020年、コロナ禍が日本を襲い、パンデミックの混乱が収束せぬまま、隣のロシアはウクライナに侵攻を開始。戦争の暗い影が国内社会を蝕み、相次ぐ地震が大震災への不安をもたらす――。ここ数年の内に立て続くこれらの出来事に、まるでディストピア小説のような印象を受けます。さて、傑作小説の中には未来を予見したかのような作品が数多くあります。昭和に活躍したSF御三家の一人、小松左京の作品には、現代社会に影を落とすもの、ウィルスや戦争などの主題を扱った小説が多く、中には「ハードSF」と呼ばれる、緻密な科学的考察を盛り込んだとてもリアルな作品もあります。第二次世界大戦終戦時、14歳だった小松左京。戦争を乗り越え、日本の再建と成長の真中で作品を生み出し続けた小松左京が、この先の未来に予見したものとは何だったのでしょうか。私たちがこの時代を生き抜き、未来へつなぐためのヒントが、そこには隠されているかもしれません。
小松左京の角川文庫6選
『日本沈没(上)』
197x年。日本。ある日、一夜にして小島が海中に没した。
鳥島の南東にある無人島が、一夜にして海中に沈んだ。深海潜水艇の操艇責任者の小野寺は、地球物理学の田所博士とともに、近辺の海溝を調査し、海底での異変に気づく。以降、日本各地で地震や火山の噴火が頻発。自殺した友人を京都で弔っていた小野寺も、地震に巻き込まれ、消息不明になるが、ある日突然、ナポリの消印がある辞表が会社に届く。どうやら田所の個人研究所と関係があるようで……。
(KADOKAWA公式ページより引用)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321910000653/
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『日本沈没(下)』
最悪の危機の中で生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作
ついに巨大地震が東京を襲い、富士火山帯の火山が相次いで噴火。対応に追われる日本政府は、海外に国民を移住させようと、密かに交渉を進めていた。一方、田所博士が中心となって立ち上げた「D計画」の一員となった小野寺は、潜水艇で海底の調査を行う日々を送っていた。ある日、防衛庁にある計画本部の総務室で、「日本列島は沈没する!?」という見出しがついた週刊誌を目にし――。日本はどうなるのか!?
(KADOKAWA公式ページより引用)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321910000654/
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1970年代と現代の科学技術の違いについて専門家が解説。本編にあわせて「文庫巻末解説」をお楽しみください。
▼『日本沈没』後の科学技術の進歩と知見の蓄積──『日本沈没』文庫巻末解説
https://kadobun.jp/reviews/7hdx36yykzs4.html
『復活の日』
人類の滅亡と復活を描いた、傑作SF小説!
吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジェラルミン製トランクの破片。中には、感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を引き起こし、残りも全身マヒで死に至らしめるMM菌があった。春になり雪が解け始めると、ヨーロッパを走行中の俳優が心臓麻痺で突然死するなど、各地で奇妙な死亡事故が報告され始める――。人類滅亡の日を目前に、残された人間が選択する道とは。著者渾身のSF長編。
(KADOKAWA公式ページより引用)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321710000583/
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『日本アパッチ族』
小松左京の初の長編にして最高傑作の呼び名が高い、記念碑的作品!
会社の上司の鼻をひっぱったために懲戒免職。さらに三か月以内に就職しなかったとして、失業罪で逮捕、追放の判決を受けた木田福一。
砲兵工廠跡地に追放された彼は、餓死寸前で野犬に食われそうになっていたところを、アパッチ族に助けられた。
赤銅色の肌を持ち、鉄を主食としているアパッチ族。木田は、彼らの一員となり、謎に包まれた生体と生き様について、記録していく。
初の長編にして最高傑作の呼び声高い記念碑的作品!
(KADOKAWA公式ページより引用)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322106000595/
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『地には平和を』
あと5時間でこの世が消滅!? 直木賞候補作となった記念碑的作品
「あの戦争」で無条件降伏したはずの日本が本土決戦をしている――! 「その年」の10月にはいると、ソ連軍は敦賀に、アメリカ軍は四日市に大上陸作戦を展開した。18歳までの男子で本土防衛特別隊が組織されたが、ほとんどは全滅。いまや、山奥の農村の村民までもが敵に通じている。俺は敵弾をあび、頻死の重傷だ。その時、Tマンと名のる男が現われ、「この世界はまちがっている」と告げた――。時空を超えて日本の歴史の変革を謀る男の見たものとは?! 第50回直木賞候補作となった小松左京初期の傑作。貴重な図版を含む解説も収録。
(KADOKAWA公式ページより引用)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321904000751/
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『ゴルディアスの結び目』
少女に憑りついた正体とは……表題作を含む4編を収録、衝撃のSF短編集!
「憑きもの」を宿す少女は、病室に収容されていた。精神分析医はその正体の追求を試みるが……。表題作のほか「岬にて」「すぺるむ・さぴえんすの冒険」「あなろぐ・らう゛」を収録した、衝撃のSF短編集!
(KADOKAWA公式ページより引用)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321805000226/
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『霧が晴れた時 自選恐怖小説集』
太平洋戦争末期、少年が屋敷で見た恐怖の真相とは!? 名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづける、ホラー短編の金字塔。
(KADOKAWA公式ページより引用)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/199999130863/
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