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特集

週末北欧部・chikaが語る、フィンランドの魅力が伝わるオススメ本 描きおろしマンガにも注目!

SNSでフィンランドや北欧にまつわるコミックエッセイを発信し、絶大な人気を得ている週末北欧部のchikaさん。シリーズ第3弾となる『北欧こじらせ日記 フィンランド1年生編』を発売したChikaさんに、改めてフィンランドという国に興味を持ったきっかけと、フィンランドに関するchikaさんオススメの本を伺いました!

質問文作成:澤井 一
回答:chika

フィンランドとの出会いは8歳!
初めて「ここに住みたい」と思ったきっかけとは?


――SNSや書籍を通じて様々な情報を発信されているchikaさんですが、フィンランドに興味を持ったきっかけや、chikaさんがいかにフィンランドに夢中になっていったのかを教えてください。

chika:私とフィンランドの最初の出会いは、8歳の頃です。当時通っていた英会話スクールでフィンランドのサンタクロース村に手紙を書くイベントがあり、私の誕生日がクリスマスということもあり「いつも誕生日にプレゼントをありがとうございます。いつか会いに行きます」と書いたことがきっかけで、それ以来フィンランドが特別な存在になりました。
はじめてフィンランドを訪ねたのは大学3年生の20歳の時。フィンランドの地に降り立って、フィンランドの人たちと出会った時、不思議と空気感がぴったりと肌に合った感じがあり、学生時代はバックパックを背負っていろいろな国を旅しましたが、初めて「ここに住みたい」と思いました。
その理由は自然との距離感と、人との距離感。ヘルシンキは首都でありながら、森や湖がシームレスに存在していて、便利さと自然が共存している街は田舎育ちの私にとって理想的な環境でした。また、人々の距離感は尊重と無関心の間のようで「私はこれが好き。あなたはそれが好き。それでいいよね」と、一人ひとりが自分らしさを大事にして、自立している。そこから生まれる距離感が、なんだか嬉しくて心地よかったのが一目惚れの理由です。
それから「いつかフィンランドに住みたい」が口癖になり、文系キャリアで英語は中級、フィンランド語もできない私がどうやって移住できるかを模索する中で寿司職人の道を見出しました。お寿司の仕事を知るうちに「どこにいても、何歳になっても、自分らしさで目の前の人を幸せにする」というキャリア観にも合っていると感じ、会社員を続けながら週末に寿司職人養成学校に通い始めました。同時にお寿司屋さんでの修業も開始し、修業3年目を迎えた時に、フィンランドのお寿司屋さんから内定をもらい2022年の春に移住しました。


――フィンランドに興味を持つようになって、Chikaさんの人生観はどう変化しましたか?

自分の幸せの基準は自分で決めて、そして自分自身で作っていくもの、ということです。移住して実感したのも「移住したから理想的な暮らしが出来るのではなく、自分の人生も暮らしも、自分で決めるものなんだ」ということでした。
誰かのモノサシではなく自分が好きなことを大事にして、できないことにはNOと言い、自分自身が大事にしたいことを意思を持って守る。それは大好きな自然の中で過ごす時間であったり、夕方の家族との時間だったり。誰かにとっては些細なことだったとしても、自分にとっては大事なことをちゃんと宝物にしながら、豊かな人生を形作っていく……そんな姿をフィンランドの人たちから学んだ気がします。


――週末北欧部の皆さんをはじめ、フィンランドを好きな日本人は、何を求めフィンランドに夢中になっているのだと思いますか?

私自身は「心地よい距離感と余白」にハマりましたが、ある友達はメタル音楽、建築、ムーミン、デザイン……とフィンランド好きの切り口も様々でした。けれど私が感じるのは「どこか自分に似ているところ」を感じるものがあるから、どうしようもなく惹かれてしまうのではないかということです。
ある時、働いていたフィンランドのお寿司屋さんに来たフィンランド人の日本好きなお客さんと話す機会がありました。「はじめて日本に行った時、こんなに遠い国なのにどこかフィンランドと似ていると思った」と言うのです。私自身もフィンランドに来てそう感じたので、なぜかな……という話をしていたのですが「自然への脅威」が「調和を重んじる」国民性に通じているのかもしれないね、という話になりました。日本には震災や台風があり、フィンランドは厳しい寒さがある。一人では生きていけないからこそ、調和を重んじる。そして、偉大な自然への畏敬の念を持っている。
少しシャイで、マニアックで、そして似た雰囲気がある……フィンランドを知る中で、どこか他人事とは思えない、自分らしさを再発見するような瞬間があるからこそ、どうしようもなく夢中になるのかもしれません。


