この春、話題の小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(KADOKAWA 刊)がドラマ化されました。タイトルは、「腐女子、うっかりゲイに告る。」。自身のセクシュアリティに悩むゲイの高校生・安藤純を演じた、主演の金子大地さんに、原作についてお話を伺いました。
人に言えない悩みがある人たちへ届く作品に
── : 原作小説を読んだ感想はいかがでしたか?
金子 大地(以下、金子): テンポが良くて、すごく読みやすかったです。特に純の心の声が面白くて、ハマりました。でもポップに話が進んでいるように見えて、本当にリアルなお話だと思いました。ストーリーにたくさん出てくる、純が好きなクイーンの曲を聴きながら、小説の世界に入り込んで読みました。
── : 金子さんにとって、NHK初主演作ですね。どんな気持ちで、原作小説のドラマ化に取り組まれましたか?
金子: 純を演じるプレッシャーはありましたが、原作を読んだときの気持ちを、ドラマを観る人に伝えられたらすごくいいな、と思っていて、それは出演者みんな同じ気持ちだったんです。僕たちが原作を読んで感動した気持ちに忠実に演じたかったし、ドラマを観た人にも同じ気持ちを感じてほしかった。 もちろんテレビドラマなので、原作からはしょられる部分はあるけれど、できるだけ忠実に大切に、という想いをみんなが持っていました。
── : 自分がゲイであることに悩み続け、異性と家庭を持つ“普通”に強烈な憧れを抱く安藤純という役は難しかったのでは?
金子: 最初は、大好きな恋人のマコトさんと両思いなら、そこまで“普通”にこだわらなくてもいいのでは? と感じたんです。でも相手には妻子がいて家庭があるから、自分は将来ひとりかもしれないという不安を感じる気持ちがあるんだろうなと思いました。けれど役に向き合ううちに、もうひとつ気付いたことがあって。純のお母さんがいい人なんですよね。それで、ああこんなお母さんがいたら、そりゃあ言えないよな……と。どうしても“普通”にこだわってしまう純の気持ちが、そこで少し分かった気がしました。 そんなふうに、今までにないほど、徹底的に役に向き合って、純に近づけたのかな、というのがだんだん大きくなって、クランクアップまで行けた気がします。難しいシーンもいっぱいありましたが、すごく楽しかったです。
── : 繊細な原作を演じ切られたのですね。
金子: 作品には、原作者の浅原ナオトさんの実体験も少し入っていると聞いてたので、そんな主人公の人生を自分が演じるので、そういう意味でも、気を抜けなかったです。ドラマではタイトルも変わりましたし、正直少し怖い気持ちもありますが、僕が読んで感動した、浅原さんが大切にしている作品を絶対に悪いものにしたくない、という気持ちで演じました。
── : 原作ファンにもぜひ観てほしいですね。
金子: 純のように人に言えない悩みがある人たちへ届く作品になっていると思います。なにか感じてもらえるものがあったらうれしいです。原作を愛している人をがっかりさせないよう、スタッフさんもキャストのみんなも一緒に真剣にがんばったので、楽しみにしてほしいです。
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スタイリスト:Hideaki Tatematsu(TEN10)
ヘアメイク:Emiy
【書籍情報】
▶▷『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』特設ページ
『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』
https://www.kadokawa.co.jp/product/321707000994/
『彼女が好きなものはホモであって僕ではない 1』(コミック)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321901000271/
【ドラマ情報】
よるドラ「腐女子、うっかりゲイに告る。」
4月20日(土)よりNHK総合にて放送中(※NHKオンデマンドでも配信中)
毎週土曜23:30~23:59(全8回)
原作:浅原ナオト『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(KADOKAWA) 脚本:三浦直之 出演:金子大地、藤野涼子、小越勇輝、小野賢章、安藤玉恵、谷原章介ほか
NHK公式HP
https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/fujoshi/