――フィンランドに興味を持ったカドブン読者や、これからフィンランドへの訪問を考えている方に、フィンランドの魅力を教えてください。

フィンランドの魅力の1つに「余白」があると感じています。それは街中でも木々の揺らぎが聞こえるほど静かな「音の余白」、パーソナルスペースが広い「空間の余白」、そして何もしないことを楽しむ「時間の余白」です。旅行の時には、どうしても短い時間でめいっぱい詰め込んでしまいがちですが、水辺のカフェでほっと一息する時間を持ったり、あえて予定を入れずに思いついたことをやってみる時間を持つのもフィンランドらしい思い出になると思います。
そして本や旅先で知った「いいな」と思うことは、「フィンランドだからできる」ではなく「今の暮らしに、自分の意思次第ですぐにでも取り入れられるんだ」という可能性があることを知っておくのも良いと思います。いいなと思ったことを他人事にせず、先延ばしにもせず、今できる中で楽しんでしまう。どこにいるかではなく、どう生きるかをデザインする一助として「いいな」と思ったことを取り込んでいくのも素敵だと思います。

カドブン掲載記念! 描きおろしマンガ        
お気に入りの本に出会った時の読書記録術

先ほど、本や旅先で知った「いいな」と思うことを、「今の暮らしに、自分の意思次第ですぐにでも取り入れられる」という可能性があることを知っておく大切さについてお話ししてくれたchikaさん。
そこで今回はカドブンでのインタビュー掲載を記念して、chikaさんが好きな本と出会った時に行っている「読書記録」について、マンガを描きおろしていただきました!



書店にはたくさんの本がありますが、その中から「好きな本」と出会えた時の感動は一生もの! その時の思い出や心に残った部分を書き留めて本と一緒に保管すると、自分にとって「世界に1つだけの本」を作ることができます。カドブン読者のみなさんも、ぜひ自分が楽しく・心地よくなれる読書の在り方を探してみませんか?

chikaさんと読書について


――現在chikaさんはフィンランド在住と伺いましたが、フィンランド国内の文学、マンガ、エンタメ全般について、共通する傾向や近年のヒット作、chikaさんの注目しているジャンルなどはありますか?

エンタメでは、アキ・カウリスマキ監督の映画はフィンランドでもやはり話題になります。私個人としてはやっぱりフィンランドのコミックが気になっていて、最近もヘルシンキで開催されたマンガフェスティバルにボランティアスタッフとして参加してきました。「フィンランドらしさを、面白おかしく自虐する」ようなマンガがお気に入りです。自信満々ではなく自虐的だけれど、そんな変な自分達が好き……というフィンランド人らしさが感じられます。ことわざのマッティシリーズや、少し意地悪なフィンランド人おばあちゃんの日常を描いたマンガなど)

ダ・ヴィンチ2024年1月号のなんでもランキングでは、chikaさんのインタビューと共に「北欧」をテーマにおすすめ本を10冊ご紹介いただきました。そのなかから一部を抜粋し、フィンランドにまつわる本についてchikaさんのコメントと共にご紹介します!



かもめ食堂 群ようこ(幻冬舎文庫)

私にとってのロールモデルで、夢を諦めそうになった時に励まされる本です。サチエさんがフィンランドで開業した理由を聞かれるシーンで「ここならやっていけるかなと思った」と等身大で答えていて、私自身もフィンランドで「ここでなら生きていけそうな気がする」と思った気持ちともリンクしました。たとえフィクションでも、具体的で解像度の高い自分のロールモデルを見つけられたような気がして、それ以降、『かもめ食堂』は何度も読み返しています。

ラヤトン 無限の森へ 歌:Rajaton(プロダクション・エイシア)

フィンランドのアカペラグループ・ラヤトンの音楽絵本。フィンランドではクリスマスになると必ずラヤトンのクリスマスコンサートが開催されていて、いつか必ず行きたいという夢になった出会い。美しい歌声と、そしてイラストをこんな風に楽しむことができるんだ……!と本の可能性が広がった出会いでもありました。

フィンランドの不思議なことわざ マッティの言葉の冒険 カロリーナ・コルホネン著 柳澤はるか:訳(草思社)

ことわざには、その国らしさが詰まっていて面白い。お気に入りのことわざは「やりかたはいくらでもある、とおばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った(意外なところに道はある、方法はひとつではない)」。また、「ベリーの茂みに引っかかる(ものごとの本質じゃない部分にとらわれる)」もフィンランドっぽいです。


誌面では、20代から30代、フィンランドとの出会いから今に至るまでの間に読んだ本から、「読んだ後、もっと北欧のことを知れて好きになった本」を“出会った順”の時系列で紹介させていただきました。好きなことを見つけるのは、自分自身を再発見することでもある。なので、自分の興味がある切り口の本を手に取ることで、一層「どこか自分に似ている」部分に惹かれる運命的な出会いになるのではないかなと思います。本との出会いが、自分らしい“好き”を大切にできるきっかけになると嬉しいです。


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